パリィン
赤髪の男クライン達に戦い方をレクチャーし初めてそれなりに時間が経ったこともありクライン達はそこそこ強くなっていた。
「うん。その調子だよ。スキルとスイッチさえしてればこの辺のMobには遅れはとらないから、油断さえしてなければ皆もかなり戦えるようになってるよ。もう僕から教える事は特にないかな?」
クライン達はもう十分に強い。クラインに関しては僕達と同じでもうレベル4まで上げていてここではもうレベルが上がらないほどだ。
「ああ。もうこの辺のMobごときじゃ俺様の相手にはならねぇな」
「まぁ、この辺りのMobって他のゲームじゃスライム相当だしね」
この程度の敵を倒せないようじゃこの先が思いやられる位だからこれくらいは余裕になってもらわないとね。油断は禁物だけど‥‥‥
「ゲッ!? マジかよ‥‥‥俺はてっきり中ボス辺りかと」
「そんなわけないでしょ? しょっぱなから中ボスってどこの無理ゲーなんだよ」
そんなゲームも昔やったのを思い出したよ。あれは本当酷かった‥‥‥最初のステージからは全然進めないのに一回そのステージクリアするとそこからはノンストップ。一度たりともゲームオーバにならなかった。‥‥‥あのゲームのせいで僕は1か月間、水と塩だけで生活しないといけなかったって言うのに‥‥‥と僕はこんな悲しいエピソードを思い返すのを中断してクラインとの会話に戻る。
「そりゃそうだな。そんなゲームならここだけで全員が死んでもおかしくねぇゲームになってただろうしな」
「まぁね。こんなデスゲームでそんな風にされてたらゲームにならないしね」
「それもそうだな。‥‥‥所でよ明久。おめぇ時間は大丈夫か? さっきの2人以外にも仲間いるんだろう? 俺達ならお前さんのおかげでそれなりに強くなったから、もう大丈夫だけどよぉ‥‥‥」
クラインが時間を気にかけてくれる。確かに雄二達ももうレベル上げ終わってると思うしそろそろ戻った方が良いかもしれない。
「そう? じゃあ僕は皆の所に戻るよ? また何かあったらメッセとばしてよ」
「ああ。そうさせてもらうぜ! んじゃまたな明久」
僕とクライン達はパーティを解散してそのまま別れた。クライン達はまだもう少し狩りを続けるらしいので帰りは僕一人だ。
「なんか一人でいるの凄く久しぶりな気がするな~」
なんて呑気に考えてたら目の前にモンスターがリポップしてきた。ワッ! ビックリしたなもう! ん?
「あれ? コイツなんかデカくない?」
僕の前に現れたイノシシはそこら辺のイノシシの2.5倍はありそうなデカさ。‥‥‥ちょっと大きすぎると思ったらコイツ巨大イノシシか!? ちょうどいいや群れの集団リポップ位置を普通に戻すためにもここでコイツを狩っておこう。けど‥‥‥
「ちょっと大きすぎない? コイツ」
ベータの時倒したことあるけど、ここまでデカくなかったと思う。それになんかレベルも‥‥ここらの普通のイノシシは1か2なのに対してコイツは5といきなりハードルを高く上げ過ぎている気がする‥‥‥
「そうか‥‥‥だからベータはコイツを避けて行ったのか‥‥今のレベルじゃキツイから‥僕はどうしようか?」
普通なら逃げるべきだろう。今は一人しかいない。命がかかってるんだから今は引くのがセオリーだ‥‥けど
「ゲーマーとしてはコイツと戦いたいよね」
僕はそう呟き巨大イノシシに突っ込んでいった。
レベルはベータの時から改良されてるようだけど攻撃パターンは全部一緒。中ボス扱いじゃないからHPバーも通常通り1本だ。こういっちゃなんだけど相手の攻撃にさえ気を付ければはっきり言って余裕で倒せる。
「せいやっ!!」
僕は隙を見てスキルを使うスタイルで戦う。レベルは向こうの方が上なんだから一発でももらうとヤバいから僕はいつも以上に集中して巨大イノシシの動きに注意を向けイノシシの攻撃に備えて攻撃してきたら避けてスキルをお見舞いするその繰り返しだ。
特に変わった動きは見られずそのまま巨大イノシシを無傷で倒した僕のレベルは5になった。
うわっ! まさかここでレベルが上がるなんて思いもしなかった。
これは思わぬ誤算だったと思いながら僕は町に帰っていった。
町に帰ると雄二からメッセが届いて『町に戻り次第宿屋に集合』と送られてきた。
タイミング良すぎない? 僕の監視でもしてるのかアイツわ? なんてどうでもいい事を考えながら宿屋に向かった。
「おまたせ皆」
僕が雄二の部屋に入るともう皆が集まっていた。
「良く俺の部屋だって分かったな? 誰の部屋とは送ってなかっただろう?」
「この町の宿屋の部屋なんてどこも一緒だからね。とりあえず雄二からメッセきたから雄二の部屋きただけだよ」
というか分かってたんなら最初から部屋も教えろよ。全くコイツは
「そうか。そりゃ失敗したな。お前が女子の部屋に入ろうとしても入れなくて不審者扱いされる様を見てやろうと思ったのにな」
そんなに死にたいのか? 何でコイツは平然と僕を貶めようとするんだろうか? コイツを野放しにしておくと後々大変だ。今のうちに始末するべきだろう
「さて。明久も来たことだし本題に入るか」
僕が雄二をどうやって始末するか思案している内に話を進められる。
「皆目標通りのレベルには到達したな?」
雄二の問いに皆しっかり頷く。
「なら明久の言う通り次の町に行くか。明久ここから町までどれ位かかる?」
「ん~皆のレベルならそこまで強いMobに遭遇しなければ今から出ても夜の内には着くと思うよ?」
皆のレベルなら僕が守りながら進まなくてもいい分、僕が考えていたより早く着くと思う。
「そうか。ならすぐにこの町を出よう」
雄二がそんな提案をしてくる。
「そんな急に移動するの? 別にアタシは構わないけどそんな急いで移動した方が良いものなの?」
「‥‥‥優子。今日フィールドには他のプレイヤーがたくさんいた」
「このまま町にいても他の人達が邪魔で先に進めなくなると思うよ?」
翔子と愛子が優子にすぐ出ていく意味を説明してくれている
「別にアタシ達はここらのフィールドでレべリングするわけじゃないんだから、別に明日でもいいと思うけど‥‥‥まぁいいわ」
優子も納得してくれたみたいなので僕等は部屋を出た。あっ!
「皆! 言い忘れてたけどちゃんとポーションの補充しといてね! これから行く森の中はMobの数がかなり多いから」
先に伝えなきゃいけない事を伝え忘れる所だった。森まで行ってポーション切れ起こしましたじゃ困るしね
「そんなにいっぱいポーションいるの? 15個位じゃ足りないかな?」
「いや、そんだけ持ってれば十分だよ」
「それならば問題なかろう。みなポーションはそれなりに持っておろうて」
僕が愛子に疑問に答えたのに対して今度は秀吉が僕に問題ない事を伝えてくれる。他の皆も当然だとばかりの顔をしている。ただ一人を除いて‥‥‥
「ねぇ? ムッツリーニ? 君は一体何個持ってるの?」
「‥‥‥5個だ」
「それじゃあ補充してきなよ」
危ないとこだった。もう少しでこのまま行くとこだったよ。それにしてもムッツリーニがポーション切らす何てミスをするなんてなんだからしくないな。
なんて考えてると
「‥‥‥(スッ)」
ムツリーニが手を出してきた。
「えっと? この手は何かな? ムッツリーニ?」
「‥‥‥金貸してくれ」
「‥‥何でもう金ないの?」
僕の率直な疑問だ。ムッツリーニだって狩りに出てるんだからそれなりに稼いでるはずなんだけど?
「‥‥‥この世界のカメラを買うために有り金をほとんど全部使ってしまった。」
「「「‥‥‥‥‥」」」
皆の冷たい視線がムッツリーニを射抜いていた。
ムッツリーニはSAOに行ってもムッツリーニでしたね。