『
「感度良好。問題ない」
『なら良かった。では、ミッションプランを提示します。今回、あなたに課せられた任務は、これより向かう先にあるテロリスト拠点の排除です。現在、目標まで五キロの位置を飛行中ですが、目標地点上空付近で投下、強襲し、殲滅して下さい』
薄暗い輸送機のカーゴ内部。俺は愛機である
無線を通じて流れてくるオペレーターの声。目の前のセンサーディスプレイに表示される今回の任務内容。それらを全て視線で整理し、状況を把握する。なるほどな、今回もいつも通りって訳か。強襲して制圧、やる事に変わりはない。かれこれ三年近くなるが、この空気にも慣れ始めた。
「了解。使用許諾の出た兵装は?」
『特に指示はありません。どうやら政府側が弾薬費を負担するようです』
どういう気の変わりだろうか。俺は不思議でたまらなかった。なぜ、日本政府がここまでこの任務に肩入れをするんだ? ただのテロリスト排除任務だろう。俺にはその程度の認識しかなかった。
「そうか。了解した」
『なお、今回の任務は単独での任務となります』
そんな事わかっている。第一、この輸送機の中には俺一人しかいない。複数機にわけて僚機を連れて行く事もあるが、そんなに滅多にあることではない。最も、そんな大掛かりな任務があったら、今頃世界は戦争を始めているだろう。
『間も無く目標地点上空です。降下の準備をして下さい』
言われるがままに、射出カタパルトに土下座をするような形で乗る。こうしないと、空中での姿勢安定などに支障が出るらしい。
(パラシュートパック異常なし、ジェネレーター出力は平常通り。火器管制システムは問題なし、予備弾薬も問題無いな)
自身の愛機に異常が無いか最終確認をする。命を預ける相棒なんだ、これくらいしては当然だと思う。前に一度チェックも何もしないで出撃した戦闘機乗りの機体のエンジンがイカれて墜落寸前になったのを見たからな。それからはずっとこうやってチェックを欠かさずやっている。
『目標地点上空です。
「了解。ナーガ、これより任務を開始する」
そう答えると、俺は後方へと打ち出された。現在の高度は約六百メートル。背中のパラシュートパックはまだ開かない。およそ1トンのATが勢いよく降下して行くのはかなりの恐怖があるだろう。
次第に地面が見えてくる。そろそろだな。
「パラシュート、展開」
ー了解、パラシュート、展開。
俺はパラシュートを展開、降下して行く速度を抑える。現在の高度は五十メートル。余裕で今回のミッションターゲットが見える。
パック自体のスラスターを使い、姿勢を安定させて着地する。地盤の緩い地形なようで、重量があるナーガはつま先の方が少しめり込んだ。だが、それだけだ。戦いに支障が出なければ問題ない。
「おい、ATだ‼ ATがきたぞ‼」
「くそっ‼ こっちは政府との戦いでATを全機失っているってのに‼」
テロリストが何かを言っているようだが、この際ガン無視だ。どうせ、これから死ぬんだ。しゃべっても無駄だと思うぜ?
「目標を確認した。任務を開始する」
俺は右手にブラストライフルを呼び出す。掌に搭載された「ツール召喚ドライバ」によって、一度データとして格納されたブラストライフルがその姿を現す。通常のアサルトライフルより大型の銃身を持ち、グレネード弾と同等の弾薬を放つ、
激しい爆風が地面を抉り、爆発が大地をなぎ払う。たった一発で、三、四人の命を簡単に奪った。
「これでもくらえ‼」
ここの拠点には銃座があるようだ。歩兵相手には素晴らしい兵器だろうな。だが今回は相手が悪かった、歩兵搭乗型戦機が相手ではな。あいにく、通常小火器は通用しないんだよ。
「恨むなら、テロリストになった自分を恨むんだな」
空いている左手にガトリングガンを呼び出す。すでに回転は始まっている。銃座に座っていたテロリストが逃げ出そうとするが、俺はその無防備な背中めがけてガトリングを浴びせた。瞬く間にその男は文字通り蜂の巣になった。
ブラストライフルで建物を吹き飛ばす。爆発の熱で一気に燃え上がる。中の人間はこれで死んだだろう。
逃げ惑う下っ端どもをガトリングで掃討する。威力の強い弾薬を使っているため、胴と足が分離した死体もできて行った。
任務開始から一分半。辺りは人がいたのかと思うことができなくなるほど、原型をとどめていなかった。吹き飛ばされ炎上する建物、血が染み付いている土、もはやなんなのかが想像できない肉片。タンパク質が焦げる匂いや鉄の匂いがその辺りの空気を支配していた。
良心のある常人なら、この場を見ただけで気絶してしまいそうだ。逆に、これだけ人を殺しても何とも思ってない自分が恐ろしい。
軽く考えても二十人はこの世から消し去った。本当はもっと多くの人間が死んでいるだろう、そう俺は考えた。
ブラストライフルから排出された空薬莢がカラン、と虚しい音を立てる。
「オペレーター、聞こえるか? 目標を殲滅した、迎えを寄越してくれ」
『了解しました。回収用のヘリを回します。それまで待機していて下さい』
「了解」
そうとだけ伝え通信を切った。まだ木材が燃えているのか、熱を感じる。丁度、近くにコンクリートの残骸があったから、そこへ座る。いくらATを装備していようと、動かしているのは人間だ。疲れもするし、死ぬ時だってある。だから、極力エネルギーは消費したくない。
ただ燃えている炎を見つめている。何の変哲もない炎も、この戦場だと死んでいった者達の魂のようにも思えてくる。ただ、乾いた木材が燃え尽きるのを俺は眺めていた。
「…………この世界は、戦争が好きなのか?」
ふと呟きが漏れる。この世界は異常だ、毎日のように戦争をしている。それは、俺じゃなくても誰でもわかることだと思う。
ATがこの世に生まれてから早三十年。世界の各地では未だに紛争、内戦が続いている。日本は相変わらずの平和な国だが、だからこそテロリストに狙われやすくなっている。平和なんて、俺が生まれた時にはすでになかったんだろう。最も、俺の親の顔はほとんど覚えてない。精々、墓参りに行くくらいだ。
「…………彼奴は、元気にやっているんだろうか」
空を見上げて俺は思いを馳せる。もう、彼奴とは三年もあってすらいない。連絡も取り合ってない。ただ一人の幼馴染だから、より一層心配になってくる。実際、もう一人幼馴染と言っていいのかわからないが、付き合いの長い奴がいる。義妹だかな。
…………どうやら俺は、まだ人間のようだ。ATなんかを使ってドンパチやって人を殺して…………いつの間にか俺も
「ふぅ…………慣れって、辛いもんだな」
自然と漏れた一言。それを呟くと同時に、俺の視界には迎えのヘリが映った。
「お呼びでしょうか、社長?」
社長室。それは企業の重鎮がいる、企業の天守。そこに一人の少女が呼ばれた。特にこれと言った身体的特徴はないが、歳は二十歳を過ぎていないだろう。およそ十五、六歳ぐらいだろうか。彼女は、社長と呼ばれた男に呼び出されていた。
「ああ。任務の結果報告を頼む、神保君」
神保と呼ばれた彼女は、報告書が挟んであるクリップボードを見ながら、任務の結果を報告する。
「はい。では、結果の方ですが、目標のテロ組織は全滅。拠点も跡形もなく消し去りました。本任務の担当者は、コードネーム[バレットドラゴン]、紅城悠助。なお、使用弾薬費用は国の方で持つとのことです」
「うむ、ご苦労であった」
ありがとうございます、と神保が答えると、社長はさっきと打って変わって硬かった表情を柔らかくした。
「まぁ、任務の事はこれで良しとしよう、夏希ちゃん。ここからは少しプライベートな話になるから、崩していいよ」
「ふぅ…………やっぱり、こう硬いのって慣れないよ、お義父さん。そこ、座らせてもらうよ」
「ああ、構わないさ。ついでにパパと呼んでもいいんだぞ?」
「それは、全力でお断り」
社長が表情を柔らかくしたのと同時に、夏希と呼ばれた少女もまた緊張気味になっていた表情を柔らかくした。最も、お義父さんと呼ばれた社長は、夏希の反発をくらってなのかテンションが少し下がっているようにも見えるが。
「それで、今度は何なの? またお見合いとかそういうことじゃないよね?」
「違う。ちょっと、頼みがあるんだ」
「頼み?」
夏希は怪訝そうに首を傾げる。普通なら自分で行動を起こそうとする社長が、他人に頼むということは、天地がひっくり返ると同じようなことを意味する。最も、夏希は慣れているので大して驚きもしてないが。
「そうだ。ちょっと悠助を呼んできてくれないか? 一つ話しておきたいことがあるんだ」
「悠助に話したい事?」
「少しな。とにかく早く呼んできてくれ。頼むぞ」
「はいはい。ここに連れてくればいいわけね」
「そういう事だ」
「それじゃ、ちゃっちゃと呼んでくるとしますか」
夏希はそういうと席を立ち、社長室を後にした。部屋には社長ただ一人が残された。
「ふっ、これをあいつに見せたらどんな反応をするのだろうな。楽しみだ」
四代目劉ヶ崎重工代表取締役、劉ヶ崎進矢は柔らかい笑みを浮かべながら、机の上に並べた二枚の紙を眺めているのだった。
鳴り止まない砲撃の音。
別にここは戦場ではない。劉ヶ崎重工の武装試験場である。
試験の担当をしているのは、俺。陸戦用大口径リヴォルヴァーカノンのテストだ。チェーンガンには劣るが、それでも速い連射速度で放たれる砲弾は、すでに仮想敵ターゲットを五十枚以上粉砕している。
『おーい、そろそろやめにしてもいいぞ。データはバッチリ取れたぜ』
「ん? 了解、っと」
俺はリヴォルヴァーカノンのトリガーから指を離す。チェンパーの回転音が止まり、試験場は静寂に包まれた。足元には大量の空薬莢が転がっている。
「それで、どう? リヴォルヴァーカノンは?」
排出され高熱を帯びている空薬莢に恐れることなく、開発担当の芝本浩一郎(二十八歳独身。嫁さん大募集中)がリヴォルヴァーカノンの出来栄えについて聞いてきた。てか、ヘッドホンしないでよく耐えてられるな。鼓膜は鋼鉄でできてるんじゃないだろうか。
「な、なぁ、今変な解説されなかったか、俺?」
「いや、知らないっすよ。それで、リヴォルヴァーカノンの使い勝手なんですが」
「どうだい? 実際に使って見て」
「取り回しが厳しいため、中・遠距離からの支援射撃くらいが関の山だと思います」
「だろう⁉ 素晴らしーーへ?」
へ? じゃないよ、へ?じゃ。反動がきついんだよ、物凄く。その上砲身も長えし。こんなんだったら、まだガトリングの方が使いやすい。
本家のリヴォルヴァーカノンはあれだぞ。航空機の機関砲だからな。それを陸戦用に改造したから欠陥が生じたんだろ。というか一発一発の火薬量多いだろ。反動がマグナムより強く感じるぞ。無理やり押さえつけるんだったら、このままでも支障はないが。…………もはや、元のリヴォルヴァーカノンではないような気もするんだが。
「とりあえず、反動云々に関しては構わないが、砲身を短くしてくれ。近距離での取り回しをよくしたいから」
「んじゃ、これは一旦保留にしとこうか。次はーー試作品は無いようだから後は仕事ないよ。ご苦労様」
「了解っす。んじゃ、今日は先に上がっています」
俺は展開していたナーガを停止、格納する。ATだけではなく専用化されたトルーパーはその機体を量子化させ、別形態として持ち運ぶ事ができる。形態は各企業ごとに違うようだが、劉ヶ崎重工の待機形態は左腕の籠手だ。俺のナーガも今は黒い籠手として装着されている。
機体を格納した俺は試験場を後にした。向かう先は社員寮。この歳でこんな大企業に勤めているんだから、まあすごいと言ったらすごいのかもしれん。最も、俺は劉ヶ崎重工私兵部隊の一人だがな。
「あ、いたいた。おーい、悠助」
廊下の向こうから聞き慣れた声が聞こえた。しかも、俺を呼んでいるという事は…………嫌な予感しかしない。
「何だよ、夏希。俺になんか用か?」
神保夏希。俺の専属オペレーターだ。歳は俺と一つ下で十五。六月で十六になる。あとは特にこれといった特徴はない。まぁ、戦場だと役に立つんだが、何も無いオフだと
「さっき、お義父さんが連れて来いって言うからさ。連れにきたんだよ」
無邪気にも俺へ人懐っこそうな笑みを向けてくる。悪い気はしないからいいんだが、俺としてはあんまり向けられたくない。別に嫌とかというわけじゃないんだ。ただ、それは俺にとって眩しすぎるんだよ。影として生きてきたから、尚更だ。
「どうしたの? 早く行くよ。早く行かないと、お義父さん怒るかもよ?」
どうやら思考に更けてしまったようだ。というか、あの人を怒らせるとまずい。あの人にはATがあっても勝てる気が全くしない。何故なんだろうか。
「じゃ、行くか。そして、早いとこ済ませてしまおう」
とにかく怒らせるのはまずい。とにかくまずい。そう判断した俺は、夏希の案内のもと社長室へと向かった。
「お義父さん、悠助を連れてきたよ」
夏希さぁぁぁぁん⁉ 今公務の時間だよ⁉ そんな風に呼んだら鉄拳がーー
「お、連れてきたか。助かったよ、夏希ちゃん。ほら、悠助君もこっちに来て」
俺の心配は杞憂に終わった。どうやらプライベートタイムのようだった。最も俺もそう呼んでも構わないらしいが。てか、夏希の事随分と甘やかしているな、親父。
今社長席に座っている中年の男性こそ、劉ヶ崎重工代表取締役、劉ヶ崎進矢。俺と夏希の義父に当たる。というのも、俺も夏希も孤児なものだから親父が拾ってくれた、との事。俺は両親がいたんだが、テロに巻き込まれて死んだと親父は言っている。どのみち孤児に変わりはないが。
親父に言われるがまま、高級そうなソファに座らせられる。ああ…………こんなことになるんだったら、準戦闘装備服なんかでくるんじゃなかった。ほら見てみろ、革に土埃がついてしまった。
「え、お義父さん。話は悠助だけじゃーー」
「いや、二人に話があるんだ。大事な話だから、よく聞いてくれよ」
大事な話と言われ、緊張が場の空気を支配する。変な汗がこめかみのあたりを掠め、流れ落ちていく。
「実はだな」
俺は固唾を飲んだ。重い、空気が重過ぎる。さっき撃って来たリヴォルヴァーカノンの反動並みにきつい。夏希も変な汗が流れ出していた。ま、まさか、クビ⁉ え、俺解雇されるのか⁉
「お前達、高校に行かないか?」
ずるっ。
い、いかん。ソファの上に座っているにもかかわらず、素でずっこけてしまった。話の内容の重さが想像をはるかに超える軽さへ変化してしまった。さっきまで解雇とかクビとか考えていた自分がアホらしく思えてきた。というか、親父は何を突然言い出すんだよ。
「お、お義父さん? それ、どういう事?」
「どういう事もなにもお前達、小学校からまともに学校へ行ってないだろ」
確かにそれは言えてる。中学を過ごす時期はずっと戦場のイロハを学んでいたからな。それでも、通信教材で俺はやっていたぞ、中学でこなすカリキュラムは。結果は、上の中から上くらいらしい。結構、頭いいんだな俺。
「いやでも、通信教材だけでも問題ないんじゃないのか? 」
「通信教材で学ぶのもいいが、実際に教師から学んだ方がわかりやすいという事もある」
「親父…………一つ言うけど、受験もうできねーぞ。期日はとっくの前にすぎたし」
今日の日付は四月三日。受験なんてどこの高校もやっていない。というか新年度が始まっている。本当にいくアテとかがあるんだろうか。もしあったら、親父が持つコネクションはとてもすごいものだという事になる。
「心配するな。知り合いに高校の理事長がいてな、一校だけ二人分の枠を確保できたんだ」
親父のコネクションはすごかった。というか知り合いに学園理事がいるとか、聞いた事ねえぞ。
ますます親父への疑問とか興味とかが増えてしまった。いつかかは絶対にその真相を暴いてやろうか。
「そういう事だ。とりあえず、願書がここにあるから名前を書いてくれ」
「うーい」
「はーい」
一心不乱になって願書に自分の名前を書く。って、あれ? よくみればこれ行く先の高校が明記されてねえ。これ、パチモノとかじゃないのか? 落ち着け落ち着け。願書がパチモノということはそうそうないだろう。久々の学校を楽しむためにも、いったん忘れておこう。うん、それが最善の策だ。
「書き終わったか?」
「ああ、氏名を明記すりゃいいだけだったから問題はない」
「ちょっと気になるところもあったけど、多分問題はないと思うよ」
「よし、そうかそうか。あ、それと紅城、これは通達だ」
「はっ‼」
親父の空気がフレンドリーな奴から、ナイフのような冷たく鋭い空気へ変化した。名前ではなく名字で呼ぶことから公私の公の方に切り替わったようだ。俺もそれに合わせ、ソファを立つ。手を後ろで組んで、足を肩幅に開くと楽に立っていられるぜ。情報元、俺。
「お前に課せられていた第三世代歩兵搭乗型戦機[富嶽]ーーああ、今はナーガだったな。とりあえず、本機のテスト稼働を完了、現時刻を持って紅城悠助の専用機とする。浮かれずにこれからも頑張ってくれよ」
「はっ、ご希望に添えられるよう全力で務めさせていただきます」
表面上は落ち着いた態度で返しているが、内心恐ろしく焦っていた。だって、第三世代機が俺の専用機になったんだぜ。劉ヶ崎重工でもまだ五機しか生産されてない高性能試作機だぞ。最も、陸戦型だから空とか飛べないけど。
「うむ。話は以上だな。あとは、それぞれの持ち場に帰ってもらって構わないぞ」
「では、これにて失礼します」
「失礼しました」
俺と夏希は社長席を後にした。というか、親父に高校に行けとかと言われるし、富嶽ーー現ナーガを専用機として扱っていいと言われたりするものだから、心は物凄く疲弊していた。胃の方もなんだか痛くなってきた。後で、薬でも飲んでおこう。
「ねえ、悠助」
「なんだ、用件があるなら早く言え」
「学校、楽しみだね、えへへ」
夏希は高校に行くことがすごい楽しみなようだ。その明るい笑い声に悩みなんてものは消えてなくなった。まぁ、それでいいのかもしれないけどな。てか、悩みなんて消えてもらいたい。抱えているだけ面倒だ。
だが、どこの高校になるのかわからないから、なんとも言えない。都会か僻地か。それもわからない。だがもしかすると、その行き着いた高校で、三年前に別れた幼馴染とも会えるのかもしれない。まぁ、確率はものすごく低いだろうがな。
その後、俺の社員寮の自室へと真っ直ぐ向かった。今日は、任務のあとに試験運用…………体へと負担が激しい。その分、心の疲労も溜まっている。俺は、布団の上に乗っかると同時に意識を闇へ手放した。
そういえば、自己紹介していなかったな。俺は紅城悠助。富嶽ーー現ナーガの専用搭乗者になった、現在十六歳の若僧だ。よろしく頼むぜ。
用語
陸戦型歩兵搭乗型戦機
文字通り、陸上での戦闘を主眼において開発された歩兵搭乗型戦機。装甲と不整地走破能力に長けており、多くの歩兵搭乗型戦機搭乗者が扱う機種でもある。
しかし、装甲強化のため重量は非常に重く、種類によってはその不整地走破能力を完全に発揮できなくなっている機種もある。
主に基地の防衛や陸上戦闘部隊に配備。
空戦型歩兵搭乗型戦機
文字通り、空中での戦闘を主眼において開発された歩兵搭乗型戦機。機動力と索敵範囲に長けている。
しかし、空中での戦闘を考慮しており、装甲は薄く、また全般的に扱いにくい機種であるのは否定できない。そのため、一部の上級歩兵搭乗型戦機搭乗者のみが使用可能。
主に海兵隊や空中戦闘部隊に配備。
劉ヶ崎重工
日本の三大企業の一つ。作業員搭乗型重機及び歩兵搭乗型戦機についてのシェア世界五位。
主に陸戦型の歩兵搭乗型戦機の開発が多く、その性能は折り紙付きである。また、兵装類に関してもクセがなく扱いやすい兵装を生産している。
しかし、開発部の技術者の中には「変態」と呼ばれる部類の人間がおり、近接武器としてパイルバンカーを製作・装備するのはもちろん、中には航空機の近接射撃兵装であるリヴォルヴァーカノンを陸戦用大口径速射砲に仕立て上げる者まで存在する。