篠ノ之束になったので配信しながらアベンジする   作:BBBs

14 / 23
中核

3時間程度の配信を終了する。

配信関係のウィンドウやソフトを全て終了し、ちーちゃんに状況を確認する。

 

「ちーちゃん、S.H.I.E.L.D.の社長捜索の進展は?」

『衛星からの映像や目撃情報収集によってテネシー州に居る可能性が高いと判断しているようだ』

「流石にそれくらいはわかるか」

 

すでに監視映像は差し替え済み、リアルタイムで映像を差し替えているのでもう人間の目では気が付かないだろう。

それが出来るのもS.H.I.E.L.D.の電子機器の大半を支配下に収めたおかげで、レベル7までの機密はすぐに閲覧できるようになった。

それ以上になると侵入に苦労する硬固なセキュリティからスタンドアローンのサーバーや、指紋や網膜スキャンが必要な区画に紙媒体で置いてあったりするので閲覧がほぼ無理。

まあ、社長の捜索関係は結構レベルは高いが見られない情報ではない。

当然S.H.I.E.L.D.も社長の居場所は探していて、大まかな位置も見当がついているとのこと。

アベンジャーズのメンバーで、S.H.I.E.L.D.の相談役なんで探さない理由はない。

 

ニックの肝煎りであるアベンジャーズ計画だし、死んでしまうと色々まずい、十中八九蘇生させられるだろうが。

中身の何割かはヒドラなS.H.I.E.L.D.であるが、S.H.I.E.L.D.の振りしてちゃんと働いている以上しっかり調べている。

ヒドラとしては社長は死んでてくれたほうが嬉しいだろうし、死んでいなけりゃ居場所を把握しておきたいだろう。

社長が僻地でアイアンマンスーツ無しで彷徨っていたら、事故を装って殺しにかかる事も十分あり得る。

 

「今のところはうまく行ってるかな?」

 

だが考えていた結果は杞憂として流れていた。

昨晩ローズ・ヒルで発砲事件が起こりとある飲食店が爆発、電線に引っかかった身元不明の焼死体が見つかっている。

その周辺をS.H.I.E.L.D.の衛星で捜索したら、社長らしき人物をちーちゃんが見つけた。

んで夜が明けての昼過ぎ、ついさっき大統領専用機が爆散した。

当然落下する乗務員たちと彼らを救助しようとするアイアンマンを衛星が捉えた。

本体である社長たちは今ボートで移動中のはず、夜になれば奴らがいるだろう埠頭のコンテナ船に仕掛けるだろう。

奴らをぶちのめした後、最後に花火大会でトラウマ解消! ハッピーエンドで終わり。

それが半日後に訪れる、今私に出来ることは何かの拍子でS.H.I.E.L.D.に社長の居場所を知られるのを防ぐこと。

S.H.I.E.L.D.内で少々怪しい動きもあるので、ヒドラはしっかりと内側に存在しているだろう。

例えアベンジャーズメンバーであろうとこの事件に茶々は入れさせない、ここで社長はしっかりと羽化してスーパーヒーローになってもらう。

ガチで世界の命運が掛かっているんで、トラウマでへこたれてもらっては困りすぎる。

 

「誰かこの役割代わってくれないかなぁ……」

 

入ってくる社長に関する情報の添削を行いながら、一人ため息を吐いた。

 

 

 

 

 

そうしてS.H.I.E.L.D.とヒドラの邪魔をしていたら、マリブの社長邸で楽しい楽しいホームパーティーが始まった。

まるでクラッカーから飛び出す紙テープや紙ふぶきのように、地下の格納庫からアイアン・リージョンが飛び出していく。

衛星からの映像で素早く数を数えれば、アイアンマンスーツとは形が違うのが一機、編隊飛行の最後尾を飛んでいた。

 

「あ? 私のも花火にする気かよ!」

 

所有権は社長にあるとは言え、一着100億円以上もするスーツを破壊するのは勿体なさすぎる。

改良や拡張性の余地を十分に残しているから、新しい技術があるからと一から作り直す必要はない。

 

「……いや、違うか?」

 

花火にするため、ではなく地下格納庫に置いたままにすると奪われかねないから一緒に飛ばしたのかもしれない。

社長が自分で渡したウォーマシンならともかく、私が作った戦闘能力が比肩するスーツを解析されて技術が世界中に拡散するのは好ましいことじゃない。

世界中の企業や軍部が躍起になってスーツを作ろうとしているが、今のところ全く使い物にならない性能だ。

2010年のイワン・ヴァンコがハマー・インダストリーズで作った量産型とも言えるアーマーにも届かない。

なんかどっかの専門家かコメンテーターだかがアークリアクターがあればアイアンマンスーツを作れると言っていた気がするが、武装、装甲、推進装置、アビオニクスとどの部分をとっても既存の技術を超える革新的技術で構成してあるためにうまく行っても劣化版しか作れない。

いろいろ言ってる連中は無知の知ならぬ無知の()で笑っちまうね、世の中のコメンテーターとかはもうちょっと考えて発言したほうがいいと思う。

まあそんな世界中のスーツ製作事情の中、再現は出来ないが劣化版の技術であろうと搭載出来ればとても面倒なことになる。

その可能性を考えて一緒に飛ばしたんだろう、……それでも花火にされる可能性は未だ残ってるけど。

流石にここでスーツについて社長やJ.A.R.V.I.S.に苦情を入れるのはおかしい、誰にも話していないだろう情報を知っているのは疑いを深めるだけ。

問題が起こりそうなら連絡を入れてみるか。

 

 

 

 

 

飛行するアイアンマンスーツ群の進行方向とA.I.M.のサーバーから盗ってきた情報から、キリアン達がいるであろうマイアミの湾港に停泊中の船を見張る。

そうしてちーちゃんに監視を任せて数時間、太陽は水平線の向こう側に沈んで世界は夜の帳に包まれる。

監視している船は明かりをバンバン付けてるからすぐにわかった、照らされている中で銃を持ってうろついてるとか見つけてと言ってるようなもんだ。

スーツ群もすぐ近くにまで迫っている、開戦まで秒読みなのは間違いない。

 

「ちーちゃん、社長は?」

 

モニターの映像が切り替わり、コソコソと船に乗り込んでいく社長とローディさんを俯瞰で捉える。

その光景を黙って見つめ、ここで撃たれて倒れるなんて状況にならないよう祈っておく。

 

「敵の配置」

 

衛星の俯瞰映像が引き、船全体の映像。

目視できる範囲の人間を四角記号でマーキング、青色が社長とローディさん、赤色がA.I.M.の兵隊。

恐らく船内にも居るだろう、全員が戦闘員じゃないにしろ100人位は詰めてそうだ。

 

「怪しい熱源は?」

『現状異常な熱源は感知していない』

「……そんなに上手い話はないか」

 

判別は難しいだろうなぁ、任意で自身の熱量を操作できるだろうし。

通常時は普通の体温なのでサーモグラフィーで熱分布を調べても常人と見分けが付かない。

超人的身体能力、心臓や脳を除いた高度な再生能力、高温の発熱能力、精神への影響がなければ兵士に利用したいレベルの有用性。

そんなのがある程度量産出来るとか、エクストリミスを作り出したアルドリッチ・キリアンとマヤ・ハンセンは間違いなく天才だ。

そんな人物がそれなりの頻度で生えてくるからやばいんだよこの世界は。

 

「本当に頭おかしいわ」

 

私や社長ならもっと完璧に近いものに仕上げられることを含めて、頭おかしい連中多すぎなこの世界に対してため息を吐く。

 

『始まったぞ』

 

ちーちゃんの言葉にモニターへ視線を向けると、船上で発火炎らしき閃光がチカチカと瞬く。

スーツ群もすぐ側まで近づいており、恐らくもう目視範囲に入っているだろう。

 

「さて、どうするのかな?」

 

社長のポーズからアイアンマンスーツたちがエクストリミス・ソルジャーたちに飛びかかり戦闘開始。

遠距離では回避されるためか、近距離でリパルサー・レイを撃ち込んでいる。

一撃で頭や心臓を潰さないと倒せないのは実に面倒で、船の通路や梁が入り組んでいるのもあるせいで飛行しているのに組み付かれている。

その中で異質のスーツ、私の白騎士もきっちり参加している。

ライフルだと余裕で撃ち抜けるのだが船には爆発物が多いので、他のアイアンマンスーツと同じように近距離での戦闘を繰り広げている。

射撃を誤ればエクストリミス・ソルジャーを貫通して、爆発物に当たりかねない。

 

J.A.R.V.I.S.はちゃんとそこら辺を考慮して左手に取ったプラズマブレードを展開、エクストリミス・ソルジャー目掛けて振り下ろして斬りかかるも避けられて、逆に高熱化した拳を頭部に叩き込まれる。

だが耐久性も耐熱性も十二分に施しているため、大きな損傷なく素早く態勢を立て直して右手を開いて伸ばし、エクストリミス・ソルジャーの首を掴んで持ち上げ通路に叩きつける。

鉄製の通路が大きく凹んで歪み、再度持ち上げてから腕を振って海へと投げ捨てる。

その様子を見て他のエクストリミス・ソルジャーは仕掛けてこない、アイアンマンスーツと違って目に見える武装を持っているためか隙を窺うだけ。

だがそれは悪手であり、高速で飛行してくるアイアンマンスーツに奇襲のリパルサー・レイを受けて吹き飛び落下していく。

 

それを見送って、次に手に取るのはビームライフル。

右手に持って狙うのは、反対側の離れた通路にいるエクストリミス・ソルジャー。

格闘戦をしているアイアンマンスーツに組みつこうとしたところを、ビーム粒子の収束率を上げた鋭い一撃で狙い撃つ。

瞬時に空間を走り抜けたビーム弾は、正確にエクストリミス・ソルジャーの胸、心臓を貫いて夜の海上に消えていく。

狙い撃たれたエクストリミス・ソルジャーは穴の開いた自分の胸を見て、力無く倒れ込んで絶命した。

 

「やるやん」

 

千切っては投げ、千切っては投げの繰り返し。

社長が一心不乱に作ってきた息子たちよりも頑丈な白騎士は、組み付かれても簡単に引き剥がし、掴まれて高熱に曝されても平然と掴み返して骨をへし折っていく。

骨が折れた程度じゃエクストリミス・ソルジャーは無力化出来ないが、痛覚はちゃんと機能しているために苦痛で怯んだ隙に貫手で胸を貫いたり掴んで投げ飛ばしたりでなかなかの活躍。

アイアンマンスーツがぶっ壊されている状況から白騎士つえーと思いがちだが、製造コンセプトが全然違うし破壊されているアイアンマンスーツはどうも機能特化型が多く装甲などは薄めと見受けられる。

あと手で掴まれ高熱を受けて機能障害が発生しているようだが、どうもエクストリミス・ソルジャーは高出力の電磁波、電磁パルスを放出している可能性が高い。

 

どういう原理か直接調べないとわからないが高熱化の際に体内で電磁パルスが発生、それを浴びて機能障害が発生しているのではないかと見ている。

その上高熱とのコンボで負担が大きくなり、結果動きが鈍っているんじゃないだろうか。

周囲の影響を見るに、高出力だが小範囲のEMPとして見ていいだろう。

電子機器の塊であるスーツは当然ガチガチの防護処置を施しているが、それを抜いてきているのでかなりやばい出力なのがわかる。

副作用であれ小範囲高出力EMPとか、どんだけ性能盛ればいいんだエクストリミスは。

わかる人が見れば研究したいし、兵器利用でも十二分に使えるものなんで悪用したい人が出るのも当然か……。

 

悪用されることが決まっているエクストリミスのことを考えながら、状況が進行している船上を見る。

社長がエクストリミス・ソルジャーの妨害とアイアンマンスーツの援護を受けながら移動用通路や支えの鉄骨の上を飛んだり走ったり、必死なのは破損したクレーンに挟まれたペッパーさんを追いかけているから。

ストーリーラインの通りに進行している、だが急に道筋が外れる可能性もある。

社長の生存は最重要ではあるが、ペッパーさんも超重要で見過ごせない。

何せ社長のメンタルケアをやってくれる大事な人、もしペッパーさんが居なくなってしまったら社長のメンタルは坂を転がり落ちるようにボロボロになりそうで怖い。

 

「白騎士は?」

 

モニターが白騎士を中心とした俯瞰映像に切り替わる、切り替わった瞬間にはプラズマブレードを横薙ぎにしているところだった。

刃にあたる熱プラズマ放射は10万度を超える温度を持ち、知られる金属全てが即座に蒸発する温度を押しつけられればエクストリミス・ソルジャーと言えど耐えられるはずもない。

鉄の手すりごと上半身と下半身が泣き別れて通路に転がるエクストリミス・ソルジャー、その様子をさらにズームで拡大してみるとゆっくりとだが真っ赤に燃えるマグマが断面から流れ出るようにして下半身を形成していく姿を捉える。

当然それを見過ごすJ.A.R.V.I.S.ではなく、挙げた右足のヒールで逃れようともがくエクストリミス・ソルジャーの胸を踏み潰す。

 

「やべぇ……」

 

四肢だけではなく下半身まで再生出来るとか、エクストリミスの再生能力を甘く見ていた。

四肢はおそらく100%そのまま再生出来るだろう、骨や筋肉などの運動器系や感触などの感覚器系などをきっちり再生できなければうまく動かせないだろうし。

内臓なども完璧に再生出来るのであれば、まさに医療革命と言っても過言ではない。

ただ適合率が高くなければ、そこまでの再生能力は持てないかもしれないが。

実に有用に見えるが間違いなく軍事利用されてひどいことになるのは想像に容易い、寧ろエクストリミスなんて作らなければよかったまである。

 

いろんな意味で酷い技術を思いながら、今度は社長の方へと映像を移す。

対峙した二人、走り出す社長とキリアンの一騎討ちが始まる。

クレーンの影になっていたために、ペッパーさんが落ちたところは見えなかった。

生きててくれよと祈りながら、二人の殴り合いを見守る。

社長はスーツを装着して戦うも、赤熱するキリアンの攻撃で装甲が簡単に破壊されている。

 

こうして見ると明らかに3000度を超える熱量を持っている、よくよく考えれば不適合で爆散するのと適合して自在に操るとでは違いが出るのは当然。

キリアンは特に適合率が高いように見える、その熱量で融解させてスーツを破壊しているのだろう。

攻撃を受けスーツが破壊されながらも凌ぐ社長と、赤熱する殺意を持って殺しにかかるキリアン。

時にはスーツから脱出し、時には別のスーツに着替えながら戦う社長。

パワードスーツであるアイアンマンを圧倒する身体能力で追い詰め始めるも、スーツを破壊されながらも致命的な一撃をギリギリで回避している社長。

 

このままではスーツの在庫切れでなす術もなく殺さねかねない状況だが、攻撃から逃れスーツを脱ぎ捨て一度距離を取ったところで本命が来た。

今までは社長の時間稼ぎだったようで、遅れてやってきたスーツが社長の元に辿りついて装着。

アイアンマンMark.42かと思ったが、明らかに形状やカラーリングが違う。

何時もの赤と金に、珍しい白の三色で塗装されていてフォルムは多少鋭角的。

 

それを見ていたキリアンは駆け出し、社長はリパルサー・レイで迎え撃つ。

キリアンは文字通りの超人的機動でリパルサー・レイを回避して接近、赤熱した指で切り裂くようにスーツの装甲を打つが、今までのスーツと違って装甲が裂けることなく耐え抜く。

キリアンは驚く間もなくアイアンマンの握った拳を受けてタタラを踏む、そこからは攻守が逆転した。

社長はリパルサー・レイと打撃を繰り出し、その攻撃を受けながらも反撃を繰り出すキリアン。

装甲は赤くなるも破れず、手足のリパルサー推進ユニットを利用した高速の連打を受けてのけ反る。

トドメとばかりに胸を張ってユニ・ビームの発射態勢に入るが、キリアンは飛び込み前転で紙一重で回避。

 

握った拳を打ち込もうとするも飛び込んだ形が仇となり、跳ね上がったアイアンマンの膝が顎を捉えてキリアンの体が跳ね上がる。

同時に飛び上がっていたアイアンマンがリパルサー・レイを撃ち下ろし、被弾したキリアンが通路を突き破って落下。

怒りを浮かべたのはキリアンだけじゃないと言わんばかりにリパルサー・レイを連続で撃ち込んでいくアイアンマン。

落下先のコンテナを突き破って激しく落下、今度こそトドメのユニ・ビームを撃ち込んでコンテナが大爆発を起こした。

 

それを見届けてゆっくりと降りて着地、今回の騒動は大事な人が犠牲になるも首謀者を討ち果たして解決……。

とはならず手のひらを向けてアイアンマンが振り返れば、エクストリミスに適合して無事だったペッパーさんが立っていた。

そうしてスーツを脱いだ社長はペッパーさんと抱き合って、アイアンマンスーツ花火大会でめでたしめでたし。

残念ながら白騎士も花火大会の彩りに添える形となった。

それを俯瞰映像で見届ければ、思っていたよりも丸く収まったと感想。

ここは必要以上に手を出さないと決めたが、いざそうするとかなりやきもきしてしまう。

 

「……はぁー、ちーちゃん、J.A.R.V.I.S.にA.I.M.の情報全部送っといてー」

『わかった、送信しておく』

 

既に違うものだが知っていると言うのは結構辛い。

もう一度ため息を吐いて、深く椅子に凭れ掛けた。




アイアンマン3との相違点
・大体一緒だが一部スーツが違う、うさぎ製スーツを解析して長所をアレンジして取り込んだので、良いところが少なかったMark42君よりも頑強で強くなってたりする。
問い質しても多分はぐらかされる。

エクストリミス・ソルジャー
・3000度は凄いけど薄いとは言えあんなに複合装甲を引き裂けんの? と言うツッコミが結構あるので適合者は爆発3000度よりも高温を出せるだろと不要な強化をしたが特に変わらなかった。

顛末変更
・別に社長に倒させても構わんのだろう?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。