灯火の星   作:命 翼

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久しぶりに書きます。よろしくお願いします。


通じた願い

「………」

 

メリーが霊夢さんやにとりさんに向かって自慢気に語っている間、私は一瞬とはいえ視界に入った光を探すかのように空を見上げていた。時間帯は今は夕方。丁度夕陽が差し掛かって来た時間帯ではあるが、まだ流れ星が流れるには時間が速いような気がすると感じていたからだ。 流れ星や星が見える時は大体夜、だが今は夜ではない。気のせいとは思いたくないと奇跡を信じながら、空を見上げていたが…

 

メリーが語る隣で私が空を見上げていたのが目に入ったのか。にとりさんが私に声をかけてくる。

 

「蓮子。どうかした?何か空にある?」

 

にとりさんのその一言により、3人の視点が一気に私に集まる。必死に空を見つめるものだから何かあるのだろうかと思ったにとりさんが縁側から立ち上がると、ゆっくりと私の方に近づき同じ方角を見やる。

先程まであの一瞬しか見えなかった光が、自分はここにいるとばかりに再度輝きを放つ。それを見てにとりさんやメリーは驚き…

 

そしてにとりさんはただ1人縁側にてゆっくりと座り込んでいた霊夢さんの方を見ると声を張り上げ…

 

「霊夢!!今何か感じなかった!?」

 

「えぇ。感じたわ。この反応は願い星ね…蓮子、メリー。2人共そこから動かないで。願い星は2人の場所を探しているわ」

 

疑問が嬉しさに変わった瞬間だった。メリーは霊夢さんの言葉を聞いて、喜びを静かに露わにしていたが、その後の彼女の言葉を聞いてその場にきっちりと足を止める。私も嬉しかったが、霊夢さんの言葉を聞いてメリーと同じように徹底的にその場から動かないように足を止める。逆にこれで動いてしまったらバトルした意味がなくなってしまう。

 

緊張の瞬間だった。上空の光は光る度に輝きを増していき、少し眩いと思うほどだ。霊夢さんは小さな声ながらも願い星がどれ程近づいて来ているのかを呟いている。メリーには聞こえてなかったようだが、私の耳には確かに聞こえていた。

 

「2人はそのままでね…!!案外願い星って威力あるからデタラメに触ろうとしたらダメだよ!!」

 

一体どんなのが落ちてくるとでも言うのだろうか。にとりさんが願い星が近づいて来たのを確認して、私達にそう告げながら離れて行くのを見て私は大きく息を呑む。だが隣のメリーは非常に満足したかのような表情を浮かべており、あれ?ひょっとしてこんなに緊張しているのって私だけ!?と思いつつ、一瞬目を瞑る。

 

すると空から落ちて来た願い星が地面を抉りながら着地。丁度私達に土がかけられた状態となり、顔の土を払い除け、口の中に入った土を吐き出す。隣にいるメリーの声を聞き、ちゃんと来たんだという事を実感。私はゆっくりと目を開ける。

 

「外の世界ではあまり威力は高くないらしいんだけど、幻想郷に落ちて来る願い星は中々に威力が高くてね…」

 

着地…というよりは墜落して来た願い星二つをあっさりと持ち上げる霊夢さん。目を瞑っていたせいか彼女が移動した瞬間を見れなかったが、そんな事はどうでもいい。外の世界でもこんなのが降っているとの事らしい。こんな威力は高くないらしいが、逆にこんな隕石のような物が毎回幻想郷に降り注いでいるという事を考えれば、はた迷惑な話だ。

 

「あ、熱くないんですか!?だって隕石のように…」

 

「ああ…これそこら辺の石ころと温度は変わらないんだよ。だから安心しな」

 

「にとり」

 

霊夢さんに名前を呼ばれたにとりさんは二つの願い星を受け取ると、私達にこれでダイマックスバンドを作って来るとだけ告げて一度博麗神社から去って行く。熱くなさそうに持っているにとりさんを見て、改めてそんなに熱くないんだというのを感じた後、霊夢さんがさて…という一言をきっかけに私達に話しかけて行く。

 

「アンタ達。改めて意思を問うわ。ジムチャレンジに参加したいかしら?」

 

「参加したいです!!変わったとはいえ、幻想郷の事知りたいですし!!」

 

メリーの言う通りだ。私達が思っていた幻想郷とは今の幻想郷は遥かに違う。ポケモンの影響もあり、外の世界から様々な人が幻想入りして来た。私達も同じというのは事実。だが私達が昔から思い描いていた幻想郷の姿は今はない。どこに行ってもイメージしていた景色は見えないだろう。だが…

 

「蓮子…アンタはどうする?」

 

「参加したいです…!!変わったとはいえ、こうして幻想郷に入れた訳ですし…一度でもいいから回ってみたい…!!」

 

いつかは私達のいた世界に帰る事になるだろう。だったら今のうちに思い切りのわがままを貫き通したい。私とメリーが憧れに憧れていた幻想郷を回ってみたい。それが本心だった。私とメリーの真剣な目つきを見た霊夢さんは、一息吐き、そう…とだけ呟くと私達に一度背を向け…

 

「そこで待っていて。今推薦状を書いて来るわ」

 

「は、はいっ!!」

 

願ってもない瞬間だった。バトルをして願い星が降って来た事により、揺れていた霊夢さんの心を完全に突き動かしたのだ。一度神社内に戻って行く霊夢さんを見て、メリーは安心したかのように大きく一息吐くと…

 

「やったね蓮子…!!でもこれからだよ…!!幻想郷を回れるとはいえ、レースみたいなのに参加する訳だからさ」

 

「…そうだね」

 

まるで夢のようだった。憧れていた幻想郷に入れ、さらに幻想郷の行事に参加出来るというおまけ付き。誰かがどこかで仕組んでいるのではないかと感じる程に。だが痛みを感じる事から察するにこれは現実。寝ていないのだから当たり前の事だが、どうしても現実とは思えない事が多々続いていた。

 

私はメリーの言葉に返事した後に静かに覚悟を決めたかのように拳を握りしめる。参加するという決断を下した以上、逃げる訳には行かない。気が付けば私の額から冷や汗が流れていた。

 

「あれ蓮子…冷や汗が…」

 

「うん…分かってるよ。今更だけどさ…本当に夢のような出来事が続いているような気がしてさ。正直…足がずっと浮いているような感覚なんだ…」

 

隠す事はない。私はメリーに正直に思っている事を語る。メリーは私の一言に対して、意外そうな表情を浮かべる。そら、そんな風に意外そうな表情を浮かべるのは仕方ない事だと思う。だがどうしても今になっての恐怖感を誰かに伝えたかった。

 

私が浮かべていた苦笑いに対して、メリーは一息吐くと…

 

「蓮子が心配症なのは知ってるよ。でも…今回は大丈夫だよ、私もいるし、イーブィもロコンもいるから!」

 

ただ呟いているようにも見えたが、私には充分心強く見えた。私を理解してくれているメリーと側にいてくれているロコンとイーブィ。私の中の緊張が少しだけ和らいだ気がした。

 

「お待たせ。あら、お邪魔だったかしら?」

 

「い、いえ…そんな事はありません!!」

 

推薦状を持って来た霊夢さんが私とメリーが向き合っている姿を見て、ニヤリとした笑みを浮かべる。メリーは即否定した後に霊夢さんはクスクスと笑みを浮かべると、両手を広げ私とメリーに一つの封筒を差し出してくれた。私達がそれを見て息を呑んで黙り込んでいると…

 

「これ、推薦状。ここから人里にあるスタジアムの受付に提示すると正式に参加が認められるわ」

 

「は、はい…!!」

 

霊夢さんから正式に説明を受け、私とメリーは一度顔を見合わせた後に推薦状を受け取る。ただの紙とその封筒なのに、緊張しているせいか物凄く重いように感じた。何せ霊夢さんは幻想郷における、一番強いポケモントレーナーだ。そんな彼女から推薦状を受け取るという事は中々、プレッシャーにもなる。

 

「今日はもう遅いから泊まって行きなさい。そして明日、にとりがダイマックスバンドを届けてくれるから、そこから人里に向かいなさい」

 

そう言えばにとりさん、ちゃんと帰れたのだろうか。もう夜になった事を考えれば、心配も出て来るが…とりあえず私達は霊夢さんのいる博麗神社に一泊する事となったのだった…




見てくださりありがとうございます。
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