「いやぁ…開会式、すっごい緊張したね!!」
「あんなにチャレンジャーがいると少し不安になってくるね」
開会式を終え、更衣室にて着替えを済ませた私達は受付付近に戻ると一息吐く。生でジムリーダーや開催者を見たという事実を未だに受け入れる事が出来ておらず、足が地面に着いていない感覚だ。それはどうやら私だけではなく、メリーや魔美も同じ風に見える。
「一斉に一つ目のジムにチャレンジャーが向かうから、迷う心配はないと思うけど…」
「まずはジムリーダーに勝てるように頑張らないと…!!」
同じジムチャレンジャーという事はライバルである証拠。だが私達はまずジムチャレンジを突破出来るように、3人で同時に頷き気合いを入れ直す。そして魔美は一息吐くと…
「私、人里付近の道で何かポケモンを捕まえてくる」
「え?すぐに行かないの?」
「ちょっとだけ不安だから…」
魔美から出た言葉に一瞬疑問を覚えた私達ではあったが、彼女の浮かべた苦笑いとつい出た本音を聞き納得する。当然私はすぐに一つ目のジムに向かう事を決めている為、ひとまず魔美とはここで別れる事になる。彼女は私達を見渡した後に、少し照れつつ…
「私もすぐに追いつくから…が、頑張ってね…」
「うん。ありがと」
魔美は私とメリーが浮かべた笑みを見て、少し安心したようなそんな表情を見せると「それじゃ!」とだけ告げて、その場を去って行く。義理ではあるがジムリーダーの娘、魔美も相当気合いが入っているように見える。そんな背中を見て、メリーは小さく「よし」と呟くとゆっくり私の方に振り向いて…
「蓮子!!ジムに向かう前にポケモンバトルしようよ!何かジムリーダー見ていたらウズウズしちゃって!!」
「げ、元気だなぁ…分かった。いいよ」
「ありがと!!じゃあ外で待ってるから準備出来たら来てね!!」
魔美の姿やジムリーダーの姿を見て気合いが入ったのだろう。力強くポケモンバトルをしたいという事を私に告げると、少し声を張り上げ気味に呟いた後にその場から走って去って行く。全てが未知の体験であるせいか、あんなに子供のようにはしゃぐメリーを見たのは初めてだ。
もしかしたら現世に戻ったら元に戻るんだと思うけど、今だけの姿として記憶に刻んでおこう。
「さて…あんまりメリーを待たせられないし、早く行ってあげよう…」
出すモンスターボールを選択し、ひとまず外に出る。どうやらスタジアム近くにはいないようだ。どこに行ったんだろう?と少し探しながら歩いていると、相手がこちらの姿を見つけたのか。メリーの私を呼ぶ声が聞こえてくる。ひとまずその声に導かれるがまま歩いていると…
「蓮子?人が多いからって迷わないでね?」
「メリーが呼んでくれたおかげで何とか辿り着けたよ」
メリーがいた場所はポケモンセンター周辺。丁度ポケモンバトルスペースがあり、そこにて行うようだ。クスッと笑うメリーに対して、私は小さく息を吐きモンスターボールを出す。メリーも私の行動を見ながら、モンスターボールを出すと…
「今度は負けないからね!!行くよ!!」
「今回も私が勝つ…行くよ…ロコン!!」
「行っておいでココガラ!!」
私はロコンを出し、メリーはココガラというポケモンを繰り出す。ココガラは昨日のバトルで見たポケモンだ。あの時は男のポケモンを圧倒していたように見えるが、今回はどうだろうか。
「全力で行くからね!!ココガラ、にらみつける!!」
メリーが第一手として選んだのはにらみつける。これはどういう技なのか分からないが、ココガラににらみつけられたロコンの身体から急に冷や汗が溢れ出す。そう何回も食らっていい技ではないように見える。だったら…!!
「ロコン!!でんこうせっか!!」
かなしばりにて技を封じ込めるのも手の一つではあるが、何か攻撃技を持ってる筈。その一個に使う事にし、攻めに転じる。私を指示を聞いたロコンは足元を蹴り出すと、高速でココガラに近づくとそのまま体当たりをかます。でんこうせっかを食らったココガラは少し吹き飛んだが…
「ココガラ!つけあがる!!」
ココガラはすぐに体勢を立て直すと、ロコンの下にしゃがみ込みそのまま顎に体当たりをかます。ロコンの顔はそのまま上の方へ、それを見たメリーがさらにココガラに指示を出し…
「ココガラ!!つつく!!」
ロコンが顔を戻したその瞬間にココガラのつつくが炸裂。これによりロコンは少し顔をしゃがませるが、逆にココガラが近くにいる事を考えればチャンス。私は思い切りロコンに指示を出す。
「ロコン!!やきつくす!!」
「やきつくすっ!?」
昨日の事だ。話しかけられたおじさんとバトルした際に身についた技。ひのこの上位互換だというこの技をロコンは使い、炎をココガラにぶつける。ココガラは近くにいたからまともに食らったものの、何とか耐え切った様子。少しふらついているのでチャンスかと思ったのだが…
「もう一度!!ココガラ!!つつく!!」
「ロコン!!再度やきつくす!!」
ロコンの炎がココガラに迫りきる前に、ココガラのつつくがロコンに炸裂。これによりロコンは怯んだかのように痛がった表情を見せたが、ロコンの吐いた炎は見事ココガラに命中した様子だ。もう一発炎を喰らった所でココガラは吹き飛び、ここでダウン。
メリーは一瞬歯を食いしばりながらも、ココガラをモンスターボールの中に戻してすぐに2体目のウールーを場に出す。特性かもしれないが、物理が効かないウールー。でもほのおタイプの技なら…
「ロコン!!やきつくす!!」
「ウールー!!たいあたり!!」
何発もやきつくすを使った影響からか、少しばかり息を吸うタイミングが遅くなったが何とか再度炎を吐き出す事に成功。そのまま転がって突撃して来たウールーにも命中したが、何とウールーは炎を食らってないかのように動き、たいあたりにてロコンを吹き飛ばした。
「なっ!?前は結構ダメージを受けていた筈…!?」
「我慢してくれただけ…!!それよりロコン大丈夫?」
メリーのウールーのたいあたりを食らったロコン。その打ち所が悪かったのか、一気に戦闘不能に。まさか我慢だけで平然とするとは…まさかの事態に私は息を呑みながらも、ロコンを戻しリオルを場に出す。
何回もやっている通り、ウールーには物理技がほぼ効かない。でもまだイーブィを出す訳には行かない…!!
「行くよリオル!!前みたいにやってくれたら大丈夫だから!!」
リオルは私の言葉に頷き、ウールーに向かって構える。
「行くよリオル!!フェイント!!」
メリーが動く前にこちらが仕掛ける。リオルにフェイントを指示し、リオルは指示通りウールーに近づいて思い切り殴りつけるが、やはり特性のせいなのか全く効いていない様子。然もそこから…
「ウールー!!たいあたり!!」
リオルがウールーに近づいたのをいい事に、ウールーのたいあたりが炸裂。あっさりと吹き飛ばされてしまうが、私の前で踏ん張ると一度一呼吸入れた後に、私がリオルに指示を出す。
「リオル!!メタルクロー!!」
攻撃力を上げる可能性があるメタルクローを選択。リオルは爪を立ててウールーに思い切り迫ると、そのまま引っ掻く。だがこれもウールーにはあまり効いておらず、その様子を見たメリーはクスッと笑い…
「ウールーには物理技は効かないよ!!行くよ!!まねっこ!!」
「っ!?」
前に選んだ技はメタルクロー。リオルに向かってウールーの技が炸裂するが、リオルはそんなに効いていない様子。然しウールーの力が少しだけ増したような…そんな気がした…
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