メタルクローを放ったウールーに対して違和感を抱いていた私、然し今は勝負の最中で指示を出さないと切り込まれるだけ。心の中の違和感を今だけ捨て、リオルにでんこうせっかの指示を出すが…
「ウールー!!まるくなる!!」
メリーが取って来た手はまさかのまるくなる。これにより高速でウールーに迫ったリオルの一撃が命中はしたものの、そのダメージが皆無に等しいものとなってしまった。でんこうせっかを食らっても尚、痛がる素振りすら見せていない。
「っ!!」
「今度はこっちから行くよ!!ウールー!!まねっこ!!」
リオルが先程繰り出したでんこうせっかをウールーは完全に真似をし、でんこうせっかを打ち込んだ後、私の元に戻って来ていたリオルに高速で迫ると体を転がして体当たりして来た。先程のメタルクローの影響からか、その一撃はリオルにとっては重かったようで少し吹き飛んだ。
「リオル!大丈夫!?」
リオルは痛がる素振りを見せつつも、大丈夫と言わんばかりにこちらを見てうなずいて来た。これを見て私も気合いが入ったのだが、メタルクローは元々何らかの確率で攻撃力を上げる技。今の技の重さを見ていると、そうなったという事で違いない筈。
「一気に攻め立てるよ!!ウールー!!たいあたり!!」
「(攻めなきゃやられる…!!)リオル!!フェイント!!」
こらえるの技も頭の中にはあったが、どうせ攻め立てられる感じになってしまう。だったら少しでもウールーにダメージを与えて、最後に控えるイーブィに託すしかない。リオルが倒されるか、攻撃を耐え切るか、これは私の中の賭けだった。
ウールーの攻撃が迫る前にリオルのフェイントによるパンチが炸裂。一瞬ウールーの動きを止めたが、ほんの数秒。リオルは間もなくしてウールーの体当たりをダイレクトに喰らい、私の目の前にまで吹き飛んできた。
「リオル!!」
リオルはウールーの体当たりをクリティカルに喰らっていたようで、ここでノックアウト。賭けとしては悪い方には出たが、これもリオルには申し訳ないが予想内。歯を食いしばりながらリオルに励ましの言葉を送りながら、ボールの中に戻すと一息吐きながら気を引き締め…
「行くよ…イーブィ!!」
私の中にいるポケモンにして最後の砦。勢いよく地面に当たったボールから出てきたイーブィは気合い充分かのように声を張り上げた後に、一度私の方を横見して頷く。イーブィも状況が分かっているようで、その目からは覚悟が伝わって来る。
「出てきたねイーブィ!!ピカチュウを出す前に一気に勝負をつける!!ウールー!たいあたり!!」
「そうはさせない…イーブィ!!びりびりエレキ!!」
メリーの指示を受けたウールーがそのままイーブィに転がりながら突撃して来るが、先に動いたのはイーブィの方。身体に電気を溜め込むとそのままウールーのいる前方に放出。近くまで来ていたウールーはかわす事が出来ず、そのままびりびりエレキの餌食となり吹き飛ぶ。
そのままウールーは後方に転がりながらメリーの前で止まり、そこで力尽きたのか横に倒れる。
「あっちゃー…やっぱりダメージが蓄積されていたんだ…仕方ない。お疲れ様、ウールー」
ロコンとリオルの二体を倒したウールーがようやく倒れてくれた。ウールーに労いの言葉をかけながら、ボールを戻すメリーを見て一瞬安堵の息を吐いたが、すぐに気を引き締め直しメリーのラストのポケモンを待ち受ける。「そっちがイーブィを出したのなら私も応えないとね…!!行っておいでピカチュウ!!」
ニヤリとした余裕の笑みを見せながらメリーが繰り出したのはこちらも、メリーのラストのポケモンであるピカチュウ。早くも3回目の対決となった。ここまで1勝1分。この対面、私とイーブィにとっては不利な面は今のところない…!!
「行くよ!!イーブィ!!でんこうせっか!!」
「ピカチュウ!!エレキボール!!」
メリーの指示を聞いたピカチュウは尻尾に電気を貯め始め、数秒もしないうちに電気で出来たボールを作り出す。イーブィはピカチュウがそのボールを放って来る前にでんこうせっかにて、ピカチュウに体当たりをするが技を使用している最中の影響からか、吹き飛ばされる事なく踏ん張り…
そのまま自身の近くにいたイーブィに向かってエレキボールを喰らわせる。爆煙を巻き起こしながら、イーブィは少し歯を食いしばりながら私の前にへと吹き飛びながら戻って来た。
「でんきショックじゃないの!?」
「えへへ…今はこっちにしてるんだ!そして蓮子、イーブィに気を使わなくて大丈夫?」
ニヤリと笑いながら私のイーブィの事について問いかけて来たメリー。その問いかけにハッとしてイーブィの方をふと見てみると、イーブィが少し苦しそうな表情で動きにくくしている姿が。忘れていた…!!ピカチュウの特性は自身に触れた相手を麻痺させるものだ…!
「しまった…!!」
「よく考えて指示を出すものだよ!!ピカチュウ!!でんこうせっか!!」
イーブィが痺れてあまり動けなくなっている状態で、ピカチュウはメリーの指示を受けてお返しとばかりに高速で迫って来るとそのまま体当たりをしてくる。イーブィは足にありったけの力を入れて踏ん張ったようだが、その表情はかなり苦しそうだ。
「イーブィ!!ピカチュウに向かってすなかけ!!」
ピカチュウが離れる前にイーブィは身体が麻痺しながらも、ピカチュウの身体に砂を浴びせる。ピカチュウはイーブィから離れたものの、目に砂が入った影響で目をパチパチとさせている。
「イーブィ!!でんこうせっか!!」
この隙に一気に攻め立て、身体が痺れている中で私の指示を聞いたイーブィはピカチュウの元に高速で近付くとそのままもう一回体当たりを喰らわせ、吹き飛ばす。そして…
「イーブィ!!ほしがる!!」
そのままの勢いでピカチュウにほしがるを喰らわそうとした私ではあったが、何故かイーブィの動きがピタリと止まってしまい、私の方を見て首を傾げてしまう事態に。私自身訳もわからずにいたが…
「これで終わらせる!!ピカチュウ!!エレキボール!!」
混乱しているうちにピカチュウのエレキボールがイーブィに向かって放たれる。さっきも爆煙を巻き起こした程の威力だった為に、私は一瞬負けを覚悟したがエレキボールを見たイーブィが…「ブイイイ!!」
エレキボールが命中する前に声を張り上げたイーブィ。そのイーブィの声から放たれたのは黒色の衝撃波、結局エレキボールをかき消す事が出来ずにまともに食らったイーブィではあったが、その衝撃波はどうやら攻撃技だったらしくピカチュウも吹き飛ぶ。
イーブィは私の前にまで吹き飛んできて戦闘不能、後はメリーのピカチュウだけだったが先程の攻撃。中々の高火力の技だったらしくピカチュウも一気に戦闘不能に。敗色濃厚だった筈が、訳もわからずに引き分けに。キョトンとしていた私達が、ピカチュウとイーブィに労いの言葉を送りながらボールに戻すと…
「れ、蓮子。何か指示出した?」
「あ、あんな技…私も見たことがないよ。ほしがるを聞いて、首を傾げていたのも今の技が影響なのかな…」
引き分けに終わった勝負。そしてメリーに問いかけられたが、私自身も訳もわからない感じだった為、曖昧な答えしか呟く事が出来ない。少しその場に立ち尽くした後に…
「とりあえずポケモンセンター寄ろっか…回復してもらおうよ」
「そ、そうだね…」
霊夢さんは教え技を成長で覚えられるイーブィだと言っていた。もしかするとさっきのも…?疑問が尽きぬまま、私達はポケモンセンターにへと向かった…
急に消してすみませんでした。