「メシャ…メシャ…!!」
「わわっ…!?」
緑色のポケモンはやって来た男性から逃げるかのように私の後ろに隠れる。突然の事態で驚く私を見て、やって来た男性は少々不満気そうな表情を浮かべつつ、小さくため息を吐き…
「なるほど…僕よりその人の方がいいと。そういうんだね君は」
「この子…かなりアナタに対して怯えている。何をしたの?」
緑色のポケモンは完全に男性に向かって怯えの目を見せている。男性は私の問いかけに対して、「普通に鍛えただけだ」と言い張った。鍛えただけなのにどうしてここまで怯える必要があるのだろうか、疑問に思っていた私に対して男性は再びため息を吐き、言葉を続ける。
「そのポケモン。ドラメシャという。ドラパルトというとんでもなく強いポケモンに進化する奴さ。僕のパーティにハマるかと思いきやこのザマ…」
「ドラメシャ…」
この小さな緑色のポケモンがとんでもなく強いポケモンに進化する。それだけでも驚きが隠せないが、彼の言葉だけだと間違いなんてしていないように思える。男性は三度ため息を吐き、何か言いたげに私を指差した。
「アナタは確か、チャンピオン推薦のトレーナーだったね。82番。僕もチャンピオン推薦のトレーナー。霊矢という」
「私達以外にも霊夢さんが推薦したトレーナーが…」
私とメリー。霊夢さんが推薦したトレーナーは私達だけだと思っていたが、そうでは無かったようだ。目の前にいる霊矢…一見私より若く見えるが、それでも霊夢さんが推薦する程の実力者なのだろう。だが私を見てニヤリとして来た所を見ると、性格に難がありそうに見える。
「僕はチャンピオンに挑むトレーナー。そのドラメシャも一員にしてあげようと思ったけど…逃げ出すなら要らないね。アナタにあげるよ」
「そりゃどうも…ただ…何かアンタの態度、どうも気に触るわね」
普通に相手は話しているだけだ。ただ小生意気なだけではないか。それは分かっているが、表情といい言い草と言い、どうも黙ってられない。まるでポケモンを物として扱っているようなその態度に、私が腹が立てていると霊矢は「じゃあ…」と切り出し…
「実力でぼくを黙らしてごらんよ。エリートと凡人の格の差を見せてあげるよ」
「分かったわ。…ドラメシャ…少し後ろに…」
ドラメシャに私が少し語りかけようとした瞬間、ドラメシャは私から何かを感じ取ったのか怯えながらも前へ。私はそれに大きく驚き、霊矢は高笑いをする。
「まさか!君が僕と戦おうと言う訳じゃないよね?」
「…ドラメシャ。怯えてるとはいえ、その行為は主人を敵に回すと言う事になるんだよ…?それでもいいの?」
当然私は何があったのかを全ては知らない。霊矢の鍛えたと言うのが、相当スパルタだったから逃げ出したんだと思う。私に言われても尚、ドラメシャの決意は揺らぐ事なく、こちらを横見して頷く。主人を敵に回す形で味方してくれたその決意。
答えない訳には行かない。
「分かった…!!君の力少し借りるよ!!」
「メシャ!!」
「その判断。後悔する事になるよ…じゃあ始めようか」
霊矢からドラメシャのモンスターボールを受け取り、彼自身は鳥のようなポケモンを繰り出してくる。ネイティと言っていた。恐らくその名前だろう。霊矢は余裕そうな表情を浮かべながら、小さく息を吐くと…
「行くよネイティ…ナイトヘッド!!」
「ドラメシャ!かみつく!!」
ネイティの念力がドラメシャに命中。ドラメシャは少し痛そうな表情を浮かべつつも、ネイティに向かって行くとそのまま思い切り噛みつく。ネイティはドラメシャをあっさり振りほどく。そして霊矢が…
「そしてトドメ…!!ネイティ!!つつく!!」
「ドラメシャ!!おどろかす!!」
振りほどき、少し吹き飛ぶドラメシャに向かってネイティは羽を羽ばたかせながらドラメシャを攻撃しようとする。ここで攻撃を喰らえば終わり…それでも私は攻勢に出た。ドラメシャに攻撃技を指示したのだが、素早く移動したドラメシャがネイティを後ろから驚かせる。
驚いたネイティは攻撃を中断し、そのまま腰を抜かしたかのように地面に落ちる。
「馬鹿な!?」
「よし…!!今だドラメシャ!!かみつく!!」
「くっ!!ナイトヘッド!!」
ネイティがびっくりした事により形勢が逆転。ドラメシャは霊矢の指示を受けたネイティより素早く動くと、そのままネイティに思い切り噛みつく。ネイティはこれに驚きつつも、ダメージはクリティカル。ネイティはドラメシャが離れた頃には戦闘不能となっていた。
「嘘だ…僕のポケモンが役立たずにやられた…!?」
「やったね。ドラメシャ」
霊矢に鍛えられているからだろうか。彼に対して怯えてはいたものの、その実力は相当な物のようだ。私がドラメシャに笑顔で語りかけると、ドラメシャは鳴き声を上げ嬉しそうに反応した。霊矢は悔しがりながらも次のモンスターボールを握りしめると…
ネイティをまず戻し、ポニータという馬のポケモンを繰り出してくる。霊矢は笑みを浮かべると…
「ドラメシャはドラゴンタイプ!!このポニータは効果抜群の技を持ってる!!さあ…その天狗になった鼻をへし折ってやる!!」
「…行ける?」
ドラメシャは私の言葉に頷き、ポニータの方を見やる。一気にトドメを刺すつもりなんだろう。という事はこの一手がドラメシャとポニータとの勝負の命運を握る筈…
「ポニータ!!ようせいのかぜ!!」
「(早速…!!)ドラメシャ!!おどろかす!!」
少し考えていると予想通り霊矢はトドメを刺さんと効果抜群の技を放って来た。私はドラメシャの素早さを信じ、おどろかすを選択。だがこの対決はポニータの方が素早く、ドラメシャは直前でようせいのかぜの餌食に。
これを喰らい、ドラメシャは吹き飛び一発で戦闘不能。霊矢が高笑いする中で…
「ごめんドラメシャ…あとは任せて」
「役立たずが…調子に乗りやがって…さあ…次!!」
必死に一体目を破ってくれたドラメシャに感謝しながら、私はモンスターボールに戻す。ようせいのかぜのタイプは恐らく、フェアリー。フェアリーはかくとうタイプも苦手という文書を研究所で見た為、リオルは不利。
だったらここを頼れるのは…!!
「行っておいで…ロコン!!」
「ちっ…ほのおタイプか…」
私がロコンを出したのを見て霊矢は舌打ちをする。やはりフェアリー技を使えないのを嫌がっているようだ。だがもしかすると他の技も覚えているかもしれない。私はそう頭に記憶しつつ…
「行くよロコン!!やきつくす!!」
「ポニータ!!サイケこうせん!!」
サイケこうせん…!!やはりフェアリー技とは他の技を…!!ロコンの放った炎とポニータが放った光の光線がぶつかり合い、どちらも譲らぬまま爆発を起こす。少しの爆煙が辺りを包む中…
「くっ!!ポニータ!!ねんりきで爆煙を晴らせ!!」
霊矢の指示にポニータは一瞬困惑の表情を見せつつも、ねんりきで爆煙を晴らして行く。だがこれは私とロコンにとっては好都合。晴らされた爆煙、ポニータの居場所が確認出来たことにより、私は攻勢に出る。
「いた…!!ロコン!!もう一回!!やきつくす!!」
「!!」
私の指示を受けたロコンの炎がポニータの元へ。霊矢が気づいたのは目の前に迫って来てから。ポニータはロコンの攻撃をまともに受け、少しだけ膝をつくが…
「くっ…!!まだ終わりじゃない!!今度はこちらから…!!」
「ロコン!!でんこうせっか!!」
私はポニータが少し膝をついたのを見て、一気に畳み掛ける。ロコンにでんこうせっかを指示し、ロコンは一瞬にしてポニータの元に迫ると、そのままぶつかる。ポニータは何とか体勢を整え、ロコンもまたでんこうせっかで私の元に戻って来る。
私は必死になる霊矢を見て、少しだけ息を飲んでいた…
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