私と美鈴さんが互いのポケモンを出した瞬間に大きな歓声がスタジアムを満たして行く。期待されているというプレッシャーが全身を駆け巡る中、先手を取るべく、私達2人が声を上げる。
「ロコン、でんこうせっか!!」
「バルキー、ねこだましですっ!!」
互いのポケモンが声を上げて足元を蹴り出す。互いに同じタイミングで近くに迫った中、ロコンのでんこうせっかを少ししゃがみ気味にかわしたバルキーがロコンの目の前でパンッ!!と両手を合わせた音を鳴らす。
ロコンはそのねこだましに怯まされ、少し腰を抜かしかけると美鈴さんが畳み掛ける。
「バルキー!!続けてメガトンパンチッ!!」
「っ!!ロコンやきつくす!!体勢を整えてっ!!」
フラフラするロコンにバルキーは拳を握りしめて、こちらに向かって来る。技の指示するタイミングも完璧でスムーズだ、経験からして向こうの方が圧倒的に上だ。でもこちらとて怯む訳には行かない。
ロコンのやきつくすで放たれた炎は、バルキーの進行を妨害。炎をかわしながら向かって来ているため、時間がかかっている。その間にロコンはしっかりと立て直した。
「よし…!!ロコン!!でんこうせっかっ!!」
「バルキー!!たいあたりに変更!迎え撃って下さい!!」
ロコンは足元を蹴り出すとバルキーに接近。そのまま思い切りぶつかるが、美鈴さんも技をたいあたりに変更。両者音を立ててぶつかり合うと、衝撃の音と共に互いに少し吹き飛ぶ。ロコンが着地したタイミングで私は指示を出す。
「ロコン!!やきつくす!!」
「バルキー!!メガトンパンチッ!!」
バルキーは遠距離の技を持っていない。これを好機と見て私はやきつくすを指示。ロコンが炎を吐き出している間にバルキーは拳を握りしめて、こちらに迫って来ようとするが目の前に迫ったタイミングで私は少し賭けに出る。
「ロコン!!かなしばりっ!!」
「っ!?」
素早さがこちらの方が早いなら通る筈…!!その賭けに出たロコンの技はバルキーより早く放たれ、メガトンパンチを直前で防ぐ事に成功した。しかもバルキーはロコンの目の前。私はこの好機を利用し…
「ロコン!!やきつくすッ!!」
「バルキー!!かわしてっ!!」
バルキーよりロコンの方が素早さが上。ロコンの攻撃は瞬く間にバルキーに命中し、炎を浴びせた。バルキーは炎を振り払いながら美鈴さんの元に戻ると、美鈴さんは息を呑みながら指示を出す。
「バルキー!!たいあたり!!」
「ロコンもう一回やきつくす!!」
バルキーはロコンに思い切り迫って来るが、遠距離攻撃を持つこちらの方が有利。ロコンの吐かれた炎の前にしてもバルキーは突撃。ロコンを目の前にして少し膝をつきかけたバルキーを見て、美鈴さんは少し歯を食いしばりながら…
「バルキー、その場から戻って来て!!」
「逃がさないっ!!ロコン!!でんこうせっかっ!!」
バルキーがたいあたりを諦め、美鈴さんの方に引こうとしたタイミングで私は動く。ロコンにやきつくすをやめ、でんこうせっかを指示したのだ。バルキーより早くその近くに迫ったロコンは思い切り背中にたいあたりを食らわし、バルキーを吹き飛ばした。
「バルキーッ!!」
「バル…」
このタイミングでバルキーは戦闘不能に。スタジアムのビジョンに提示される美鈴さん側のポケモンが一体減り、美鈴さんはバルキーをモンスターボールに戻す。そしてすぐ繰り出したのは…
「行きますよワンリキー!!」
「(ワンリキー…!!)」
出てきたのはバルキーに似たワンリキーというポケモン。歓声がピークに達する中、美鈴さんはニヤリと微笑み…
「私達は常により高みへ…上を目指しますっ!!行きますよワンリキー!!ダイマックスッ!!」
「っ!!」
美鈴さんは一度ワンリキーをモンスターボールの中に戻すと、持っていたダイマックスバンドの力を発動しボールを大きくする。そして気合いを入れると思い切り自身の後ろにボールを投げた。ボールからワンリキーが出るとその姿はどんどんと巨大化。着地と同時に砂煙を巻き起こすと、大きく声を上げた。
ダイマックスの登場に観客の興奮はピークに達する。あまりの存在感に息を呑む中、私はロコンに指示を出す。
「ロコン!!でんこうせっか!!」
「ワンリキー!!ダイナックルッ!!」
先手を取ったのはロコンだが、あまりに巨大の身体に与えられたダメージは微々たる物。美鈴さんの指示を受け、ワンリキーは気合いを入れると空から巨大な拳の形をした何かを降らせる。ロコンから離れた場所に落ちたが、その衝撃波はバトルコート全体に伝わって行く。
巻き起こる大きな砂煙。次に見えたのは一撃で戦闘不能になったロコンの姿。
「一…撃…っ!?」
大きくなった地点で何か起こると思ったが、まさかここまでとは。あまりの威力に私が息を呑む中、ロコンをモンスターボールの中に戻す。相手はかくとうタイプ。イーブィを出せばカモを出しているような物だ。少し悩んでいると、私の一つのボールが揺れているのが分かり…
「賭けるよ君に…!!行っておいでドラメシヤ!!」
私が出した2体目のポケモンはドラメシヤ。かくとうタイプの技は全て透かすゴーストタイプだが、ここは油断ならない。私は冷や汗をかきながらももう一つ賭けに出る。
「ドラメシヤ!!ダイマックス!!」
「へえ…」
ドラメシヤを一旦ボールに戻すと美鈴さんは余裕あるの笑みを浮かべる。ダイマックスバンドの力を発動させ、ボールを大きくすると自身の背後に思い切り投げる。ドラメシヤの大きくなった姿に、観客も意外そうな声を上げる中…
「意外なポケモンを持ってますね…いいでしょう…来なさい…!!」
「ドラメシヤ!!ダイホロウッ!!」
ドラメシヤは私の指示を受け、何かの物の幻影を出すと思い切りワンリキーにぶつける。ワンリキーは少し怯んだがそのダメージは微々たる物。そこで美鈴さんが微笑み…
「ワンリキー…ダイアーク」
「ダイアーク…っ!?」
ワンリキーは再び気合いを入れ直すと赤黒い光をドラメシヤにぶつけて行く。この攻撃を受けドラメシヤは爆発し、元の大きさに戻って行く。その光景に驚かせられた。ダイマックスを持ってしても一撃でやられたからだ。
「ワンリキーはあくタイプの技も覚えます。アナタのポケモンを全抜きするのは無理ですが…次を出して下さい。後1発…一撃で倒してあげます」
後一撃…私は息を呑む。一か八かの賭け…勝利に繋げるならもうこれしかない…!!ドラメシヤをモンスターボールに戻すと、繰り出したのはリオル。リオルはある技を持ってるが、かくとうタイプのジムリーダーである美鈴さんなら知ってる筈…
とりあえず悟られないように…
「リオル…分かりました…一撃で行きますよ…!!ワンリキーダイナックル!!」
「(耐えてリオルッ!!)」
ワンリキーの攻撃が再びリオルの元へ。リオルも衝撃波をまともに喰らうが、私の願いが通じたのかロコン、ドラメシヤを一撃で落としたワンリキーのダイマックス技を耐え切った。少しボロボロだがもう行くしかない。私は思い切って声を張り上げた。
「リオル!!カウンターッッ!!」
「っ!?しまっ…!!」
リオルは元の姿に戻ったワンリキーに迫ると、思い切りパンチを喰らわせる。どれほどの一撃になったかは分からないが、リオルをボロボロにさせる威力。ワンリキーはこれにより大きく吹き飛び、戦闘不能となった。
「ワンリキー…っ!!まさか…カウンター仕込みだったとは…恐れ入りました…」
「やった…!!やったっ…!!」
リオルが私の元に戻って来る。私も安心した声を上げると、リオルを出迎えた。カウンター仕込みと悟られたら全てが終わっていた。上手くいって良かったと私は一安心したのだった…
まずは1人目…とここまで来るのが長かったような気がします…w