「かくとうバッジ…!!私ジムリーダーに勝てたんだ…!」
一戦を終え美鈴さんからもらったジムバッジをバッジケースにはめ込む。更衣室で呟いた一言が部屋中に反響する中で、私はそんな事お構いなしに試合の勝利を噛み締める。ユニフォームから私服に着替え更衣室を出ると、試合に勝ったからだろうか、人々のこちらを見る目が変わった気がする。
妬みと言ったそんなマイナス的な物ではなく、尊敬などと言ったポジティブな物。悪い気はしなく、私はひとまずジムを出て傷ついたポケモンを回復させる為にポケモンセンターへ。
「そういえばメリーはジムバッジを貰ったのだろうか…」
ジムを出て一息吐いた私はふと気になった事を口に出す。先程までいたメリーが居なくなった事を気にしつつ、ひとまずポケモンセンターに赴く。そのセンター内に入ると紫の服を着た女性と語り合っているメリーの背中が見えた。
会話中との事で私はひとまずポケモンセンター内のナースさんに喋りかけようとしたのだが…
「あ!蓮子!!無視しないでこっち来てよ〜!!」
すぐに気付かれた。押し切って女性とメリーを無視するのも後味が良くないし、ひとまず私はポケモンの回復を後回しにして2人の元に近づく。
「ジムリーダーに勝ったみたいね。おめでとう。ひとまずポケモンを回復させましょうか、ボールケースを出して」
「え?あ、はい…!!」
何故ジムリーダーに勝ったか、ポケモンが傷ついているかに気づいたのか全く分からないが私は言われるがままにボールケースを女性に見せると、女性は足元に魔法陣を展開するとボールケースを光らせる。訳も分からないままに、任せていると魔法陣はすぐに消え…
「これでいい。アナタのポケモンは全員回復したわ」
「あ、ありがとうございます…所でアナタは…?」
「パチュリー・ノーレッジ。一応、今回のジムチャレンジのスポンサーの1人よ。先程の試合も見ていたわ。2人ともナイスファイト」
パチュリーと名乗った人は何と今回のジムチャレンジでスポンサーをしている人物だと言う。私がそんな事に対して驚いている間に、笑みを浮かべられて褒められメリーは照れ笑いし私は思わず頭を下げた。私達の反応を見て静かに息を吐いたパチュリーさんは…
「メリーにも話したけど、次の場所は人里に逆戻りして開会式が行われたスタジアムで行うわ。私はチャンピオン推薦だと言う実力者の顔を見に来ただけ。…期待してるから頑張って」
「えへへ…ありがとうございます!!」
「ありがとうございます…!!」
褒められた事は素直に嬉しかった。パチュリーさんは私達の反応に頷くと、ポケモンセンターにまで探しに来たマネージャー…の方だろうか。黒い小さな羽根を生やした女性とその場を去って行く。やっぱりチャンピオン推薦というのはかなり大きな事らしい。気を引き締めないと…
隣のメリーは嬉しそうに去って行くパチュリーさんの背中を見つめていた後に、堪え切れなくなったかのように少し小さめに笑い声を上げ…
「あんだけ褒められたら気合いも入るよね…!!よし蓮子!!勝負しようよ!!」
「え、ええ…!?私もメリーも試合して来たばかりだよ!?」
「だからするんじゃん!!外で待ってるから準備出来たら来てね!!」
メリーの行動力には驚かせられる。私の言葉を押し切って笑みを浮かべたメリーはそのまま勢い良くポケモンセンターを飛び出す。パチュリーさんに回復させて貰ったし、ナースさんに話しかける必要はない。
私は一呼吸を入れるとポケモンセンターを出た。
ポケモンセンターを出て少し離れた場所にメリーはいた。自信満々な表情をして私を待ち構えており、少しの準備体操している姿からはその余裕すら伝わって来る。私は少し緊張しながら彼女に近づくと…
「準備出来たんだね!!よーし!!全力で行くよー!!」
「変わらないな…メリーは…!!」
モンスターボールを構えた私とメリー。少しばかり表情を引き締めると先手として繰り出して来たのは何とエースであるピカチュウ。初手エースのメリーの策に驚かせられた私だったが、少し対抗するかのようにイーブィをボールから繰り出す。
「よーし!!ジムバッジを手に入れた力…見せるからね!!」
「それは私もそう…!!行くよイーブィ!!」
「ブイ!!」
イーブィに語りかけるとイーブィは力強く返事。ピカチュウも声を上げて表情を引き締めた様子だ。互いをにらめ付け合う両者。トレーナーである私とメリーも少し息を吐いた後に…
「イーブィ!!でんこうせっかっ!!」
「ピカチュウ!!同じくでんこうせっか!!」
先に動き出したのは素早さが上のピカチュウ。あっという間にイーブィに迫るとそのまま体当たり。イーブィは少し吹き飛ばされそうになるが、何とか踏みとどまるとピカチュウを少し弾き飛ばした後に改めてピカチュウにぶつかる。
イーブィとは違い、少し吹き飛んだピカチュウだったがこれが幸いし、すぐ体勢を立て直すきっかけとなった。これをチャンスと見たメリーがニヤッとした表情から指示を出す。
「ピカチュウ!!エレキボール!!」
「っ!!イーブィ!!わるわるゾーン!!」
ピカチュウのエレキボールに対してこっちはわるわるゾーンで対抗。だがやはり向こうの方がスピードは上手で、イーブィが黒い衝撃波を放ったその時には電気の玉はほぼ目の前。弾き返す事が出来ずに、イーブィにエレキボールは直撃。
イーブィが吹き飛んでいる間にエレキボールを放てたピカチュウは少し余韻に浸っていたのか、かわす事をせずにわるわるゾーンを直撃。少しイーブィと同じく少し吹き飛んだがすぐに体勢を立て直す。
「ピカチュウ!!でんこうせっか!!」
「イーブィ!!もう一度わるわるゾーン!!」
体勢を立て直したピカチュウの切り返しが早く、あっという間にメリーの指示を受け止めてでんこうせっかを遂行。イーブィが再びわるわるゾーンを放とうとしたその時には、既に目の前。思い切り体当たりを喰らわして、イーブィの攻撃を阻止した。
「っ!!イーブィ!!でんこうせっか!!」
「ピカチュウ!!エレキボール!!」
イーブィは少し怯んだ後に体勢を立て直すとすぐに足元を蹴り出して、尻尾に電気を溜め込もうとしているピカチュウに接近。そのまま一気に体当たりを喰らわせたが、技阻止には至らず…
「耐えたねピカチュウ!!そのままエレキボールだっ!!」
ピカチュウの尻尾から放たれたエレキボールがイーブィの元へ。私はイーブィに回避を指示したが、やはりスピードはピカチュウの方が上。イーブィが少しその場から離れようとしたその時に、エレキボールがイーブィにほぼ直撃。イーブィは再度吹き飛ばされたが…
「イーブィ!!大丈夫…!?」
「ぶ、ブイ…」
今のエレキボールが決め手となり戦闘不能に。悔しい思いを隠して私はモンスターボールに戻すと次に託したのはでんきタイプの攻撃があまり効かないドラメシヤ。このポケモンを見てメリーは驚き…
「そんなポケモンを捕まえていたんだね…!!でもこれを耐え切れるかな!?ピカチュウ!!エレキボール!!」
「ドラメシヤ!!かみつく!!」
ピカチュウが尻尾に再び電気を溜め込み、再びエレキボールとしてドラメシヤに放って来る。スピードはほぼ互角の両者なだけにドラメシヤはエレキボールに上手く対応し、少し掠った程度で済ませるとそのままピカチュウに噛み付いた。
「っ!?早いっ!?」
かみついたドラメシヤを振りほどくピカチュウ。ドラメシヤは私の手前に戻ると、私の方をチラ見。それを見た私が一息吐くと…
「こっから巻き返すよドラメシヤ!!」
「メシャ!!」
と強くメリーの方を見たのだった…
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