私とのバトルの後、少し悔し気味の表情を見せていたメリー。そんな彼女から、「少し遅れて向かうから先に行っといて」と言われ、私は渋々彼女より先に2つ目のジムのある人里にへと戻る。ポケモンは何体か見たが、戦闘になる事なくスムーズな形で戻る事が出来た。
「ブイ!!ブイ!!」
「イーブィ…大丈夫だよ。メリーにもメリーの感じがある訳だし…」
正直言ってあそこまで悔しがるとは思わなかった。帰り道ずっとその事を考えていた私の気持ちを察してくれたイーブィの頭を撫でつつ、夕日が差し掛かっている空を見上げる。少し急がねばとジムに駆け足気味に向かったのだが…
「ん?あれは…」
ジムに足を運ぶとそこにいたのは扉の前に立ち、ゆっくりと一息吐いた1人の少女。黒髪のショートヘア…見覚えがあるような。そんな事を考えながらその背中を見つめていると、少女はゆっくりとこちらの方に振り返る。その顔を見た瞬間に私はハッとした。
「あれ?蓮子じゃん。こんな所で何してるの?」
こちらにゆっくりと近付いて来たのはジムリーダーの1人、霧雨魔理沙の娘である魔美。魔美の問いかけに対して、ジムが開いてないか見に来たと答えると、魔美は「あー…」と何か言いたげに呟いた後に…
「早いけど、もう今日の営業は終わりだってさ。私も間に合わずに途方に暮れていた訳」
「もう閉まったの!?まだ夕方に差し掛かったばかりだよ!?」
魔美の言葉にびっくりして思わず声を上げてしまった。すぐにハッとして魔美に謝ろうとしたが、彼女は驚くどころかクスクスと笑っている。その真意を聞こうとした瞬間に、彼女の口から…
「聞いたよ蓮子。ジムリーダーの1人を倒したんだってね。そら気分良く2連勝して一日を終わりたいよね」
「かなり苦戦したけどね…まあ、魔美の言う言葉通りなんだけど…こればかりは仕方な…」
「じゃあさ」
魔美からの言葉を肯定しつつ、仕方ないと今日は諦めようとしたその時。私の思いとは裏腹に別の話を切り出した魔美の表情からはどことなく自信が伝わり…
「ジムリーダーと対決する代わりに私とバトルしない?いずれ、蓮子やメリーとはバトルしないと行けないからさ」
「…!同じジムチャレンジャーだしね。いいよ分かった」
自信が伝わってくる表情からの問いかけに私もニヤリと口元を緩ませながら承諾。魔美は私が承諾したのを聞き、クスッと少しだけ笑い何回か頷くとジム前から移動し、メリーともバトルしたバトルコートに移動する。
魔美とバトルするのは当然初めて、私の肩に乗っているイーブィも気合いが入ってる様子だ。
「手加減は無しだからね!こちらも全力で行くから!!」
「手加減なんてしたら、魔美に無礼だからね…私も全力で行くよ…!!」
魔美はバッグからモンスターボールを出し、私の方に向ける。一方私の一体目は気合いが入っていたイーブィ。ピカチュウとの対戦で敗れてからというもの、リベンジしたいという気持ちが強いらしく表情をかなり引き締まっている。
「イーブィでいいんだね?」
「ええ。私のイーブィ気合い入ってるから、気をつけてね…!!」
「これはこっちのセリフでもあるな…!!行っておいでタタッコ!!」
イーブィと私の方を交互に見てニヤリと笑った魔美はモンスターボールを構えると、ボールからタタッコというポケモンを繰り出す。少しボクサーのような格好をしたタコのようなポケモン。恐らくかくとうタイプだろう。
「行くよイーブィ!!ほしがる!!」
「タタッコ!!みきり!!」
私の指示を受けてその場の地面を蹴り出し、タタッコに迫って行くイーブィ。そのままたいあたりをかまそうとしたのだが、技を見切られてかわされる。イーブィはかわされた地点で急ブレーキをかけて止まろうとしたのだが、返ってそれが隙となってしまい…
「タタッコ!!かわらわり!!」
「イーブィかわして!!」
後方から迫って来たタタッコの攻撃が迫ろうとしたその時、私の指示を受けたイーブィが何とか攻撃を回避。タタッコが殴りつけた地面が大きくひび割れたのを見て、息を呑む中私はイーブィに指示を出す。
「びりびりエレキッ!!」
「にらみつける!!」
イーブィの雷の衝撃波がタタッコに向けて放たれる中で、タタッコはイーブィを睨みつける。当然、この行動をしていた為タタッコに衝撃波は直撃。少し吹き飛びはしたが何とか踏みとどまり、イーブィが見せた少しの寒気を見たら何か効果はあったのだろう。
私は冷や汗を拭い、小さく息を吐くと次の指示を出す。
「イーブィ、でんこうせっか!!」
「タタッコ、もう一回みきり!!」
地面を蹴り出してタタッコに一気に近づいたイーブィではあったが、指示されていたみきりによりこれをかわされる。かわされたのを見てイーブィが再び急ブレーキ。だがこれがタタッコの射程内に入ってしまい…
「タタッコ!!いわくだき!!」
「っ!!イーブィ、わるわるゾーン!!」
後方から再び迫ってくるタタッコの攻撃。ここからかわすのはほぼ不可能だと判断し、攻撃技を指示。黒い衝撃波をイーブィが放とうとしたが、タタッコのパンチにより掻き消されてしまい、タタッコのパンチが顔面に命中してイーブィは吹き飛ぶ。私の前で踏みとどまったが、少し堪えたのか膝をつく。
「(このままじゃ後1発でやられかねない…!!)イーブィ、交代!!お疲れ様…!!」
いわくだきを食らったイーブィが圧倒的に不利だと感じた私は、ここでポケモンを交代。魔美はその行動に驚いていたが、なりふり構ってられない…!!イーブィをボールに戻した私はかくとう技を透かす事が出来るドラメシヤにチェンジした。
「行っておいでドラメシヤ!!」
「バトルの中で交代なんて珍しいね…でもさっさとイーブィを引きずり出すよ!!タタッコ!!かわらわり!!」
タタッコがドラメシヤに迫ると、そのまま拳を振り下ろして来るがドラメシヤはゴーストタイプの為タタッコのかわらわりを透かしダメージを喰らわない。技は全て見た…後は押し切るだけ…!!
「なっ!?まさかゴーストタイプっ!?」
「そういう事!!ドラメシヤ、おどろかす!!」
ドラメシヤの攻撃が若干キョトンとしているタタッコに命中。タタッコはそのままびっくりして腰を抜かしたようだ。もがくが立ち上がれない。それを見た魔美が…
「どうせ不利だったしね…少し休んでタタッコ」
私と同様タタッコをここで交代。後から出してくるだろうから、気をつけないと…!!私の前にはドラメシヤ、そして次に魔美が繰り出したのは…
「頼んだよ…モルペコッ!!」
「うらら!!」
魔美が繰り出したのは初めて彼女と会った時に見たモルペコ。前は知り合いのポケモンとして見てきただけにこうして敵として対するのはどこか不思議な気分になる。でも今は勝負…全力で戦わないと…!!
「行くよドラメシヤ!!でんこうせっか!!」
「モルペコ、かみつく!!」
でんこうせっかのおかげでモルペコに迫ったのはこちらの方が早かったが、明らかに反応の速さは向こうが上。その事に驚かせられながらもドラメシヤは何とか指示通り、モルペコに体当たりを食らわしたが問題はこの後。
「うらら!!」
モルペコのかみつくが思い切りドラメシヤに命中。そんなにずっとかみつく事なく、離したがドラメシヤは何とその場でダウン。クリティカルを食らったというのは間違いないが…
「ドラメシヤ!!(あの威力…明らかにクリティカルだけじゃない…!!)」
魔美はニヤリと笑ったまま何も語らない。何をすれば良いか分からない中で、ドラメシヤを戻すとリオルが勝手にボールから出てきた。私はその事に驚いたが、ひとまずリオルにその場を任せる事にしたのだった…
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