スタジアムを満たして行く大歓声。まだ二つ目と言う事もあり、慣れはしないが緊張で頭が真っ白になるということは無くなったような気がする。今は目の前のイーブィへの指示に集中しよう…!!
「行くよイーブィ…でんこうせっかっ!!」
「ウール、こらえる」
先手が大事と思った私はイーブィにでんこうせっかを指示。だが慧音さんは冷静にこらえるの技を使って、ウールーに耐えさせる構えを取る。イーブィは私の指示に声を上げると、その場を蹴り出して一気にウールーに接近。そのままウールーに体当たりをかますが、堪える構えに入っていたウールーは吹き飛ばされずに耐える。
そして慧音さんがこの時を待っていたかのように…
「今だ…ウールー、でんじは!!」
「でんじは!?」
ウールーから発せられた静電気によりイーブィは麻痺させられる。メリーのウールーのイメージが強すぎて、電磁波は全くもって頭の中に無かった。こらえるをさせたのもこの為だったんだ…!!だが慌てても仕方ない、必ず攻勢をかけて来ると思った私はイーブィへの指示のタイミングを少しずらし…
「ウールー!!とっしん!!」
「イーブィ!わるわるゾーン!!」
麻痺しているから当然動く速さはウールーの方が上。それでもイーブィは身体を痺れさせている中で、動いてくれ転がって来たウールーの突進を少し吹き飛ばされながら耐えると、声を張り上げながらウールーに向かって黒色の衝撃波を撃ち込んでいく。
イーブィの近くにいたウールーはこれをほぼ直撃。少し吹き飛ぶと体勢を立て直す為に一度慧音さんの近くに戻って行く。
「ウールー、行けるな…?」
「グメメ!!」
「よし、ウールー、たいあたりだ!!」
「イーブィ、待ってびりびりエレキッ!!」
慧音さんはウールーにたいあたりを指示し、イーブィに向かって転がってくる。ウールーが間近に迫って来たタイミングでイーブィは電撃をウールーに向かって撃ち込んでいくが、ウールーはそれに吹き飛ばされる事なくイーブィに向かって思い切りぶつかり、イーブィを吹き飛ばす。
「大丈夫、イーブィ!?」
「ぶ、ブイ…!!」
「アップアップのようだな…それじゃトドメと行こうか…ウールー、とっしん!!」
少しフラフラしているイーブィにダメージが蓄積していると判断した慧音さん。ウールーにとっしんを指示した瞬間、イーブィが計ったかのようにこちらを見つめる。その目からどう言う事か察した私は、慧音さんにバレないように小さく頷くと、タイミングを見計らい…
ウールーが間近に来たそのタイミングで…
「イーブィ!!かわしてわるわるゾーンッ!!」
「ブイッ!!」
麻痺した状態ながらウールーのとっしんをイーブィはかわし切ると、私の指示通りにわるわるゾーンをこちらに向いて来たウールーに向かって撃ち込んでいく。その距離、ほぼゼロ距離という事もあり直撃。完全に衝撃波によって慧音さんの元まで吹き飛んでいく。
「かわされた…!?麻痺している状態で……はっ!まさか…!?」
わるわるゾーンをまともに食らったウールーはクリティカル分のダメージを受けてそのままダウン。そして慧音さんは私のイーブィの方を見て、微かに苦笑いを浮かべると…
「気合いで状態異常を解いた訳か…なるほどよく育てられている…!!ならば…!!」
「次くるよ、イーブィ…!!」
慧音さんはイーブィの状態を読み取り、静かに呟くとウールーを戻して二体目のハトーボーを繰り出す。ハトーボーは見てみるからに鳥…然も飛んでいる。慧音さんはノーマル使い、という事はでんき技でも通用する筈…!!
「このまま行くよイーブィ!!でんこうせっか!!」
「ハトーボー、飛んでエアカッター!!」
イーブィがその足元を蹴り出してハトーボーに迫って行くが、ハトーボーは飛んででんこうせっかを回避。そして上空から羽を羽ばたかせてイーブィに向かって風の刃を放って行く。あちこちに放って来た為、全部命中する事はなかったがある程度命中。イーブィが痛がるかのように歯を食いしばる。
「ハトーボー!かぜおこし!!」
「(一か八か…!!)イーブィ!!びりびりエレキッ!!」
イーブィの物理技は到底届かない位置にいるハトーボー。このままでは衝撃波を放ってもかわされる可能性が高い。そこで私はハトーボーが放って来た突風を利用する事に。成功するか分からない、一か八かの賭け。イーブィは私の指示に違和感を覚えつつ、びりびりエレキを放って行く。
すると賭けは上手くハマり、風に電撃が感電して行きそのままハトーボーの元へ。完全に食らう事はなかったが、ハトーボーが電撃を回避しようと下に降りた瞬間を好機と見て…
「今だイーブィ!!でんこうせっか!!」
「ちいっ!!ハトーボー、でんこうせっか!!」
空中有利の作戦から一転。慧音さんはイーブィに対してでんこうせっかを仕掛ける。同じく私もでんこうせっかを指示。両者は一気に間近に迫ると、そのまま頭からぶつかり合い、痛がる素振りを見せながら少し距離を取るがイーブィがすぐに表情を引き締めたのを見て…
「イーブィ…びりびりエレキッ!!」
「ハトーボー!!でんこうせっかで距離を取れっ!!」
イーブィに指示したびりびりエレキ。その電撃がハトーボーに炸裂しようとしたその時、慧音さんの指示によりでんこうせっかの速さでハトーボーは電撃を回避。そしてイーブィより遥か上空辺りにハトーボーは止まり…
「エアカッターッ!!」
「もう一度行くよびりびりエレキッ!!」
ハトーボーからの風の刃がイーブィに向かって放たれて行く。そしてイーブィはその風の刃で少々傷ついて行きながらも、電撃を打ち込みハトーボーが回避行動を取る前に命中させる。ほぼ直撃した事により、ハトーボーは地面に落ちて行くが…
「ハトーボー!体勢を立て直すんだ!」
「逃がさない…イーブィ、ほしがるっ!!」
落ちて行くハトーボーがもし体勢を整えたらまた空中戦に持ち込まれてしまう。それを確信した私は、イーブィに追撃のほしがるを指示。ハトーボーが体勢を立て直そうとしたまさにその瞬間、イーブィが目の前へ。そのまま体当たりを喰らわし地面に叩きつけた。
「ハトーボー!!」
勝負をつけるつもりで行った為、ハトーボーがもしここで立ち上がるならまた色々と考えないと行けない。砂煙が緊張を高まらせて行く中で、その煙が晴れると戦闘不能になっているハトーボーの姿が。
「よし…!!」
「まさかイーブィに二体もやられるとはな…だが、それでこそチャレンジャー…!!コイツを出す甲斐があると言う物だ!!キテルグマッ!!」
小さくガッツポーズをした私に対して慧音さんは若干の笑みを浮かべると、最後のポケモンであるキテルグマを繰り出す。現れたのはピンクと黒色をした巨大グマ。私の知っているクマとは遥かに違う姿だ。
「ここまで来たのは見事…!!だが余裕を見せた方が負けるのがポケモンバトル…!!行くぞキテルグマ、ダイマックスッ!!」
「来るよイーブィッ!!」
キテルグマは慧音のボールに一度戻ると、ダイマックスバンドを通じて巨大ボールから再び姿を大きくしてその場に姿を見せる。相変わらずだがダイマックスの迫力には驚かせられるばかりだ。こちらもダイマックスで対抗しようとしたが…
「行くよイーブィ、ダイマック…」
「ブイッ!!」
まさかのイーブィはここで私のボールを出した姿に嫌がるかのように首を振る。私は一瞬見間違いかと思ったが、結果は変わらずにダイマックスを拒否。それを見た私は仕方なく、イーブィをそのまま戦わせる事にしたのだった…
今回は我ながら上手く行ったと思います。