激戦の末、3人目のジムリーダーである妹紅さんに勝利した私。彼女からきっちりとバッジを受け取り、そのまま目指すは4人目のジムリーダーの元。今は丁度真昼時、ジムが閉まる時間帯までには辿り着きたくその足を進めていた…
「然し妹紅さんの言う怒りをこもった目をしていた人物って誰だろう…大体は絞れてるけど…」
ルカリオとイーブィに手伝ってもらいながら足を進める中、ふとした事を考える。チャンピオンが推薦したトレーナーといえば私か、メリー、そして霊矢しかいない。霊矢なら私に負けた腹いせで怒りの目をしていたというのは充分理解できるが…
「メリーはね…あり得ないよね…」
自分の中でそう考えを落ち着かせるものの、思えば前遭遇した時もかなり雰囲気がおかしかった。あんなに元気一杯に笑みを浮かべていたメリーの落ち込み具合…おかしいとは思ったが。…やめよう。まさかの事を疑いたくない。
「グウ!」
「うん。歩いているよルカリオ。え?前を見ろって?」
少し下を向きながら足を進めていた私に対してルカリオが声を張り上げる。適当に返事したと感じたのか、ルカリオは一瞬私の方に顔を向けた後に、視線を前方に向ける。私の肩に乗っているイーブィも同じようにしている。2人して同じ方向を向くと言う事は何かあるのだろう。
そう思った私はパッと顔を上げて前の方を向く。そこには立ち止まっているメリーの後ろ姿。声が聞こえたならパッと後ろで振り向くはずの彼女がこちらを見ない事に疑問を抱いた私は、メリーにゆっくりと近づくと…
「ん?あ、蓮子じゃん」
「メリー。どうしたのこんな道中で立ち止まって」
「何でもないよ。ちょっと足を休めていただけ。蓮子は?」
「そか。私はこれからジムに向かう所だよ」
何だろうか。いつも通り些細な話をしているだけなのにメリーからはどこからか哀愁のような物を感じるのは…
「そか。私もう少し休憩しとくから。先に行って」
偶然や気のせいだと思っていたけどこうも表情に表れると親友として黙っている訳には行かない。ふぅー…と息を吐きながら下を向いたメリーに私は息を呑みながら問いかけてみる。
「ねえメリー…どうした…」
「元気がいつもよりないって。そう言いたいんでしょ?」
「え?あ、うん…」
「色々あってね…今大スランプなんだよ。それだけ」
大スランプだけでこんな落ち込むものなの?私の言葉を察したメリーからの一言にそう疑問に思った私。それだけで済んだら絶対そんなに落ち込んではいない。私は首を横に振り小さく「違う」そう呟くと…
「絶対それだけじゃないよ!どうしたんだよ、何がどうあって…」
「いいから先行ってよ!!ほっといて!!」
必死に疑問をぶつけようとする私に対してメリーは一度歯を食いしばった後に私の方を見ながら怒鳴り声をあげる。その声に驚いた私が一歩メリーから離れたその瞬間に私の前に立ったルカリオ。
それを見たメリーがハッとしたようなそんな表情を浮かべると…
「そっか。私達はポケモントレーナーだもんね。羨ましいよそんなにポケモンに慕われていて。逆に私は…」
「メリー…」
「気遣いは無用だよ…蓮子のルカリオが気合い充分だから、それに乗せられる事にするよ」
ルカリオが勘違いして私を守ろうと身構えていたのを見て、メリーはスゥ…と息を吸い小さく吐き、私から少し距離を取りモンスターボールを構えると中から青い色をした鳥ポケモンを繰り出す。
「この子…どこかで…」
「アオガラス。ココガラの進化系だよ。蓮子!加減はいらないからね!」
アオガラスは元々メリーの手持ちにいたココガラの進化系。その事に私は驚きつつ、メリーの言葉を聞いて気を引き締める。メリーから感じる焦りと集中。恐らく後者の方が凄いだろう。私も油断せずに行かないと…
「行くよアオガラス!!にらみつける!!」
「ルカリオ、がんせきふうじ!!」
メリーの指示からバトルが開始。アオガラスがこちらを睨みつけてルカリオの防御力を下げてきたが、こちらは攻勢。ルカリオが私の指示を聞いて地面を叩きつけると、跳ね上がってきた岩をそのままアオガラスに波動で放って行く。
「アオガラス、かわしてドリルくちばし!!」
アオガラスはくちばしの先を光らせるとこちらに向かって来た岩をジグザグに動きながらかわすと、そのままルカリオの元へ。身体を回転させながらルカリオに突進して行く。
「ルカリオ、はっけいで受け止めて!!」
「グウ!!」
アオガラスの動きをルカリオの手で止めようとするが、アオガラスがあまりに高速で回転している事から、手が弾かれてしまいそのままドリルくちばしを直撃。ルカリオはそこでようやくアオガラスを跳ね除けると、一度アオガラスから距離を取る。
「アオガラス、つめとぎ!!」
「はどうだんッ!!」
私の指示を聞いてメリーは少し驚いた表情を浮かべる。アオガラスが爪を研いでいる間にルカリオが溜めた波動が一気にアオガラスに放出される。アオガラスははどうだんの存在に近づいてきてから気づいた為、直撃。致命傷にはならなかったものの、少々吹き飛ばされ…
「ッ!!アオガラス、つけあがる!!」
「クワッ!!」
体勢をすぐに立て直したアオガラスは一度降り立った地面を強く蹴り出すと、そのままルカリオに接近。足を思い切り顎に当てる。攻撃力が上がっている分、威力も倍増しているがそれはルカリオも同じことで…
「今だ…ルカリオ!!その場で再度がんせきふうじ!!」
「アオガラス、ドリルくちばし!!」
その近くで再び回転し始めたアオガラスに対して、こちらは思い切り地面に拳を叩きつける。地面に埋まっていた岩が浮かび上がり、アオガラスに直撃。岩がアオガラスの攻撃を打ち破り、アオガラスはメリーの目の前まで吹き飛びそのまま戦闘不能となった。
「アオガラス!!がんせきふうじのどこにあんな力が…!!」
「ルカリオの特性、せいぎのこころ」
「!!」
「アオガラスのつけあがるの技はあくタイプ。それを食らってルカリオの攻撃力が上がった訳」
メリーは思わず忘れていた…と言わんばかりの表情を浮かべ戦闘不能となったアオガラスをボールの中に戻す。少し歯を食いしばった後に小さく息を吐くと、ボールを出し…
「行くよ…バイウールー!!」
「バイウールー…ウールーの進化系…?」
バイウールーがウールーの進化系である事を認めるかのように無言で頷くメリー。だとしたらノーマルタイプのバイウールーではがねタイプが入っているルカリオに対する事となる。メリーの焦りを感じたのか、ずっと黙っているが不安そうな表情を浮かべるイーブィ。
「ホントにいいんだね?バイウールーが二体目…」
「蓮子。相手に気遣いは無用だよ」
「…ブイ…」
「分かったよ。こっちも加減しないから!!」
私の言葉を聞いて身構えるルカリオ。一方のバイウールーも身構えたようなそんな姿勢を見せる。一時訪れる静寂。私とメリー2人とも一息吐くと…
「行くよルカリオ!!はどうだん!!」
「グウ!!」
私がルカリオに指示出した事に対してメリーはバイウールーに指示を出さない。どういう事か考えている間にルカリオのはどうだんがバイウールーに放たれたのだが…
「バイウールー。かわしてまねっこ!!」
「まねっこ!?」
バイウールーは身軽な動きでルカリオのはどうだんをかわすと、今度はバイウールーがルカリオに向かって溜め込んだはどうだんを放つ。これはあまりに予想外で、次が考えられない。そうしているうちにルカリオにはどうだんが命中し、少し吹き飛ばされた。
「そういう事か…厄介だな…」
メリーが考えている事。この地点では読めずにいた…
見てくださりありがとうございます^ - ^