灯火の星   作:命 翼

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やっと2人がスタートラインに立ちます。


ポケモントレーナーとして

幻想郷で一体何が起こったのか、そして何故ポケモンがこの世界に溢れるようになったのかを聞いた私達。話しを聞いて行く中で、にとりさんから研究所内にある本を読んでもいいと言われ、私とメリーは本棚に直行していた。

本棚に置いてある本はみな、にとりさんを始めポケモンについて研究している人々が書き、世の中に出した一冊。幸いにも書いてある言葉は私達でも理解出来る物で、どんどんと読み進めていたが…

 

「最近はポケモンについて書く人がいるんだなぁ…」

 

読んでいた一冊を一言呟きながら読み終え、閉じた瞬間。足元から何やら鳴き声のような物が聞こえ、私はキョトンとした顔を浮かべながら足元に顔を向ける。するとそこにいたのは遊んで欲しそうとばかりにキラキラとした目で、ピョンピョンとその場を飛び跳ねているイーブィの姿。私は本棚に本を置いた後にしゃがみ込み、イーブィを撫でる。

 

「イブブブイ!!」

 

「ホント、人懐っこいねアンタ…」

 

嬉しそうに鳴き声を上げるイーブィを見て、つい苦笑いをしながら呟く私。犬でも猫でも、ほぼ見知らぬ相手にここまで近づいてくるという事は滅多にない事。撫でられている姿はほぼ、犬。そんな姿に私はほっこりしたような安心とした気持ちとなっていた。そしてよく見ると、メリーの方にはピカチュウが寄り添っている。

 

何か惹かれる所があるのだろうか…という事を考えていると、イーブィを撫でている私の元ににとりさんが若干嬉しそうに微笑みながら、私に声をかけて来た。

 

「そいつら、普段は対して反応を見せないんだよ」

 

私はにとりさんのその言葉に少し驚いた。最初から人懐っこい姿を見せていただけに、そんなギャップがあるとは思っていなかったからだ。逆に反応見せなかったら、来た当初のピカチュウのような反応になるのだろうか。だったら、何故素っ気ない対応を見せていたピカチュウがメリーの元に寄り添っているのだろうか? 私は少し気になった。

 

メリーとピカチュウの方を見て、息を呑んでいる私の横顔を見てにとりさんはニヤリと笑うと…

 

「中には犬みたいにベッタベタに甘えてくる奴もいれば、猫みたいに素っ気ない態度を取る奴もいる。そして人に対して恨みを抱いている奴もたまにいる。姿は違えど、ポケモンも一種の動物。決してエイリアンみたいな奴らじゃないんだよ」

 

にとりさんが話している間にも、私の肩に乗って来るイーブィ。彼女の言葉を息を呑んで聞いていた私に、にとりさんは表情を微笑んだまま変える事なく、一つ提案して来た。

 

「なあ。私の頼みを一つ聞いてくれないかい?勿論、アンタら2人に提案するつもりだったが…ひとまず、アンタ達の名前を知らないとね」

 

にとりさんの苦笑いでの一言に、私はハッとした。そうだ、彼女に名前を伝えていないと。提案を聞く前に私は少し遠い場所にいるメリーを近くに来るように呼び出し、簡潔ながら私とメリーの名前をにとりさんに伝えた。にとりさんは二回程頷くと、小さく「よし」と呟き…

 

「私からの提案は一つ。その二匹を預かってみないか?どうせしばらくは戻らないと思うし、悪くない提案だと思うが…」

 

にとりさんの提案に思わず、私とメリーは顔を見合わせる。確かにしばらくは幻想郷からは戻れないとは思う。然し、幾ら人懐っこいとはいえ、私達とは違う世界に生きている生物だ。帰る時は別れなければならない。提案を受けるのは簡単ではないだろう、一瞬肩に乗っているイーブィから私が顔を逸らしていると、メリーが。

 

「預かります!この子と共に今の幻想郷がどうなっているか、見てみたいですから!」

 

「ち、ちょっとメリー!?」

 

私が悩んでいる傍で、メリーの思いは真っ直ぐだった。どうせ帰れないなら、この幻想郷を見て回りたいという一心。にとりさんはメリーの一言に自分で提案していながらも驚いていたが、どちらかと言うと驚いたのはメリーの決断の速さだろう。そして同じく驚いていた私の方にメリーは振り向くと…

 

「どうせしばらくは帰れないんだよ?折角来たかった幻想郷なのに、回らないのは損じゃん!!」

 

「…そう…だね。そうだよね…メリーは正しいよ」

 

メリーの真っ直ぐ目とその言葉を聞いて、私は吹っ切れ、マイナスな事を考えるより先にまず、幻想郷を回ってみたいと言う思いが勝った。それにイーブィがくっついて来るだけだ、帰るまでの生き方にしては持って来いだと思う。私の中の意見を強引に言い包め、私はメリーと同じくにとりさんに告げる。

 

「私も預かります。幻想郷を回ってみたいのは本心ですから」

 

「分かった。承諾してくれて助かるよ。言った通り、今の幻想郷は恐らく2人が思い描いている場所とは違うと思う。でも、それでも回ってみたいと言う2人の心。しっかりと受け止めたよ」

 

にとりさんは納得したかのように頷くと、一度私達の元から離れ何やら奥の方から赤いボールのような物を持って、やってきた。

 

「にとりさん、それは…?」

 

「ポケモンを中に入れるモンスターボールという。これからピカチュウとイーブィは君達のパートナーになるんだ。そこに入れてやってくれ」

 

にとりさんから私達はモンスターボールを受け取る。満足気な表情を浮かべているにとりさんに対し、少しばかりポケモンの反応が気になったが、イーブィは何かを察したかのように私の肩から降り、尻尾を振りながら微笑む。メリーの側にいたピカチュウも、彼女の前へ。私とメリーは一度顔を見合わせ、頷くとその場にしゃがみ込み…

 

「これからよろしくね。イーブィ」

 

と私がイーブィにモンスターボールを向けると、イーブィは覚悟を決めたかのように目を瞑り、そのままモンスターボールの中へ。普通のポケモンは抵抗するらしいが、この時は抵抗はなし。3回揺れた後に、カチッと言う音が鳴り、私はイーブィが入ったモンスターボールを見つめる。

 

そして隣を見ると私と同じく、メリーもピカチュウの捕獲に成功したらしい。私達は再び顔を見合わせ、微笑みながら頷くと。メリーが急にハッとしたような表情を浮かべて、私に提案して来た。

 

「そうだ!!…本で見たんだけどさ。今の幻想郷ってポケモンを競わせるポケモンバトルというのが主流らしいよ!」

 

「確か、この研究所の周り、良く野生のポケモンが出るから。その時もバトルさせないと行けないね」

 

楽しそうに話すメリーと、冷静に淡々と語るにとりさん。私はその2人を見て、ポケモンって戦わせる物なのか、という疑惑を覚えたが。野生のポケモンが飛び出して来た時に、そのまま襲われるのも何か嫌な感じだ。そしてメリーは考えこもうとする私に対して、微笑みながら話を続ける。

 

「折角ポケモンも貰った訳だしさ!特訓を兼ねてポケモン勝負しようよ!」

 

「え、でも…」

 

「細かいところは気にしない!!私外で待ってるからね!!」

 

それは細かい所ではないような気がする。と言う私の考えを押し除けて、メリーは楽し気な様子で外に出て行く。これには私も苦笑いしか出てこないが、隣にいたにとりさんも同じようで…

 

「来た当初はあんな感じじゃなかったのにね。ひとまずさ、やって来なよ。ポケモンが傷ついても、すぐに傷を治せるしさ。幻想郷、結構、ポケモン勝負で盛り上がっているから、いい特訓になると思うよ」

 

にとりさんは同じく苦笑いを浮かべながら私に一言呟く。私はそんなにとりさんに向かって頷くと、外に出て行ったメリーを追いかけて研究所を出る。何故こんな元気のいい感じになったかは気になるが、ひとまずはにとりさんに言われた通り、まずはやってみると言う事に意識を集中する事にした…




ひとまず読んでくださった方、ありがとうございます。
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