灯火の星   作:命 翼

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久しぶりです。8月最後の投稿になります。


不穏な噂と4人目のジムリーダー

 あんな姿を見たのは初めてだった。確かにバトル開始早々からメリーの覇気が全く持って伝わって来なかったし、戦術や指示にも迷いがあるようにも見えた。前回バトルした時より明らかに様子が変わっており、不安に感じていたがまさかピカチュウを外すまでになっていたとは…

 

 信じられない気持ちにもなったし、親友の疲弊しきった姿を見て何かしてあげられないと行けないとも感じた。このまま私はジムチャレンジの4人目に挑んでもいいのだろうか、今頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。

 

「ブイ…ブイ!!」

 

「!?え、あ、イーブィ?どうしたの?」

 

「ブイ!!」

 

 私の肩に乗っていたイーブィの鳴き声により私は我に帰る。俯きながら先行してくれているルカリオについて行っていた物だから、イーブィの鳴き声には大変驚かせられた。ふとルカリオが止まっているその先を見つめると、そこには存在感ありありと立っているスタジアムが。

 

 その隣には和風の病院があるのだが、近くにポケモンセンターがない事を考えるとこの病院がポケモンセンターの代わりをしているのだろうか。

 

「お疲れ様、ルカリオ。イーブィも一旦戻って。少し休んでジムに挑もうか」

 

 迷いが消えたかと言われたら全然消えてはいない。だがいつまでも暗い表情を見せていたらこの子達に影響してしまう。心配を心の中に押し留め、一旦イーブィ達をボールに戻してから病院に近付いて行く。

 

 病院の門に近づくとそこには「永遠亭」という看板が貼られており、恐らくこの名前がこの病院の名前なのだろう。門もただ開きの様子なので遠慮なく入らせてもらう事にした。

 

「待った」

 

 真正面にある入り口に入ろうとした瞬間に聞こえてきた女性の声。身体を少しばかりピクッと反応させ、声が聞こえて来た方角に振り返るとそこにいたのはうさ耳をつけた制服のような服を身につけた女性の姿が。

 

「ジムチャレンジャーよね?」

 

「はい。そうです」

 

「分かったわ。こっち来て。その入り口はポケモンとか取り扱っていない永遠亭の入り口だから」

 

 女性にそう言われ納得したのも束の間、サッと前方を歩いて行く女性の後ろをついて行く。歩いている間に話してくれたのだが、「この時期はジムチャレンジャーが良く来るから、特別にポケモンセンターも兼ねている」という事らしい。ジムチャレンジの時期はポケモンセンターはやってないらしい。

 

 何て話を聞きながら歩いていると丁度裏側に見慣れたポケモンセンターのマークが貼ってある場所が。急造の為かセンター並には設備はしっかりしていない。

 

「ここよ。ポケモンを回復させるならあそこの縁側に座っているウサギに話しかけて」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

 制服の人は忙しいのだろうか。私にそう告げるとその場から立ち去って行く。縁側近くに置いてあるベンチには新聞らしき物を持ちながら待っている人と、ここまで歩いて来てくたびれている人などいるが妹紅さんでつまづいている人が多いのか人数的には多くはない。

 

 ふと周りを見渡すがメリーの姿はない。小さく息を呑み、軽く息を吐くとそのままポケモンを回復させる為にベンチ前の縁側に座っているうさ耳の小柄の女性に声をかける。

 

「あの…すいません」

 

「ん?どーしたの?」

 

「ここに案内してくれた女性がポケモンを回復させるならアナタに声をかけろって言っていたもんで…」

 

「ああ、鈴仙ね。分かった、ひとまず回復させたいポケモンのボールを渡して」

 

 小柄の女性は小さく息を吐くと縁側から立ち上がり、ボールを受け取る為に手を差し出す。私は言われるがままに回復させたいルカリオ達4体のボールを女性に渡す。女性はボールを持つと…

 

「ちょっと待ってね」

 

 そう一言だけ告げると置いてある装置にボールをセットして行く。セットした後にボタンを押すと電流が流れ始め、セットされているボールを光らせて行く。こんな感じになっているんだという発見と、これで本当に回復しているのだろうかという疑問があったが…

 

「アナタ、不安みたいな表情を浮かべているね?」

 

「あ、いえ。そんな事は…」

 

「ホントォ?まぁいいけど。ポケモンセンターに置いてある装置使ってるから大丈夫だよ」

 

 こちらをからかうようにそうニヤリと女性は笑みを浮かべたが、すぐに装置の電流などを調節していく。ちゃんとポケモンセンターにある装置を使っているとの話を聞いて、一安心したのも束の間。女性は何かを思い出したかのように私の方を見て…

 

「あ、そうだ。アナタ新聞見た?」

 

「いえ、見てないです。何か書いてあったんですか?」

 

「うん。大した事件じゃないんだけど、一人のジムチャレンジャーがなーんか他のジムチャレンジャーから金を巻き上げる行為をしてるらしいよ」

 

 十分大事件ではないかと思ったが今はその思いを隠しておく事にして。ジムチャレンジャー同士でポケモンバトルという風景は見た事があるが、バトルしてるだけで金を使うといった行動は見た事がなかった。話しから伝わる異常さに私が息を呑んでいると…

 

「十分違法行為なんじゃ…」

 

「だからリーグ委員会が調査してるんだってさ。まあバレたら確実に処分が下るだろうね。本来ポケモンがいる世界じゃバトル後の金銭のやり取りは当たり前らしいけど、幻想郷では禁じられているから」

 

「幻想郷全体で…という事ですか?」

 

「そうそう。特にジムチャレンジャーとなるとさらに厳しいと思う」

 

 リーグ委員会に推薦状を提出してようやく成り立つジムチャレンジャーとしての姿。ほぼリーグに管理されていると言っても過言ではない。ポケモンがいる世界じゃ当たり前という言葉も気になるが、気にしても他の世界だから聞いても意味ないだろう。

 

 そう話しているうちに装置から終わったという音楽が鳴り響く。女性は4つのボールを手に取ると、私に近づいて来て…

 

「まあ、気をつけなって話しかね。はいこれ」

 

「ありがとうございます」

 

「ここのジムリーダーはフェアリータイプの使い手。何か後継者を探してるみたいで、ジムミッションは何かコンテストみたいな感じになってるよ」

 

「こ、コンテスト…!?」

 

 聞き間違いかなと思いきやそうでもないらしい。女性の表情が真顔という事で真実味などが伝わって来たが、とりあえず向かってみるしかないだろう。じっとスタジアムの方を向いていると…

 

「何か感じはただのポケモンバトルなんだけど。何かバトルの時の戦術とか戦法とか、または指示の美しさとか…」

 

「指示の美しさはいらないんじゃないですか…?」

 

「知らないよ。ジムリーダーに言ってよ」

 

「そ、そうですね…」

 

 何だかただ話しを聞いているとワガママな感じに聞こえて来なくないが、ひとまずそのジムミッションを突破しないとジムリーダーとは当たれない。審査されるのかぁ…と思いつつ、色々話してくれた女性のてゐさんに礼を告げると永遠亭から離れてスタジアムに向かって行く。

 

「…よし」

 

 一言自分の中で気合いを入れてその中へ。中は普通のスタジアムと一緒で内装がピンクなだけだが、問題なのはその受付。何だかジムチャレンジャーをジロジロ見つめながら、メモを取っている。ここまで見られるのか…と気色悪さを感じつつ並んでいない受付に近寄ると…

 

「あの…すいません…」

 

「ジムチャレンジャーの方ですね。ジムミッションを受ける手続きをしますか?」

 

「え、は、はい」

 

 全部見抜かれているようなそんな受付の人の口ぶりに息を呑んだが、とりあえず言われるがままにジムミッションを受ける手続きをする。ここまでは良かったがこの先、とんでもない感じになる事を今の私は知らない…




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