余裕そうな表情を浮かべて4体目のポケモンが入ったモンスターボールを手前に投げた幽香さん。繰り出されたのはアップリューと少し形状が似たようなポケモンなのだが、アップリューは翼があり飛んでいたのだがこちら亀のように鈍重に見える。
「タルップル。私はこの子がラストよ。この子が最後の牙城…潰す事が出来るのか楽しみね」
(堅そう…でもやるしかない…!)
「勝ってバッジはもらって行きます!ドロンチりゅうのはどう!」
とりあえず幽香さんが繰り出すポケモンはこれで最後。追い詰めたというのを頭に入れ、ドロンチに指示を出す。口から放たれた波動はあっという間にタルップルに命中したのだが、巻き起こった爆煙越しでも伝わって来た光。光が全て無くなったその瞬間にあったと思われる傷が治っていた。
「無傷!?」
「じこさいせい…傷を回復させたの。今度はこちらも行くわりゅうのはどう」
「こちらもりゅうのはどう!」
タルップルから放たれた波動に対抗するかのようにこちらもりゅうのはどうを指示。お互いの口から放たれた波動がぶつかり合い、爆煙が巻き起こっている間にテンポ良く攻めないとダメージを回復されてしまうと思った私は大技を食らわす戦法から変えることに。
「ドロンチ、ダメおし!」
「よく狙ってタルップル、エナジーボール」
爆煙の中ドロンチは突っ込んで行き、爆煙を掻き分ける形でタルップルに接近。そのまま尻尾を喰らわせにかかるが、待ち構えていたタルップルのエナジーボールが直撃。少し怯ませられた事により、尻尾はあらぬ方向の地面に当たりタルップルに当たる事はなかった。
「ドロンチ、たたりめ!」
「エナジーボール」
ドロンチはタルップルの方に向くと目を光らせ、近くに召喚した火の玉をタルップルにぶつけていく。だが微々たるダメージに留まり怯ませる事は出来ず、エナジーボールが再度タルップルの口から放たれていきドロンチに命中。少しタルップルの近くから吹き飛ばされる。
「りゅうのはどう!」
「じこさいせい」
ドロンチから放たれたりゅうのはどうが再びタルップルに命中したのだが、幽香さんはタルップルがドロンチより後手というのを理解していたのだろうか、じこさいせいを指示。確かに命中はしたがまたしても傷が光によって回復されてしまい、タルップルは万全の状態に。
「っ!これじゃキリがない…!」
「3体をテンポ良く倒したはいいけど、この子を崩すのは難しいわよ」
「倒さないとバッジは貰えない…だったら!」
特殊な技で攻めるほどこちらに余裕はない。ドロンチでもダメージは与えられるが厄介なのはじこさいせい。何回も何回も繰り返されたらこちらが消耗するだけ。だったら一気に行くしかない、ドロンチを一旦戻し私はルカリオを投入する。
「任せたよルカリオ!」
「驚いた、まさか交代してくるなんてね」
「勝つ為ですから!行きます、ルカリオ、バレットパンチ!」
「りんごさん」
ルカリオが地面を蹴り出した瞬間にタルップルは口から液を前面に放出。道を塞ごうとしてくるが、ルカリオはそれを掻い潜りタルップルの後方へ。背後から数十発のパンチを連続として食らわせる。
「…!」
「回復はさせない!はっけい!」
回復されては二の舞。だったら指示するテンポすら与えなければいい。ようやくその表情に曇りを見せた幽香さんからの視線を感じつつ、ルカリオの拳がタルップルに命中。少しだけしか吹き飛ばなかったが怯ませるには十分。
「タルップル、りゅうのはどうをアナタの周辺に」
「がんせきふうじ!」
「がんせきふうじ…?」
読みが外れたのか幽香さんの口ぶりからようやく焦りが見せ始めた。ルカリオの地面を叩きつけての一撃、そこから撒き散らされた岩はりゅうのはどうと相打ち。砂煙が巻き起こりルカリオとタルップルの視界からお互いが消える。
「私はルカリオを信じる…ルカリオ、はどうだん!」
ルカリオが両手を合わせそこから波動を作り上げる。両手で収まり切るのがやっとのサイズに成長した波動がそのままタルップルにへと投げつけられる。波動の軌道は一直線にタルップルへ。砂煙が振り払われていく中、今度はタルップルに命中したはどうだんにて爆煙が巻き起こる。
「…!」
爆煙が晴れるとそこには猛攻に耐えられず戦闘不能となっているタルップルの姿が。幽香さんは戦闘不能となっているタルップルを見て驚いた表情を見せていたが、すぐに笑みに変わるとタルップルをボールにへと戻す。
「私の負けよ。大したものね、状況の判断といい思い切りの良さといい。思わず圧倒されてしまったわ」
「途中まで私も負けるかと思いました…幽香さんの表情が少し崩れてから行けると感じたぐらいですから」
「まあ…そう言いながらももう一体、アナタはポケモンを隠していたんでしょう?タルップルに有効な技を覚えた子が」
私は幽香さんの言葉にびっくりさせられた。確かに私はルカリオ、ドロンチ、さらにイーブィと3体を残していたが幽香さんが言ってるのは間違いなくイーブィだろう。しかもその技がイーブィが覚えているきらきらストームの事。この読みには驚きしか出てこない。
「正解です…何で勝てたんでしょうか、完全に読み負けしてたんですが…」
「謙虚に言わなくてもいいわ、アナタは実力を持っているという事。さてこの先にいる6人目に挑みに行く前にお願いがあるんだけど…」
私の苦笑いを見てクスクスと笑みを浮かべた幽香さん。そんな幽香さんの視線が遠くからこちらを見つめていたユキハミにへと向けられる。幽香さんはそんなユキハミに歩み寄ると、猫を持ち上げるかのように軽く持ち上げそのまま私の元にへと近づいてきた。
「この子、チャンピオンになるであろうアナタのパーティにしてやってくれないかしら?」
「ち、チャンピオンだなんてそんな冗談を!」
「いいえ、アナタの実力はここに来た今年のチャレンジャーの中ではダントツの強さよ。そんな強く優しいアナタならこの子を進化させる事ができる筈」
「ハミ!」
進化というワードに疑問を抱いていた私だが、どうやらこのユキハミ、進化系があるというのは知れ渡っているが進化させた人物というのは存在しないらしい。幻想郷に寒い地域が存在しないからだろうか。
「進化方法とかは…?」
「ルカリオを持っているアナタなら分かっている筈よ」
「…!」
私はルカリオが入ったボールを見つめる。ルカリオも確か特殊な進化方法だった。だとしたらこの子も…?力強く見つめてくるユキハミに対してその力強さに応えたくなった私は…
「この先厳しい戦いが待ってるけどアナタは…」
「ハミ!」
「問題ないって。随分懐かれたものね」
「分かった…!じゃあ、これからよろしくユキハミ!」
私がモンスターボールを取り出し、ユキハミに向けるとユキハミはボールの方にへと飛びついてきた。そのままボールに入り、そのボールの中へ。ボールを見つめながら軽く笑みを浮かべそのあとに幽香さんの方に視線を向けると…
「ようやく肩の荷が降りたわ。その子の事よろしく頼むわね」
「はい!」
「この先にいるジムリーダーはちょっとした私の知り合いでね。幽香に勝ったという事を伝えたら相手してくれる筈よ」
「分かりました…私頑張ります!」
幽香さんからのアドバイスをもらい、お礼とばかりに頭を下げてその場から立ち去って行く。そして向かうのは太陽の畑を越えた先にある無名の丘という場所。6人目ジムリーダーの元にへて回復させつつ向かう事にしたのだった…
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