「行くよイーブィ…!めらめらバーン!」
「ポットデス!ふいうち!」
私自ら胸を叩く事で気合いを入れ直しラストスパート、イーブィに指示を出す。身体中の毛を逆立ててギルガルドに放った時のように炎を宿して行くイーブィ。その身体から炎が放たれようとしたその時、地面に潜り込みいつの間にかイーブィの背後に迫っていたポットデスから体当たりを喰らう。
トレーナーの私ですら気づかなかった暗さを利用したポットデスの攻撃。イーブィは背後からまともに攻撃を喰らった事により、炎をポットデスがいる方向とは違う所にへと放ってしまい炎は空の中に消えた。イーブィが背後に振り返ったがポットデスの姿はそこにはない。
「いない…!?」
「ゴーストタイプは元々暗闇に強いからね…!さらに行くよ!ポットデス、メガドレイン!」
(どこかにはいる筈…!)
「イーブィ、周りに向かってびりびりエレキ!」
イーブィの身体から吸い取られて行く生気。姿は見えないがポットデスがどこかしら技を放っているのだろう。賭けに出た私はイーブィにびりびりエレキを指示。身体に稲妻を纏わせたイーブィが身体の稲妻を自分の周りに放出。するとポットデスの近くに行ったのか、慌てて姿を見せた。
イーブィの前方、今イーブィは私の方に向いている為背後に当たる位置。びっくりした素振りを見せるポットデスを見て…
「イーブィ、後ろ!もう一回びりびりエレキ!」
「まもる!」
イーブィは振り向かずに再度身体に宿した稲妻を自分の周りにへと放出。背後にいるポットデスにも向かっていったがバリアを貼った事によりダメージは受けず。バリアに弾かれて稲妻は空中にへと消えて行く。空はもう夜空が見えかけている。早々に決着を付けないとトレーナーの私が対応出来ない…!
「真っ暗じゃ何もわからないでしょう!ポットデス、ちからをすいとる!」
(近づいてくる筈…!この一撃にかける!)
「イーブィ、めらめらバーン!」
夜の空はもはや私にイーブィがどこにいるか、ポットデスがどこにいるかも分からなくさせているがイーブィに近づいて来るとの賭けに出た私はイーブィにめらめらバーンを指示。身体に宿した炎により多少周りが明るくなったが背後から迫ってくるポットデスの姿が視界に入った。
「捉えた!イーブィ、そのまま一気に放出して!」
「ブイッ!」
イーブィはポットデスの接近を許す中で炎を自分の周りに放出。私もメディスンさんも爆風に巻き込まれたが起きた爆煙によりイーブィとポットデスの姿が見えない。暗闇の中微かに見える視界を頼りに煙が晴れるのを待っているとその場で倒れているイーブィとポットデスの姿が。
「ポットデス!」
「イーブィ!」
倒れた2匹に対してメディスンさんと私は同時に駆け寄る。あまりに必死だった為私とメディスンさんは激突。そのまま2人とも尻もちをついた。痛さで一瞬歯を食いしばったがお互いに顔を見合わせると息を整えたメディスンさんが…
「私の負けね。まあジムチャレンジの勝敗なんて気にしてないし、別にいいけど。とりあえずおめでと。見える内にバッジを渡しておくわ」
月の光が完全に地面を照らし始めたその時。メディスンさんは少し汚れた所の土を払いながら私にジムバッジを渡して来た。どうやら彼女にとって今のポケモンが最後だったらしい。悔しくなさそうに平然としていたが…
「次は確か…アリス!そして魔理沙ね。私を突破しているトレーナーはアナタ以外にも何人かいるわ」
「知っている限りは?」
「えっと確か魔美という子が」
お互いにイーブィ、そしてポットデスをボールに回収しながらメディスンさんは自分を突破した人物を語ってくれた。その中には魔美の名前も。あれだけ強いトレーナーだ。私の先を行っていてもおかしくはない。少しだけ驚いた反応を見せた私に対してメディスンさんは…
「この後一旦人里に戻るんだよね?」
「そうですね…でもさすがに今は戻れないですけど」
「そうだね。じゃあ私に勝ったご褒美としてここに泊めてあげる。その代わりちょっとした話し相手になってよ」
メディスンさんの要求に従う形で私はこの夜だけこのメディスンさんがいる鈴蘭の花畑に泊めてもらう事に。周りは真っ暗で何も見えないがひとまず今日はポケモンセンターを使えない為、自力で回復しないと行けない。倒れたウッウ、ドラパルト、イーブィの3体を手当てしながら私はメディスンさんの話を聞く。
「アリスはエスパータイプ、そして魔理沙はドラゴンタイプの使い手だよ」
「という事はドラパルトのような強いポケモンも?」
「そこまでは分からないけどジムリーダーとしての魔理沙は結構真剣にやってるから、私のようなテスト感覚では挑ましてくれないと思うよ」
メディスンさんによると後継者を求めるジムリーダーも多く、そのモチベーションの無さからかテスト感覚でチャレンジャーと勝負しているリーダーも少なくないとか。メディスンさんもその1人らしいが後継者が見つからない為継続して続けている形になっているとの事。
「ここまではぶっちゃけ気持ちが強いトレーナーなら突破すると思うけど、アリスと魔理沙は本当に強敵だよ。本戦と同じ気持ちでやってるもん」
「本戦?」
「そ。ジムチャレンジ後のセミファイナルトーナメント。何かどこかの地方の真似らしいよ。幻想郷は幻想郷なりのやり方をすれば良いのにね」
思わずメディスンさんからため息が漏れる。セミファイナルトーナメント。ジムチャレンジを勝ち抜いたトレーナーだけで行われるトーナメントであり、そのトーナメントを勝ち抜いた物だけがジムリーダー達が待ち構える本戦にへと進む。その後は…
「本戦の後は霊夢だよ。まあそこまで行けたらの話しなんだけどね、チャレンジャーが勝てなければリーダーが行くって話しだから」
「今までいるんですか?ジムリーダーが霊夢さんに挑んだパターンって」
「魔理沙が何回もチャンピオン戦に挑んでるよ。結果は全敗。手も足も出ないって感じで」
今後私が戦うであろうジムリーダーを持ってしても霊夢さんには敵わない。私はメディスンさんの言葉を聞いて息を呑む。ジムリーダーからしても最も強いトレーナーらしく、その足元には遠く及ばないとの事。
「確かアナタってメリーという子と幻想入りして来たんだよね?チャンピオンになったらどうするの?」
「…ひとまず戻れるまで幻想郷を楽しんでみようかと思ってます」
「そう言うしかないよね。無理もないよ」
私に同情するような形で語って行くメディスンさん。人間嫌いという話しらしいがかなり話してくれる。私にとっては今後の話しを聞くには貴重な機会だが彼女にとっては大丈夫なのだろうか…
「メディスンさん。確かにとりさんから人間嫌いだって…」
「チャレンジャーまで嫌っていたらさすがにどうしようも出来ないじゃない。人間とチャレンジャーは別って考えてる」
メディスンさんは私の言葉に対して少しため息を吐きながら返答する。そして暗闇の中静かに私のボールの方を見つめると…
「アナタ、多分幽香からポケモンを貰ったわよね?」
「え?何で分かるんですか?」
「何となくそう思っただけ。なるべく育てておいた方がいいよ。もしかしたらその子の力が必要になるかもだから」
何かを察したメディスンさんからの一言。多分ユキハミの事を言っているんだろうけど、読まれたかのような一言に私自身メディスンさんの方を見つめながら息を呑むしかなかった…
見てくださりありがとうございます。今日は描き終えたのでゆっくり休みます。