「イーブィ!!たいあたり!!」
威嚇するロコンが仕掛けて来る前に私はイーブィにたいあたりの指示を出す。イーブィは私の指示にブイ!!と声を張り上げて反応すると、地面を思い切り蹴り出し目にも留まらぬ速さでロコンに体当たりを仕掛ける。だがロコンはこれをヒラリと風のようにかわし、イーブィの方を向くと目を一瞬ばかり眩い程に赤く光らせた。大したダメージはないみたいだが…?
私が少々ながら疑問めいた表情を浮かべていると、私の僅か後ろにいたにとりさんが静かに呟く。
「かなしばりだね。少しの間放った攻撃を封じ込める技さ。なるほど…あのロコン、戦い慣れてるね」
「攻撃を封じ込めると言う事は…」
今放ったたいあたりが封じられたと言う事になる。イーブィがロコンの目を見てキョトンとしている間に、ロコンが行動を起こす。息を吸い込み、吐くと同時にひのこを放って来たのだ。近めの距離だった影響もあり、ひのこはイーブィに命中。やけどこそ負わなかったが、イーブィは熱がり私の前まで逃げ帰って来た。
「何の!!イーブィ!!ここから巻き返すよっ!!」
「ブイ!!」
辛そうな表情を見せていたイーブィだったが、私の言葉を聞き頷くと表情を引き締めてロコンの方に向く。ロコンは再度イーブィを威嚇すると、息を吸い込みひのこを吐いてきた。私はイーブィにこれをかわさせると、ロコンの視界を惑わす為にジグザグに迫るように指示。左右にロコンの顔を向かせている間に、接近に成功。
さっきはここでかわされたが、今度は決める…!!
「イーブィ、ほしがる!!」
イーブィにほしがるの指示を出し、イーブィは思い切りロコンにぶつかりにいく。ジグザグに動いたのがしっかりと効果に出たのか、かわそうとするロコンの動きが少し鈍り、その間にイーブィの攻撃が命中し少し吹き飛ぶ。地面を少し抉りながらロコンは踏ん張ると、体を思い切り震わせた後に「コン!!」と声を上げ、前屈みの姿勢になる。
「イーブィ!!構えて!!」
この体勢には見覚えがあった。そう、メリーのピカチュウが見せたでんこうせっかだ。イーブィにあらかじめ構えるように指示を出すと、イーブィは身体に力を入れて身構える。ロコンは地面を一気に蹴り出すと、あっという間にイーブィに接近し、ぶつかった。ダメージは受けたが、今は近距離。逆にチャンスでもある。
「今だイーブィ!!なきごえ!!」
近くにいたロコンになきごえを浴びせ、動揺した表情を浮かべさせると私はさらに仕掛ける。
「そしてすなかけ!!」
さらにイーブィにすなかけを指示したのだ。イーブィは思い切り砂を蹴り上げ、砂をロコンにかけようとするが、そう簡単には行かずにロコンはでんこうせっかを使いその場から退避。イーブィから距離を取る。
「さすがに簡単にはさせてくれないって訳ね…!!」
ロコンは体を震わせると、声を上げ再びイーブィを威嚇する。戦い慣れているだけあり、簡単にこちらの思い通りにはなってくれない。私は苦笑いを浮かべた後に、深く深呼吸をするとロコンの方を見つつイーブィに指示を出す。
「行くよイーブィ…ほしがる!!」
イーブィに出したのはほしがるの指示。イーブィはこれに返事をした後に、地面を蹴り出してロコンに迫り行こうとするが、この時既に前屈みの姿勢となっていたロコンが一気にイーブィに迫り、でんこうせっかをぶつけイーブィの攻撃をかき消すと、さらに近距離からひのこを再度放って来てイーブィに命中させる。
「っ!!まだまだ!!イーブィ!!ほしがる!!」
折角近づいて来てくれたのだ。諦める訳には行かない。私はイーブィに再度ほしがるの指示を出すと、少し怯んでいたイーブィが痛みに堪えつつロコンに迫り行くと思い切りぶつかり、ロコンを再度吹き飛ばす。両者身体を震わせ、互いを睨みつけながら声を上げると身構えの姿勢に入る。
だがイーブィとロコン、二匹共少々ながらダメージが蓄積されている事もあり、弱っているかのようにフラついた仕草を節々に見せている。それを見ていたにとりさんが、静かに私に声をかける。
「蓮子。次で決着を付けないとまずいかもしれないよ」
「……はいっ!!」
イーブィの仕草、そしてにとりさんの言葉でそれを自覚。明らかにイーブィの方が攻撃を食らっている回数が多く、その分ダメージを蓄積されているかもしれない。すなかけなどの手を取っている時間などない、次に確実に決める…!!
私の思いを読み取ったかのようにロコンは少し前屈みの姿勢となると、そのまま地面を蹴り出し、一気にイーブィに迫り行く。ロコンがイーブィに迫って来たタイミング、私はそこを狙いイーブィに思い切り指示を出す。
「今だイーブィ!!ほしがる!!」
ロコンのでんこうせっかが炸裂し、イーブィが明らかに痛そうな反応を見せたその時。イーブィもまた私からの指示を耳にすると、表情を引き締め思い切り声を張り上げながらロコンに思い切りぶつかる。吹き飛ぶロコンと同じタイミングでイーブィは少し虚な目となり、その場に倒れ込んだ。
「イーブィ!!」
「蓮子。まだ近づいたらダメ…!!ロコンが起きるかもしれない…!!」
倒れたイーブィに近付こうとする私の肩を掴み、ロコンが起きるかもしれないと説得して来るにとりさん。どうしても近付き、抱き抱えたい気持ちは強いが彼女の言葉が正解だ。私は言葉にならない怒りを拳を握りしめる事で、グッと隠すと吹き飛んだロコンの方を見やる。
その場で待機する事、2分。ロコンは動く気配がない。ここでようやくにとりさんからokの合図が。これと同時に私はイーブィに駆け寄り、そのまま抱き抱える。
「イーブィ…大丈夫…?」
「ぶ、ブイ…」
何とか笑みを浮かべながら返事して来たイーブィ。良かった…何とか大丈夫そうだ。と言う安心した思いが私の中で強くなって行く中、にとりさんが私の肩を再び肩を掴むと「前を見な」と一言。私は言われるがままに前に向くと、倒れていたロコンがゆっくりとこちらに近づいて来る。
「………」
「イーブィをお願いします」
ロコンが近付いて来たのを見た私は、にとりさんにイーブィを預けるとロコンに近寄り、少ししゃがみ込む。ロコンはこちらを見上げながらジッと見つめて来るだけ、いや…私のポケットを見つめているようにも見える。
「もしかして…」
私の中の直感がモンスターボールを示しているように思えた。にとりさんから貰ったモンスターボールをロコンに見せると、ロコンは無言ながらもその場に座り込み目を瞑った。私がそれを見て息を呑んでいると、後方からにとりさんが声をかけて来た。
「どうやらアンタを主人として認めたようだね。モンスターボールに入れてやりな。ロコンはそれを待っているよ」
「主人…」
先程まであんなに威嚇して来たポケモンなだけに、もし本当にそうならば態度の変わりように驚くしかない。私はゆっくりと深呼吸をすると、ロコンに向かってモンスターボールを向け…
「いいんだね…ロコン」
ロコンは頷く。どうやらにとりさんが言った言葉は本当のようだ。信じがたいが目の前のロコンの態度が現実らしい。私はこれ以上ロコンに尋ねたり、疑ったりする事なくモンスターボールをロコンに投げる。ロコンはモンスターボールをかわしたり、跳ね返したりせずにその中へ。
一回、二回、三回と左右に揺れた後にその場に響いたカチッと言う音。イーブィはどちらかと言うと貰ったと言う感じに近いが、こうして捕まえたというのは初めて。ロコンが入ったモンスターボールを拾い、私は息を呑んだ。
「おめでとうだよ、蓮子。さて、そのままメリーを追いかけて…と言いたいが二匹共ボロボロだよね。再度研究所で治療してあげるよ。おいで」
「はいっ!!」
にとりさんに言われるがままに研究所へ。この時、私の中にはかなりの達成感があり、研究所にて治療して貰った後に私は博麗神社に向かって出発したのだった。
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