「行くよウオチルドン!」
「魔美選手3体目はウオチルドン!6対3!どこかで巻き返さないときつい事になります!」
魔美の3体目はウオチルドン。メリーは未だに1体目のバイウールーが場に陣取る。追い詰められているのは完全に魔美だがその表情から焦りがあまり出ていないというのが彼女の中の光だろうか。魔美が大きく一息を吐き、声を張り上げる。
「フリーズドライ!」
「ボディプレス!」
地面を力強く蹴り出し、空にへと舞い上がったバイウールーがそのままウオチルドンにへと落下していく。ウオチルドンは冷風を放ち、それを一気に凍らせて行く。バイウールーはウオチルドンに落下して行く際に氷を粉砕して行くが、少しずつ傷ついているのは確か。
「かわして!」
「!」
バイウールーの攻撃をウオチルドンは回避。その場の地面がひび割れると同時に砂埃が大きく空中に舞う中、バイウールーの一撃をかわしたウオチルドンに魔美が指示を出す。
「いかりのまえば!」
「コットンガード!」
砂埃が視界から消え始めたその時。ウオチルドンは勢いよくバイウールーに向かって行くと、そのまま噛みつきにかかる。バイウールーは身体から毛皮を押し出し、身動きの取れない状態で防御体勢。ウオチルドンがバイウールーの身体に噛みつき、そのまま毛皮を引きちぎる。
バイウールーは転がりながら押し出した毛皮を元通りにすると反撃とばかりにメリーが…
「毛皮を引きちぎったウオチルドン!元に戻ったバイウールーにダメージはあったのかッ!」
「すてみタックル!」
「かみくだく!」
バイウールーが体勢を立て直すとそのまま地面を力強く蹴り出し、走りながらオーラを纏って行くとウオチルドンもバイウールーに向かっていき、バイウールーに噛みつきにかかる。両者のタックルと牙が火花を散らした後に爆煙を巻き起こす中、吹き飛んできたのはウオチルドンのみ。
バイウールーはその場で倒れ込み戦闘不能の状態に。
「バイウールー2タテでストップ!魔美選手反撃に転じます!」
「よし…!」
「お疲れ様バイウールー。後は任せて」
メリーが5体の魔美が3体とまだメリーの方が有利。ウオチルドンはバイウールーを撃破したものの、疲労は蓄積されている。そんな中バイウールーをボールに戻したメリーが次に繰り出したのはこおりタイプのウオチルドンには不利な相手のヌメルゴン。
霊矢とは違う控え室に案内された私がTVを見てかなり驚いた。ヌメルゴンはドラパルトと同様600族と呼ばれる優秀な種族。それを見て息を呑む私。そしてメリーは…
「この子で一気に行くよ!ヌメルゴン!10まんボルト!」
「フリーズドライ!」
ヌメルゴンの付近に冷気を打ち込んで行くウオチルドンに対し、ヌメルゴンは電気を溜め込むと一気にウオチルドンに向かって放出。ヌメルゴンが冷気により歯を食いしばる中、ウオチルドンに電撃が直撃。電撃による爆煙が広がる中…
「チル…」
「ウオチルドン、戦闘不能!ヌメルゴンの勝ち!」
「やはりバイウールー戦のダメージが響く!ヌメルゴンが得意の特殊技で猛攻を退けました!」
「お疲れ様ウオチルドン…」
ヌメルゴンの一撃によりウオチルドンがその場で倒れ込み、戦闘不能に。バイウールー戦でのすてみタックルはやはり響いていた。魔美は歯を食いしばると違うボールを出し、祈るかのように握りしめる。そして大きく一息を吐くと…
「この状況を打開出来るのはアナタしかいない…お願いモルペコ!」
「モペ!」
「魔美選手4体目モルペコ!さあどう反撃に転じるのでしょうか!」
「行くよヌメルゴン!りゅうのはどう!」
「オーラぐるま!」
魔美の4体目はモルペコ。ヌメルゴンが口から波動を吐く中、モルペコがオーラを大きくしタイヤのようなサイズにすると力強くオーラを蹴り出す。波動とオーラがぶつかり合い相打ちし爆煙を巻き起こす中、モルペコははらぺこ模様に変化。
それを見た魔美が爆煙が広がる中…
「オーラぐるま!そのまま突っ込んで!」
「ポイズンテール!爆煙をかき消して!」
ヌメルゴンが尻尾に毒を宿し、身体ごと振り回しながら爆煙を振り払って行く。そうすると自らの懐付近に現れたモルペコにメリーすら驚かせられる中、モルペコがオーラごとヌメルゴンに突進。オーラをまともに食らったヌメルゴンが少し吹き飛ぶ。
「ポイズンテール!」
「いちゃもん!」
ヌメルゴンが再び尻尾に毒を宿そうとしたその時。モルペコが発した声により、技に対する行動が強制中断。再びまんぷくもようからはらぺこもように変化したのを見て魔美はもう一度…
「オーラぐるま!」
「りゅうのはどう!」
ヌメルゴンにモルペコのオーラぐるまがぶつかり、すれ違いでヌメルゴンのりゅうのはどうがモルペコに衝突。巻き上がる爆煙に観客が大いに盛り上がる中、当事者である2人は息を呑んだ様子。爆煙が晴れるとそこにいたモルペコ、ヌメルゴンが倒れている姿が。
「ヌメルゴン、モルペコ共に戦闘不能!ダブルノックアウトです!」
「押し返しては押し返され!魔美選手ついにラスト!メリー選手はまだ4体も残しています!」
「お疲れモルペコ。ありがとう。行くよカビゴン!」
「押し返される訳には行かない…確実に行く。行くよピカチュウ!」
魔美が最後まで残していたのはエースのカビゴン。対するメリーもエースのピカチュウをバトルフィールドへ。両者の目付きが鋭くなる中、魔美がカビゴンのモンスターボールを突き出し…
「負けるためにここにはいない!絶対に勝つ!」
「!…望むどころ!」
「両者ボールにカビゴンとピカチュウを戻す!そして…!」
魔美とメリーがボールにポケモンを戻す中、ダイマックスバンドが光り始める。それと同時にボールが大きくなり、2人が背後に投げる。するとピカチュウとカビゴンがお互いにキョダイマックス。声を張り上げながらお互いに対する。
「お互いにキョダイマックス!さあクライマックスなのか!」
「キョダイサイセイ!」
「キョダイバンライ!」
カビゴンが地面に身体を打ちつけ、ピカチュウの真下から波動を打ち込んで行く。その中ピカチュウは放った電撃を空に舞い上がらせると、雷としてカビゴンに落下。お互いから爆煙が再び巻き上がると、爆煙が晴れたその時にはピカチュウのダイマックスが解かれる。
一方のカビゴンもダイマックスが解かれたが…
「カビ…」
「!」
「カビゴン戦闘不能!よって勝者!メリー選手!」
「決着!圧倒に次ぐ圧倒!カビゴンを一撃で沈めたピカチュウ!そしてメリーが一回戦突破だッ!」
その瞬間は歓声が上がっているにしてはあまりに静かに思えた。きっと場に戦っているというのがそういう感覚なんだろうなって。隣にいたポケモン達の檄を受けながら、私は頷くとポケモン達の方を見ながらゆっくりと立ち上がる。
「決勝の相手が決まった所で!みんな…絶対1回戦勝ちに行くよ!」
「ブイ!」
私の声に一斉にポケモン達が声を張り上げる。TVから見つめ魔美と握手を交わすメリーがとんでもなく輝いて見えた。ポケモン達の声に私は勇気をもらっていたその時、魔美の表情がかなり落ち込んでいるようにも見えた。当然なんだろう、自分の挑戦が終わったんだから。
拳をギュッと握りしめる。大きく一息吐きながらポケモンをボールに戻す。そして先程案内してくれたスタッフの方が私の前に近づいて…
「蓮子選手。次戦です。準備お願いします」
「分かりました」
スタッフの方に一言だけ告げるとバトルコート通路に繋がる道にへと足を運んで行く。通路からでも伝わってくる大歓声。そこで戻って来ていた魔美と遭遇した。
「魔美…」
「蓮子…絶対1回戦勝ってね。応援してるから…」
今にでも泣き出しそうなくらいに悔しそうな声を漏らしながら魔美はその場を去って行く。よく頑張ったよと歓声にかき消されるくらいの小さな声で呟くと、バトルコートにへとゆっくりと歩みを進めたのだった…
次は蓮子です。頑張ってもらいましょう。