「聞こえますでしょうか。スタジアム中に響き渡る大歓声!魔美選手とメリー選手のバトルが終わり、観客は今か今かと次の試合に向けたざわめきを起こしております!」
どこかから聞こえてくる実況の声を耳にしながら、バトルコートに繋がる通路を歩いて行く。声というかはどちらかというと大歓声の方が耳に入っているが、バトルに集中する事になるとどちらも聞こえなくなるのだろう。
靴の音が通路中に響くが私の耳には聞こえてこない。だがこれだけの歓声を浴びても前みたいに緊張しているという事はない。スッと一歩一歩進みバトルコートへ。
「今、左サイドから蓮子選手!そして右サイドから霊矢選手が入場して来ました!残るルーキーの中では無敗を誇りながら勝ち進んで来た蓮子選手!待ち侘びたファンも多いでしょう!」
「先程ぶりですね。蓮子さん。雑音はまだ聞こえていますか?」
「敢えて聞くようにはしているよ。悪口でも褒め言葉でも気合いが入るしさ」
「…そうですか」
バトルコート中央にて私と霊矢が控え室でいた時以来に顔を合わせる。先程のバトルを見ていたせいか、霊矢の言葉、顔を見るのが随分久しぶりに感じる。霊矢は私の言葉に軽く笑みを浮かべた。そして審判の方が近づいて来たのを見て、私と霊矢は距離を取る。
スタジアム中が一気に黙り込む。私は目を瞑り大きく一息を吐くと、顔を両手で叩き気合いを入れ直す。雑音は消した…後は勝つだけ!
「両者モンスターボールを構えて下さい!」
審判に言われるがままに私と霊矢はボールを取り出す。それをしっかり確認した審判が…
「レディ…ファイト!」
「行きますよギャロップ!」
「頼んだよモスノウ!」
スタジアム中が一気に湧き上がる中、私はモスノウをそして霊矢はギャロップをフィールドに。有利対面…とは言いづらいか。相性だけは互角…勝利に導けるかどうかはトレーナー次第…!
「サイコカッター!」
「れいとうビーム!」
年の刃がこちらに向かって放たれて行く中、モスノウは身体全体を使ってビームを放出。刃とビームがぶつかり合い、相打ちで爆煙を引き起こす。その中でもギャロップは確実に動いていた、爆煙を突っ切ってモスノウの前に姿を見せると…
「でんこうせっか!」
「ただでは帰さない!むしのさざめき!」
ギャロップが思い切りモスノウに体当たりをかまし、少しモスノウを吹き飛ばしたがモスノウは羽を強く羽ばたかせて音波を起こし、少し離れた距離からギャロップにさざめきをぶつける。ギャロップが吹き飛ばされ、霊矢の近くにて踏みとどまる。
「序盤から激しい攻防!先手を取るのは果たしてどちらか!」
「マジカルシャイン!」
「こちらも行くよ!マジカルシャイン!」
ギャロップが光の弾丸をモスノウに放ってくる中、私もモスノウに同じ技を指示。両者から出されたマジカルシャインがぶつかり合い、激しい爆煙を巻き起こす中それでも霊矢は攻めてくると確信した私は…
「攻めてくるよモスノウ!爆煙に向かってゆきなだれ!」
モスノウが目を光らせ、空中からどこから寄せたなだれを落としたその時。眼前に映るギャロップの姿が。ギャロップが驚く間もなく雪崩に巻き込まれる中、霊矢は…
「マジカルシャインでかき消せ!」
雪の重みがのしかかってくる中、ギャロップは光の弾丸を雪にぶつけていき全て粉砕する事で対処。雪解け水がギャロップに降り注ぐ中、ギャロップとモスノウの距離はほぼ間近だ。
「ゆきなだれをマジカルシャインでかき消したギャロップ!だがその距離は縮まらない!」
「逆に好都合!サイコキネシス!」
「むしのさざめき!」
念をモスノウに向けてくる中、モスノウは羽を羽ばたせて音波を巻き起こすと念と音波を火花を散らしながらぶつけ合って行く。最終的に音波が念を切り裂き、ギャロップに衝突。激しい爆煙を再び起こした。
爆煙を起こした所に審判が駆け寄る。ギャロップはふらつきながらもモスノウを見据えていたが、横に倒れ込んだ。
「ギャロップ、戦闘不能!モスノウの勝ち!」
「先鋒戦を制したのはモスノウ!激しいぶつかり合いを制した形となりました!」
歯を食いしばりながら霊矢がギャロップをボールの中に戻す。観客の声にかき消される形となったが一言だけ呟き、次のポケモンのボールを取り出す。霊矢が一息吐きながら場に出したのは船の錨のような形をしたポケモンだ。
「霊矢選手、二体目はダダリン!モスノウ相手だと若干不利か!」
「ダダリン…私は初見のポケモンだな。出して来たという事は何か打点あってのことだろうけど…」
「いられると少し厄介なんでね…潰させていただきます!ジャイロボール!」
「れいとうビーム!」
ダダリンは地面を抉りながら回転し始めるとそのままモスノウに向かって突撃していく。モスノウは身体を思い切り動かしビームを発射。ダダリンの身体には命中しているが、全てかき消されて行く始末。そのままダダリンはモスノウに衝突し、モスノウを吹き飛ばす。
「ジャイロボール命中!モスノウが吹き飛ばされる!」
「モスノウ!」
「モス…!」
「まだ立ち上がりますか…!」
モスノウは一瞬は起き上がったものの、すぐに再び地面に落下しそのまま戦闘不能に。これで両者が一体を失う状況。モスノウをボールに戻し、お疲れ様と一言だけ呟くとまずはジャイロボールを止めないと行けないと思った私が次に繰り出したのは…
「行くよキュウコン!」
「場にほのおタイプのキュウコン!ダダリンのタイプを察したか!」
「やりようはある…!ダダリン、ジャイロボール!」
「かえんほうしゃ!」
心の中で来たと思った。再び回転しながら向かって来るダダリンに対してキュウコンにかえんほうしゃを指示。思い切り吐いた炎でダダリンの勢いを飲み込んでいくと、そのまま直撃させた。大爆発が巻き起こり爆風がこちらまで来た中、爆煙の中聞こえて来た何かが落ちる音。
爆煙が晴れ審判が近づくと…
「まさかの一撃!モスノウを撃破したダダリンがキュウコンの前に沈黙した!」
「よし!」
「っ!自分の甘さか…!」
モスノウを沈めたダダリンを撃破。思わず拳を握りしめながらよし!という声を漏らした。霊矢はダダリンをボールに戻すと次に繰り出したのはエーフィ。ここで霊矢のエースが出てくる形となった。
「エーフィ…ここで出てくるか…!」
「状況は渡しませんよ。エーフィにて逆転させていただきます!」
「強さはあらかた知ってる…気を引き締めて行くよキュウコン!やきつくす!」
「サイケこうせん!」
キュウコンから火炎が吐かれエーフィの赤い部分から光線が放たれて行く。火炎と念波がぶつかり合う中、数秒経たないうちに火炎を掻き消してキュウコンにサイケこうせんがぶつかる。
だが身体を震わせて健在ぶりをアピールするキュウコン。それを見た私はふと笑みが溢れた。
「行けるよねキュウコン」
「コン!」
「よし…気張って行くよ!かえんほうしゃ!」
「マジカルシャイン!」
キュウコンの頼もしき声に私はよしと再度呟くとかえんほうしゃを指示。キュウコンの口から火炎が吐かれる中、対するエーフィはマジカルシャイン。身体全体から光の弾丸を放ち、火炎をかき消して行く中私は…
「おにび!」
「おにび…!?」
かえんほうしゃがマジカルシャインによりかき消されて行く中、おにびを指示。小さい火の粉のような物がエーフィに命中。火傷を負わせた。歯を食いしばる霊矢と息を吐く私。
エーフィが若干苦しそうな表情を浮かべる中、キュウコンはさらに気を引き締める。その中で私までその緊張具合が伝わり、ピリピリとした感じがしていた…
見てくださりありがとうございます。