イーブィ、そして新たなに仲間になってくれたロコンと共にようやくという形ではあるものの、博麗神社に向かって進み始めた私。後でにとりさんも追うとの話しだが、ひとまず彼女から言われたのは「デカイポケモンとは戦うな」という事。この先の道で何が待っているかは分からないが、私はその言葉をしっかりと心の中に刻んだ。
「デカイポケモンって…最初メリーと見たあの青いポケモンも入っているのかな…あの時は何も持って無かったけど…」
イーブィを追って幻想郷に入った際に見かけたラプラスというポケモン。危険そうには見えなかったが、考えてみればあれもにとりさんの言う「大きいポケモン」の一体に入る。危険なのだろうか、と言う不安よりいつか戦えるのだろうかと言う期待が私の中で膨らんでいた。
軽く顔がニヤける中で私の足はにとりさんに言われた通りの研究所から右方向に動いていた。そのまま真っ直ぐという事らしいが野生のポケモンが多いという事は研究所の前で現れたロコンで証明済み。いつポケモンが飛び出して来てもいいように、私はポケットに入れてあるモンスターボールに触れていたのだが…
「…あれ?もしかして私にビビってる?」
辺りを見渡しているとあちこちにいたポケモン達が、逃げまわっている姿が視界に映る。ある者は木陰に隠れ、ある者はその場から離れて行く。戦闘態勢に入るどころか、これじゃあここらにいる野生のポケモンが飛び出してくる気配もない。私の前に出てきたロコンが稀だったのかもしれない。
「まあいいか…この方が有り難いし…」
呆気に取られたような表情を私は浮かべた後、ポケットに手を入れるなどをした警戒を解き、普通に歩き始める。ただずっと歩いていると、何やら鳥居のような物が見えてきた。博麗神社というのは鳥居のような物がある所の近くという事で間違いないだろう。かなり歩かないと行けないな、という気はしていたが、あっさりと着いた物だ。
「随分とあっさり着いたな…さて、メリーはいるかな…」
あんだけ先に進んでいたのだ。先にこの場所に着いていないとおかしい。鳥居の前に立った私は、ひとまず辺りをキョロキョロと見渡すと一度深呼吸。よし…と小さく呟いた後に鳥居をくぐったのだが、何やら前方から足音が聞こえてくるような…
「蓮子!!遅いよ待ちくたびれたよっ!!」
ああ…やはりメリーだ。鳥居をくぐって来た私に彼女は思い切り息を切らしつつも、微笑みながら私の近くで足を止めると、肩を掴み思い切り揺らし始めた。笑顔のまま肩を揺らしてくるとは、メリーはサイコパスか何かだろうか。ただ肩を揺らされ続けていると、遠くから何やら笑い声が聞こえて来たのを機に、メリーの肩揺らしが止まった。
「急に来てはどこか行って…忙しい奴ね、アンタ」
「えへへ…」
メリーは私達の方に歩いて来た紅白の巫女服に身を包んだ女性の方を見つめる。軽めの笑みを浮かべていた女性は私の方に振り向くと…
「あら…アンタひょっとしてメリーの友人かしら?」
「え、は、はい…宇佐美蓮子と…」
私が少し慌て気味に名前を名乗ろうとすると彼女から返って来たのは、その名前はメリーから聞いたという返答だった。そして軽く微笑んだまま、女性は私をじっと見つめ、口を開いた。
「私、博麗霊夢というの。大まかな所はにとりから聞いているだろうし説明は要らないわね。まさかポケモンに導かれて幻想入りしてくる奴がいるなんてね…ポケモンの力には驚かせられるわ」
今、私とメリーの前にいる人物が博麗霊夢。にとりさんが言っていた幻想郷の中で一番強いトレーナーだ。あっさりと出てきた物だから緊張などが急に出てきたが、メリー自身はそこまで緊張して無さそうだ。私が来るまでにこの人と話していたのだろうか。
「にとりさんの事…知ってるんですか?」
「ん?ああ、そうね。ちょくちょくだけど私もお世話になっているからさ」
緊張して少々頭の中が真っ白な中で、口に出た言葉がにとりさんとの関係性。河童と人間はあまり関わりがないという事は、幻想郷の文書にて知ったのだが、どうやらにとりさんは普通の河童とは少し違うようだ。そして少しばかり私が黙り込んでいると、霊夢さんが少し首を傾げ…
「メリーから聞いたんだけど…ポケモンの大会について知りたいそうね?」
「え、あ、はい…!!」
この時、参加したいなどとは口にはしていない。だが霊夢さんは何かを察したかのようにジッと私達2人の方を見やると、彼女は少しばかりニヤリと笑い…
「アンタ達、ポケモンの素質ありそうよね。確かにとりからイーブィとピカチュウを貰ったんだっけ?」
「はい!!」
耳に響き渡る程のメリーの元気過ぎる返答。じゃあ…と彼女は切り出すと若干真剣な表情となり…
「その大会について今から説明すっから、こっち来てくれる?」
「(目つきが変わった…?)」
霊夢さんに言われるがままに私達が彼女について行くと案内されたのは、神社の縁側。霊夢さんはここを前にして「大事な話はここの方が喋りやすい」と語ると、縁側に腰掛けた。私達もそれについて行く形で縁側の廊下に腰掛ける。
にとりさんは簡単にポケモンの大会の事を切り出したが、本当は重要な事だったのだろうか…
「さてアンタ達が言っているのはジムチャレンジの事だよね。最近、結構流行している奴でさ。ポケモンジムつー場所、8つを巡って行くというのが大まかな流れになるのよね。ただ…」
「ただ…?」
霊夢さんの表情が本当に真剣な表情に変わる。何かまずい事を言った訳ではないが、その表情は少しばかり怒りに近い物にも見えなくはない。
「ダイマックスバンドという奴がないとこの大会には参加出来ないんだよね。結構推薦状はどうにかなるんだけどさ」
「ダイマックスバンド…?推薦状?」
見知らぬ言葉が二つ出てきた。推薦状は大体は分かるが、ダイマックスバンドとは何だ?私達2人が首を傾げていると、霊夢さんは少し息を吐きながら推薦状について語り始めた。
「にとりからポケモンの大会はただでは参加出来ないという事は聞いたよね?このジムチャレンジには誰かからの推薦を貰った者しか参加出来ないんだよ。そこで必要となって来るのが推薦状。これに関しては後で色々と話すよ」
何だか大変な大会に参加しようとしているのではないか…?霊夢さんの話しを聞いて何だかそんな思いが頭の中を駆け巡る。あんだけ期待に満ちていたメリーもあっさりと黙り込んでいる。そんな中、彼女は次にダイマックスバンドについて語り始めた。
「これ…分かる?」
彼女が見せてきたのは腕に付けたリストバンドのような物。霊夢さんが言うにはこれがダイマックスバンドという物らしい。そもそもダイマックスとは何だろうか。疑問に思った私はこれについて尋ねてみる。
「あの…ダイマックスってなんですか?」
「単純に言うならポケモンが大きくなる現象の事よ。力とか体力とかも倍増するんだけど…3分しか持たない。使える場所が限られていると言った不思議な奴でね…」
ポケモンが大きくなるって例えば今、モンスターボールの中にいるイーブィが巨人並みに大きくなる事を指すのだろうか。だとしたらとんでもない感じだが…
「ダイマックスに必要な石がね、このダイマックスバンドには必要なんだけど…こればかりは運でね。推薦状を幾ら渡せても、こればかりは…」
霊夢さんの表情が少し申し訳ないようなそんな表情に一瞬変わったが、少し考え込んだ後に急に彼女は立ち上がり…
「あ、そうだ。アンタ達、大会には参加したいわよね?」
「はい!!」
何か企んだかのように微笑む霊夢さん。何も考えてないかのように返事するメリー。そして彼女がじゃあ…と一言だけ切り出すと。
「今からアンタ達、ポケモンバトルしなさい。そしたら石も来るかもだし、推薦状も上げるから!」
「分かりました!!」
「はああ!?」
何とも急すぎる展開に私は思わず声を張り上げる。だがこれは冗談ではなく、私はメリーとまたしても勝負する事になったのだった…
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