灯火の星   作:命 翼

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お疲れ様です。命です。
今回は予告していた通り閑話回となります。では書いていきます。


健闘を讃えあう中での一幕

 スタジアムで浴びた大歓声がまだ頭の中で響いている。無音の筈の着替え室なのに耳の中と頭の中では未だにあの音が残ってる。信じられない体験をしていたかもしれない。集中していて雑音は全てかき消すようにしていたけど、胸の高鳴りが止まらないのが答えなのかもしれない。

 

 着替え終わり私は静かに胸に手を当てながら軽く微笑む。自分に気合いを入れ直すかのように一息吐いた私はロッカーに掛けていたバッグを手に取り、着替え室から出る。そこにまずいたのは控え室にいたメリー。

 

「蓮子。お疲れ」

 

「メリー…」

 

「わざわざ出てくるのを待っていたのよ?きっと同じ感想を抱いているんじゃないかって思って」

 

「同じ感想?」

 

「幸せな時間だったと思わない?私にとってはもう終わったけど、あの時間だけは幻想郷全体が私達に夢中だった事」

 

 待っていたメリーの言葉から感じられた悔しさ。だがそれ以上にメリーはあの大歓声でやれたという事を幸せに思っているように感じた。メリーが私に見せた笑顔。私は少しキョトンとした表情を浮かべていたが彼女の言葉の意味をしっかりと理解すると、頬を緩ませた。

 

「私とメリー。私達が考えている事が一緒なら…まだやってるようなそんな感じ…とか?」

 

「そうだね。蓮子と考えていた事は一緒かもしれない。本当に残っているよ。頭と耳、そして目に。全てが思い返せばサッとそこにいる気分になる」

 

「集中していてとんでもない事言ってるんじゃない?」

 

「あー…言っていたかもしれないね」

 

 私の一言にメリーが苦笑いを浮かべる。つい先ほどの事なのにもう過去について語っているような感じになってしまっている。それ程までに長そうに見えてあっという間だったんだと思う。私とメリーで談笑していると控え室に入って来た2人の男女。

 

 魔美と霊矢だ。キョトンとする私達を見て何やら急いでくれと言わんばかりの表情で…

 

「いつまで談笑しているつもりなんですかね、2人とも」

 

「健闘ぐらい讃えあってもいいじゃん。それか何か用事でも?」

 

「そう、まさかのその用事。そこにチャンピオンがいるの。談笑するのもいいけどまず貴女達の健闘を讃えてあげたいチャンピオンに会ってきて」

 

「れ、霊夢さんが!?」

 

 すぐ近くに霊夢さんがいる。その事に驚きしかないが魔美の一言でひとまず私とメリーはロビーの方に向かう。霊夢さんもチャンピオンという立場で暇ではないと思う。慌ててロビーに辿り着くとそこにいた霊夢さんが傍にいた慧音さんが見てる前で私達に近づいてくる。

 

「チャンピオンを待たせるなんて中々の大物ね、2人とも」

 

「本当にすいません!魔美と霊矢に言われるまで気づきませんでした!」

 

「全く…私と慧音さんの元に来ようとしたファンを止めてくれているスタッフの気持ちにもなりなさいよね」

 

(霊夢さんが堂々とロビーにいるからじゃ…)

 

 慧音さんがゆっくりと私達の元に近づいてくる中、霊夢さんはため息を吐く。謝罪の言葉を述べるメリーの隣で思わず心の声が出てしまいそうになったが、霊夢さんはその後笑みを浮かべながら私達の方を見つめると…

 

「何かあっという間に強くなったわね2人とも。私に推薦状を貰いに来た時がつい最近のように感じるわ」

 

「本当にお疲れ様だ2人共。霊夢はメリーや蓮子が若干悩みながら勝ち進んでいた時にとんでもなく心配していてな。付き添いでいたスタッフが見てられないと私に相談を持ちかけた程だったんだぞ?」

 

「ちょっと慧音さんやめてよ!霊矢は輝夜に何か誘われるわ、メリーはスランプそして蓮子が悩んでる。私の推薦者ばかりだからさすがに焦りは…するでしょ」

 

「霊夢さん…」

 

「そんな有り難いみたいな眼差しで見ても何も出来ないわよ?蓮子。アンタ私の推薦者2人をぶっ倒したんだから上がって来た残り3人の分まで戦う事を今誓いなさい」

 

 霊夢さんが若干恥ずかしいからか顔を赤くする中、私はそんな霊夢さんに対して頷き再度気を引き締める。霊矢とメリーは私と同じく霊夢さんの推薦者。そして魔美はライバル魔理沙さんの推薦者だ。気にしてはダメだが終わらせてしまったのは胸に刻んだ方がいいかもしれない。

 

 そんな中メリーが何か気になったかのように一言呟く。

 

「あの霊夢さん…魔理沙さんには…」

 

「魔美の事よね。…私から声は掛けちゃ行けないとは思う。結果的に私の推薦者がファイナルに進出した訳だから。でも何か言っていたのよね慧音さん」

 

「そうだな。…会ったらという言葉を付け加えていたがファイナルの決勝で待ってろとだけ言っていた。それだけで分かるな蓮子?」

 

「…はい」

 

 きっととんでもなく怒りに打ち震えていたんだとは思う。魔理沙さんの口からではなくてもそれだけは理解できる。魔理沙さんはこの幻想郷では1番のジムリーダー。ジムリーダーと対するトーナメントにおいて魔理沙さんは優勢と言ってもいいかもしれない。

 

 覚悟が自然と芽生える。そしてそんな私を察するかのように霊夢さんが…

 

「当然慧音さんとも当たる可能性がある訳だから。メリーか蓮子をどちらかが上がってくるのを誰よりも待っていた人だからね」

 

「お、おい霊夢…」

 

「とりあえずよ。勝敗はついたけどナイスファイト。あの盛り上がり方はチャンピオンマッチにも引けを取らないと思うわ。私からも一言」

 

「……」

 

「チャンピオンマッチで待ってる。変な試合を見せたら許さないからね。長話もあれだし私達はこれで退散するわ。お疲れ様」

 

 霊夢さんと慧音さんがその場から去って行く。霊夢さんに言われて改めて気が引き締まる。スタッフが抑えていたファンが離れて行く中、去り行く霊夢さんと慧音さんの背中を見つめる私達の隣に控え室から戻って来た魔美と霊矢の姿が。

 

「えらく長く話し込んでいたね。戻ってくるタイミング迷っちゃった」

 

「霊矢は何か言われた?一応私達と同じ推薦者でしょ?」

 

「ナイスファイトとは言われましたよ。多分貴女達が話し込んでいる間に話したい事は話していたんじゃないですかね」

 

「そっか…」

 

 霊夢さんは魔美と霊矢とも会話をしていた。それを聞いただけでもホッとはした。メリーがニヤリと笑みを浮かべながら頷いている間に魔美が私とメリー、そして霊矢の方を見渡しながら一言呟く。

 

「3人共疲れたよね?ひとまず屋台行こうよ。メリーがさっきこれでもかというぐらいに見ていた屋台があるんだ」

 

「は、恥ずかしいからそういう話しはやめてよ魔美!」

 

「とりあえず乗った。お腹も減ったし」

 

「言ったからには美味いもの食わせてくれるのでしょうね?」

 

「あ、圧が…」

 

 魔美と霊矢そしてメリーとスタジアムを出ると再び目に入った大量の屋台。何か3人と話していると疲れが吹き飛んだ気分になる。階段をすぐ降りたその時。とある緑髪の女性が近づいてくるのが目に入った。

 

「ごめん3人共。ちょっと先に行ってくれないかな」

 

「え?あ、うん分かった」

 

 私は魔美達3人に謝る形で3人の元から離れて緑髪の女性と対面する。周りが少しざわついている。私目的なのか女性目的なのかは分からないが、ひとまず女性は私に近づくと小さく一礼をし笑みを浮かべながら話しかけて来た。

 

「折角の機会。心遣い痛み入ります。私は東風谷早苗。この守矢スタジアムの管理人という立場にいます」

 

「スタジアムの管理人さん?確か早苗さんって諏訪子さんに話しをされていたという…」

 

「諏訪子様を知っておられましたか。私の立場は管理者と神社の巫女の二つ。諏訪子様には巫女としてお世話になってます」

 

「それで待っていてまでの用事は…?」

 

「私とバトルしてください」

 

 時が止まったように感じた。バトルを見て来たなら疲弊してるのも…いやスタジアムの管理人だからかバトルまでは見切れていないのか?思わず一息吐いてしまった私に対して早苗さんは…

 

「もちろん今すぐとは言いません。明日の午前。バトルコートを借りて待ってます故、もしよろしければお願いします」

 

「…確かファイナルは夕方でしたっけ。わかりました」

 

「ありがとうございます。私から告げたいのはそれだけです。どうぞ合流なさってください」

 

「あ、はあ…ありがとうございます?」

 

 何かを隠されているような気がするがひとまず早苗さんにお礼を告げてその場を後にする。メリー達と合流し守矢スタジアム付近の屋台を再び回るのだった…




見てくださりありがとうございます。
次回はファイナル前では最後のバトルにはなるかと思います。
ではお疲れ様でした。
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