灯火の星   作:命 翼

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お疲れ様です。命です。
スマホにて書き続けて来たハーメルンでの小説ですが、もう少しでパソコンに変わるかもしれないです。
その時は報告します。


その笑みは余裕かそれとも…

 かつてライバルとして争っていたメリー達と時間を共にしたその日。守矢スタジアムでの健闘を讃えあいながら過ごした日が過ぎ、あっという間にファイナル当日の日を迎えた。スタジアム付近の旅館で一泊した後、朝早くに旅館を出た私はバトルコートにへと向かう。

 

 理由は昨日疲れ切っている私にバトルしようと言って来た早苗さんに会うためだ。午前とは言ったが日が完全に出切っていない時間帯。果たして早苗さんはいるのだろうか。

 

「おはよう御座います。もう少し遅めにくると思ってました」

 

「私も早めに出たとは思いましたけど…まさかいるとは思ってなかったです」

 

「準備には時間をかけるタイプでして。私もつい先ほど来たばかりですよ」

 

 その微笑んだ表情は昨日と一切変わらない。バトルコートの扉を開けそこにいた早苗さんに話しかけると少し警戒する私に対して変わらぬ口調で話し始めた。先程来たというがこの人からはどうもどう考えているのか全く読み取れない。不気味という言い方がいいのかもしれない。

 

「八雲紫はこの大会を自分の物かと言わんばかりに威張っていますが…我々守矢がこのスタジアムを貸さなければ始まらない事」

 

「……」

 

「アナタを賞賛した諏訪子様は人を見抜くのが得意なお方。…それだけに賞賛した実力、オーラというのを体感して見たくて」

 

「守矢に対して随分自信を持ってるんですね」

 

「それが私の生きる道ですから。さて準備が出来たら距離を取って下さい。ダラダラと話しましたが私も戦いたいのは事実ですから」

 

 早苗さんは目を瞑りながら淡々と話すと私から少しばかり距離を取って行く。その冷静そうな表情は一切変わらない。私は少しばかり息を吐くと早苗さんから距離を取り、モンスターボールを構える。「用意は出来たようで」と早苗さんが呟くとすぐにポケモンをフィールドに出す。

 

 出て来たのはメリーの時に対戦したアーマガア。相性通りに出してもいいかもしれないが夕方には1発勝負の本番が待っている。いつもの戦いは出来ない。私はエースのイーブィをフィールドに出す。

 

「ブィ!」

 

「イーブィですか。いきなり本気ですね」

 

「朝から対応出来るのがこの子くらいなんで」

 

「なるほど…では行きます。アーマガアはがねのつばさ」

 

「めらめらバーン!」

 

 アーマガアが声を張り上げ翼を光らせながらイーブィに向かってくる中、イーブィは身体を燃え上がらせ体全体から炎を放出していく。アーマガアにかわす素振りはなし。直撃となり大きな爆煙が広がる中、爆煙が消え視界が開けるとそこにはアーマガアが戦闘不能となっている姿。

 

「なるほどお強い。アーマガアも中々に鍛えているのですが」

 

(戦闘不能になって当然と言わんばかりの態度…あまりにも真剣さが無さすぎるような気がする…)

 

「では次行きます。行ってくださいフライゴン」

 

「フライゴン?」

 

 アーマガアを戻し出て来たのは緑の体と赤い目をした龍のようなポケモン。私は完全に初見のポケモンだ。見た目は龍みたいだけどとりあえず様子見みたいな感じは必要かもしれない。

 

「びりびりエレキ!」

 

「ワイドブレイカーでかき消して下さい」

 

 身体中に溜め込んだ電気をイーブィは一気に放出。一直線にフライゴンに向かって行くが尻尾で薙ぎ払いあっさり電気をかき消す。技の衝突で消えたにしてはあっさり過ぎる。じめんタイプだとすぐに悟った私は他の技で行く事にした。

 

「イーブィ、きらきらストーム!」

 

「じしん」

 

 イーブィが声を張り上げ空に光を打ち込むとその間にフライゴンが尻尾で地面を叩きつけ振動を起こすと、イーブィにも一撃が命中。イーブィが少し歯を食いしばっている間に空に打ち込まれた光がフライゴンの元に降り注ぎ直撃。対抗するような指示すら出さなかった事に私は驚きを隠せずにいた。

 

 直撃の爆発と共に広がった爆煙が消えて行くとそこにいたフライゴンが一撃で戦闘不能になっている姿。少しは悔しいのかなと思いきや早苗さんの表情は何かに納得したかのように充実したようなそんな表情。

 

「どうかなされましたか?勝負に集中出来ていないようですが?」

 

「…いえ。何でもないです」

 

 どういう感情で早苗さんがバトルしてるのか全く読み込めない。そんな中で早苗さんは首を傾げるとフライゴンを戻すと最後の一体と呟いた上で水色のポケモンを出して来た。

 

「あら?見たことありませんでしたか?よく博麗神社方面にいますが」

 

「博麗神社方面には霊夢さんに推薦状を貰った時に行ったきりなんで」

 

「なら仕方ないですね。この子はギャラドスと言います。さて淡々とここまでやられましたが簡単に3タテを許すわけには行きません。少し反撃させていただきます」

 

「こっちも全力で行きます…!めらめらバーン!」

 

「ぼうふう」

 

 ギャラドスというポケモンに対して私はイーブィにめらめらバーンを指示。イーブィが再び体全体に炎を宿し一気にギャラドスに放出して行く中でギャラドスは風を巻き起こし炎に向かわせて行く。竜巻のような勢いで炎を巻き込むとそのまま消滅させる。

 

 驚いた私が咄嗟に次の指示を出す。

 

「びりびりエレキ!」

 

「たきのぼり」

 

 イーブィが再び体全体に電気を纏わせ一気にギャラドスに向かって放出。ギャラドスは身体に水を纏わせるとそのまま一気にイーブィに向かって行くが、途中でびりびりエレキの電気が水に当たり感電。そのまま水のバリアのような物が解け、ギャラドスがそのまま倒れ込む。

 

 戦闘不能となった。あっさりという言葉で片付けてもいいのかそれとも早苗さんが本気を最初から最後まで出さなかったという言い方の方が正しいのか。ギャラドスを戻した早苗さんが…

 

「お見事です。まさか3タテされるとは。ファイナルまで上がって来たチャレンジャーの実力。この身でしっかりと体験させていただきました」

 

「早苗さん」

 

「何でしょう?」

 

「…失礼な事を言いますが本気でやりましたか?3体とも本来ならかなり強いポケモンだと思います。戦術も表情も…何か不気味だったというか…」

 

「私がもっと実力を出せたと?…どうでしょうか。試すように見えたのならそうかもしれないですし、本気を出した戦いをしていないのならそうかもしれないですね」

 

 早苗さんは私の問いかけに関して笑みを浮かべながらそう呟いた。上手く問いかけをかわされたというべきか。本当に何を考えてどういう意図でバトルしようと言って来たのか全く分からない。私の考えすぎだろうか?誰にもこんな態度なら考え過ぎかもしれないが…

 

「私はアナタのようには強くありません。本気を見せていないように感じたのなら私の無力だと思いますよ」

 

「…そうですか」

 

「私は満足です。いい物を見させて頂きました。諏訪子様が期待したアナタの実力、後はスタジアムにて見物させて貰おうかと思います。それでは」

 

 早苗さんはそう言ってギャラドスを戻し頭を下げるとその場を後にして行く。何だろう勝ったのに何だかやり切れないような気持ちは。勝って嬉しいはずなのに考え込むだなんて私はなんて失礼な事を考えているのだろうか。

 

「何かスッキリしない…とりあえずポケモンセンターによろう…」

 

「ブィ!」

 

「うん…とりあえずイーブィを回復させなきゃだからね」

 

 気分良さげに笑みを浮かべるイーブィに対して私は笑みを浮かべながら呟き返すと一旦イーブィをボールに戻し、その場を後にして行く。この後この考え込んでいた事が私の中から消えていたのだが、この早苗さんとのバトルをきっかけにとんでもない事が起きようとしている事はまだ私は知らない…




見てくださりありがとうございます。
長過ぎてもアレなんで1話で終わらせました。次回からファイナルに入ります。
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