ファイナルの開催が霊夢さんによって宣言され多くのファンが湧き立つ中、私やジムリーダー達も登場場所を変えるために9人同じところにいたのが見事に5人と4人に分かれた。魔理沙さんはシード。トップジムリーダーである特権なのだろうか。
TVで行われているメディスンさんと輝夜さんとの試合に目を凝らす中、私の隣に美鈴さんが腰掛けて来た。
「隣、失礼しますよチャレンジャー」
「美鈴さん…」
「何を考えていたかは分かりませんが…そんなに緊張し切った状態だと足元を掬われますよ」
「もちろん試合になればしていた緊張はある程度解けるかと思います。でも相手が…」
「慧音さんですね。あの人に散々お世話になったと聞いています。然しお世話になったアナタしか出来ない彼女との戦い方もある筈。胸を張ってください」
美鈴さんは私の当たった最初のジムリーダー。慧音さんともよく話すらしくちょくちょく私やメリーの話は聞いていたらしい。軽く笑みを浮かべながら美鈴さんは私の背中を軽く叩くとTVの方を見つめながら…
「勝負以外だと甘いくらいに優しい彼女ですけど、勝負になると相手の緊張を逆手に取ってくるくらいの戦法を取ってきます。試合になればじゃなくて今のうちに緊張は解いておいてください」
「美鈴さん…」
「あの人には散々突かれましたから。その度に「勝負では甘さは肝心だぞ」って言われたので。次の試合ですよね、これ以上集中力を解くのも失礼なのでここまでにしときます。頑張ってくださいね」
「…はい」
美鈴さんは私の隣から立ち上がるとそのまま離れていく。TVでは輝夜さんとメディスンさんとの試合がそろそろ終わりそうな気配。拳をグッと握りしめ気を引き締め直すと椅子から立ち上がる。片手に持っていたモンスターボールをしまい大きく一息吐いたその時。
受付方面にいたスタッフさんが私の方に近づき…
「宇佐見選手。準備ができましたのでバトルコートにへとお願い致します」
「分かりました」
当然バトルコートに出向く私に激励など飛んでこない。ここにいる全員がライバルだからだ。スタッフさんに案内される形でバトルコートの通路に入る中、通路内で先程自分がいた通路からバトルコートに出向いた輝夜さんと再会。
輝夜さんは私に手を振りながらその足を止めると…
「霊矢の件ではお世話になりました」
「まさか。アナタが対処してくれなければある程度は私も対応出来ていなかったわよ」
「…勝敗は?」
「私の勝ち。これで十分かしら?」
「…十分過ぎます」
時間の都合上交わした言葉は本当に数少ない感じだったが、次は輝夜さん。それだけは理解した。気合いを一段と入れ直す中、歓声が聞こえてきた所でスタッフさんが足を止める。今だけは感謝は捨てる。ゆっくりと足音を立てながら通路から私はバトルコートにへと出た。
「お待たせいたしました1回戦第2戦!左から入場してきたのはここまで無敗のチャレンジャー!宇佐見蓮子選手!」
「対する右からはノーマルタイプの使い手!人里での評価は最大級!人格者上白沢慧音!」
この胸のモヤモヤは緊張ではなく高鳴りだろうか。慧音さんの本気と戦うというのは私の中で一つの目標だった。実況の人格者という言葉が最もハマる人物だと私は思う。感謝は捨てた、今はするのは勝利という恩返しだ。
中央にて向き合った私と慧音さん。慧音さんは私を見ながら…
「無駄に意識してるんじゃないかと思ったが安心したよ。その表情はすぐにでも私を呑み込んでしまいそうだ」
「私の中で本気のアナタと戦うのは憧れでもあったんです。だから緊張で手を抜くなんて行為は一切しない」
「フッ…強くなったな蓮子。私の出せる全てを出し切る事を誓う。だからお前も全力で来い」
「…はい!」
私と慧音さん。そう言葉を交わすとお互いに距離を置く。大歓声で地面が揺れているような感覚がありつつも心は氷のように冷静だった。スッとモンスターボールを前にやりながら目を瞑る。深く…深く深呼吸をしながら目を力強く開ける。
私と慧音さんがモンスターボールを出したその時に開始のゴングが鳴り響くと…
「行くよバイウールー!」
「任せたウッウ!」
勢いよくフィールドに飛び出してきたのはバイウールーとウッウ。大歓声が集中し切っている中でも聞こえてくる中で私の中を満たす心臓の音。自らが昂り過ぎないようにちょくちょく息を吐きながら慧音さんの方を見つめると…
「ついばむ!」
「でんじは!」
「でんじは!?だったらドリルくちばし!」
大きく羽を羽ばたかせながらウッウはバイウールーの方に向かっていくと滑空しながら身体を大きく回転する。ドリルのように回転しながらバイウールーに接近するが電気はかき消せずまひ状態に。然しドリルくちばしは命中。押し出すようにしてバイウールーを吹き飛ばす。
「さすがに無理か!」
「機転はさすがだな…然しそのまひは中々に堪えるだろう!バイウールー、すてみタックル!」
「なみのりッ!」
バイウールーが足元を強く蹴り出し一気に加速していく中、私はウッウになみのりを指示。だがまひ状態であるが故か行動に移せず、地面に着陸してしまう始末。バイウールーのタックルをまともに喰らい吹き飛ばされ、私の前まで吹き飛ばされるが慧音さんは畳み掛ける。
「しねんのずつき!」
「こうそくいどう!」
「蓮子選手、ここは素早さを戻す作戦できました!」
バイウールーが頭に溜め込んだ念をそのままウッウにぶつけてこようとするが、今回は動くのに成功し空中に飛ぶ事でバイウールーのずつきを回避。ウッウがまた動くのを祈りつつ私はさらに指示を出す。
「こうそくいどうでついばむ!」
「こらえろバイウールー!」
堪える体勢に入ったバイウールーに対してウッウは高速移動をしながら急落下。バイウールーにくちばしを当てるが地面にヒビが入っただけで大ダメージには至らず。くちばしの先でバイウールーがウッウを見据える。
「しねんのずつき!」
「ウッウ、離れて!」
2倍されているスピードでどうにかバイウールーから離れようとするがまひがここでも響いてしまい、ウッウは動けない状態に。念を纏いながらバイウールーはウッウに突進を食らわし吹き飛ばす。ダメージ以上に響くまひ。劣勢と見た私はボールを出し…
「ウッウ、お疲れ様。後は任せて」
「おっとここで蓮子選手、交代の選択肢を取ってきました!さあ誰が出てくるか!」
「行くよルカリオ!」
「なるほどな。でんじはを持っているなら早く仕留めた方がいいよな。判断は間違っていないな」
私はウッウを戻すとルカリオをフィールドに。バイウールーがでんじはを持っている以上下手には出られない。やるなら一気に片付けないとこちらが一気に不利に持ってかれるだけだ。
「さあ来い!お前の目論見を粉砕してやる!」
「はどうだん!」
「こらえる!」
ルカリオが両手で波動を溜め込み一気にバイウールーに向かって放出。そのままバイウールーに直撃させるが既に堪える体勢に入っていたバイウールーはこの一撃を持ち堪える。
「バイウールー耐えたッ!さあどうする!」
「バレットパンチ!」
「でんじは!」
ルカリオが足元の地面を蹴り出し少しフラフラのバイウールーに接近していく。バイウールーが再びでんじはを放とうとしたその時。ルカリオの拳がバイウールーに1発命中してから数発一気に命中し、そのまま慧音さんの前までバイウールーは吹き飛ぶ。
「バイウールー!」
「バイウールー、戦闘不能!ルカリオの勝ち!」
「奇術にサイクルで対応した蓮子選手!まずは初戦を取る!」
「さすがだな…本当に強くなっているよ…!」
歓声がニヤリと笑った慧音さんの声までかき消す。私が息を大きく吐く中、2体目のケンホロウを慧音さんは出すのだった…
見てくださりありがとうございます。閑話が少し長かったですけど何とかバトルに入れました。初戦の更新頑張ります。