まあ今回は閑話回になるかな?とりあえずお楽しみください。
私と輝夜さんの一戦が終わり、私と輝夜さんが元いた控え室に戻ったタイミング。敗戦が決まりそのスタジアムから足を払おうとしている輝夜さんに近づく1人の女性。輝夜さんは更衣室で着替えるのを中断し女性の方に視線を向ける。
「高みの労いのつもり?魔理沙」
輝夜さんがため息を吐いた後に睨み付けるようにして言葉を呟いた対象。それは真顔で輝夜さんを見つめていた魔理沙さんだった。一足早くに決勝進出を決めた私を見て拳を握りしめていた魔理沙さん。睨みつけて来た輝夜さんに対して何か思ったかのように一息吐き…
「蓮子は余裕を残しての勝利だった。ドラパルトなんて顔も出さなかったんだぞ?」
「手を抜いたっての?…まさか。完全な実力負けよ。向こうのサイクル戦の仕掛け方も博打の掛け方も上手かった。ジムチャレンジの時とは別人になっていた」
「悔しくないのか。お前は」
「悔しいに決まっているじゃない。ようやくあの霊夢に挑むチャンスが来たというのに。それが1人の挑戦者に潰された。…あの子の実力はアナタも垣間見ている筈よ」
敗戦した輝夜さんよりも感情をむき出しにしている方は魔理沙さんだった。誰だって負けたら悔しいと感じる、それは当然の事だ。私が輝夜さんに余裕を見せた風に見えたのが魔理沙さんにとっては気に食わないらしく、それでも敗戦しても感情を露わにしない彼女に対し…
「アイツは運や博打にしか頼っていない。それでは霊夢には勝てない」
「…どうかしらね。霊夢もあの子も似たような戦法よ」
「何だと?」
「分からないなら決勝に行って確かめてみなさいよ。アリスも勢いで勝てるような人物じゃないけどね」
「…上等だ。お前の言葉が本当がどうか確かめて来てやる」
私の勝ち方が気に入らないという魔理沙さんに対してジムチャレンジの時とは別人と話した輝夜さん。そんな輝夜さんの言葉を聞き魔理沙さんは拳をグッと握りしめると、輝夜さんに背を向けそのまま更衣室を立ち去る。そんな背中を見送りため息を吐いたのは輝夜さん。
そんなやり取りが行われている事を当然私は知る由もなく控え室にてやって来ていたメリー、魔美、霊矢の3人と言葉を交わしていた。
「魔理沙さんが真剣になってる?」
「うん…元々バトルには本当に真剣だからさ。慧音さんの話だと蓮子のバトルスタイルが気に入らないらしい」
「私の?」
「運や博打にしか頼っていない所が気に食わないとの事らしいです。…まあアナタの事ですしそんな事ないのは分かっていますが」
「魔理沙さん…」
「決して油断しちゃダメ…ってしてないか。さっきもあんなに焦りを溜め込んでやっていたもんね」
メリーには何を思っているのか筒抜けらしい。そして私が苦笑いを浮かべるとその場に少し笑い声が溢れる。余裕そうに戦っている風に見えてしまっているのだろうか。TVに映り込んだ魔理沙さんを見た後に拳を握りしめた私を見て霊矢が…
「はあ…見てられませんね」
「霊矢?」
「そんな言い掛かりが出てくるなら実際に戦って思い知らせばいいだけでしょう。それが許される舞台なんですから」
「勝負なんだから相手を気遣う必要はない。ここに来てまで気を遣った事があった?」
「…ないね」
一瞬迷った心を霊矢と魔美の言葉が引き戻してくれた気分だ。2人の言う事は間違ってはいない。その言葉で笑みを浮かべた私。そしてTVに映っている魔理沙さんは何かに取り憑かれたかのようにアリスさんを圧倒して行く。その目は一歩間違えれば相手を殺してしまいそうだ。
ポケモンバトルだからそれがないとはいえあまりに必死になっている姿を不安そうに見つめるのは魔美。当然だ。養子とはいえ魔理沙さんは彼女にとっては憧れの存在。それがバトルとはいえ感情に身を任せたようなやり方…見てられないと思う。
「今の魔理沙さん…とんでもなく強いと思う。大丈夫?」
「大丈夫じゃないなんて言ったら絶対圧倒されると思う。だから大丈夫。感情に任せてる分、付け入る隙はある筈」
「ホント…?」
「ホント。ただ私も真剣な魔理沙さんと当たるのは初めてだから全て予想でしか語れない。初手ダイマックスとかの手を取られたらその場その場で何とかするよ」
「…蓮子さん」
霊矢に名前を呼ばれふと画面を見つめるとそこには試合終了のゴングが鳴り響いていた。エースジュラルドンのまさかの6タテ劇。観客も呆気に取られたようなそんな風に静まり返っている。覚悟を決め直す。そして大きく息を吐く。そんな風にスイッチを入れ直していると…
「失礼します。蓮子選手。決勝のカードが決まりましたのでバトルフィールドを整備致しましたらすぐお呼び出来ると思います」
「分かりました。ありがとうございます」
「6タテとは…さすがチャンピオンの次と呼ばれた人です。本気を出せばこんな物という事ですか」
「……」
話でしか聞いた事がないが魔理沙さんは霊夢さんにライバルと呼ばれている存在だ。だからこそ実力は一級品。私に見せた実力なんて4割程度かもしれない。でも負ける訳には行かない。スッと表情を引き締めて待っていると…
再びスタッフさんが私の元に。
「再度失礼します。蓮子選手バトルフィールドへ」
「分かりました。行ってくる」
「武運を祈るよ蓮子」
ライバル達に送り出され私はそのままスタッフさんに連れられる形で通路へ。観客の声が聞こえてくる中で通路に足を踏み入れた私を待っていたのはアリスさん。目を擦っていたがすぐに私の方に振り向くと…
「ああ…もうそんな時間?申し訳なかったわね」
「アリスさん…」
「ちょっとショック過ぎてね。私のやって来た努力は何だったんだろうって。武運を祈ってるわ。アナタなら魔理沙にも抗える筈」
「…勝ちます」
「それくらい強気じゃないとね」
去っていくアリスさん。そのアリスさんの言葉に再度息を吐き直し顔を少し強く叩く。睨みつけたような眼差しで前方を見つめると再びバトルコートに向かって歩いていく。時刻はあっという間に夜。一度も席を離れない観客達は本当に凄いと思う。
「お待たせ致しました。ファイナルトーナメント決勝!チャンピオン霊夢に挑むのは果たしてどちらでしょうか!まずは左側!その戦い方はもはや王者の風格!最強のチャレンジャー蓮子選手!」
「対するは先程たった6分で終わらせたチャンピオンのライバル!既に対戦相手の蓮子選手を敵視しております!霧雨魔理沙選手!」
私と魔理沙さんのコールを聞きスタジアム中から大歓声が上がる。魔理沙さんの目からは既に圧しか感じない。気を抜けば本当に圧倒されてしまいそうだ。その無意識のうちの緊張からの心臓の鼓動が早くなる。それを抑える為に小さく息を吐いた。
お互いに中央で足を止める。
「よお」
「どうもです」
「お前と話す言葉はない。さっさとやろうぜ。どちらが強いか思い知らせてやる」
「私も負けませんから」
少ない言葉しか交わす事はなかった。それだけ既にバトルの中に入り切っている。魔理沙さんの言葉に少しだけ私は反論してそのまま魔理沙さんから距離を取って行く。今にでも始まってしまいそうな感じの為審判が間に入る。
「用意はよろしいでしょうか!」
「…いつでも!」
「それではポケモンを出してください!」
「行くぞジャラランガ!」
「行くよドラパルト!」
魔理沙さんはジャラランガ、そして私の前にはドラパルト。奇遇にもドラゴン対決。そして伝説のポケモン以外では最大の能力を持つポケモン同士のぶつかり合いだ。ジャラランガが声を張り上げドラパルトは私の方を見つめる。
私は笑みを浮かべてドラパルトと共にジャラランガを見据えるのだった…
見てくださりありがとうございます。
とりあえず次から決勝戦、魔理沙戦となります。
次もお楽しみください。では。