「2人とも気合い入れているわね!精一杯の力を見せて、空を動かしてみなさい!!」
言われるがまま、メリーと向かい合い距離を取ったのはいいものの、本当にこれがダイマックスバンドを手に入れる足がかりになるのだろうか?微かな疑問と共に不安が混じりつつ、私はため息を吐いていたが先程元気良く返事したメリーは冷静に一息吐いていた。グッと拳にモンスターボールを握りしめ、メリーは私の方を見つめ、一言呟く。
「蓮子!今度は勝ちに行くからね!!蓮子も全力で来てよ!!」
「う、うん…!!」
理由はどうであれ、その目には闘志が宿っている。…本気である事は見れば分かる。チャンピオンである霊夢さんが縁側から見守っているんだ、無様な戦いぶりを見せる事は出来ない。私も気を引き締め、モンスターボールを握りしめると軽く一息吐く。少しばかりの静寂がピリピリとした緊張感を物語り、メリーは若干ニヤリと笑いながら「行くよ!!」と声を張り上げた。
「行っておいで…ウールー!!」
メリーが出して来たのは私が見た事のない羊のようなポケモン。その愛くるしい見た目に一瞬目を奪われそうになったが、すぐに気を引き締め直すとこっちも…とばかりにロコンを繰り出す。ロコンを繰り出した私をメリーは若干嬉しそうに見つめ…
「新しいポケモンを捕まえたんだね?という事は少しは成長してる筈…!!」
「そちらこそ…!!一瞬驚いたけど…今度は勝つ!!行くよロコン!!」
ロコンにとってはこれがトレーナーに指示を受ける形での初陣となる。互いにポケモンを見せあった後に私はロコンの返事をする声を聞き、そのまま声を張り上げて指示を出す。
「ロコン!でんこうせっか!!」
「ウールー!!まるくなる!!」
ロコンは足元を砂煙を散らしながら強く蹴り出すと、あっという間にウールーの前に迫り行く。一方のウールーはメリーの指示により身を固めると、ロコンのでんこうせっかをまともに受ける。だが吹き飛ぶ様子などは全くなく、すぐに声を張り上げるとロコンが近くにいるのをいい事に…
「ウールー!!たいあたりっ!!」
メリーの指示を受けたウールーが自らの体を転がし、ロコンにたいあたりをかましてくる。私はロコンに回避の指示を出そうとしたが間に合わず、ウールーのたいあたりを直撃。そのまま私の前まで吹き飛んできたが、私がここでとある事を閃く。ロコンにはこの技がある…だったら今度は自分が使う…!!
「ロコン…かなしばりっ!!」
かなしばり。3分ではあるが相手の技を封じる技。ロコンの目が赤く光ると、ウールーは何かしらの違和感を覚える。かなしばりの技を見たことがなかったメリーは疑問の表情を浮かべるが、ウールーの違和感に気づき…
「まさか…技を…!?」
「その通りだよ…!!たいあたりを封じたって訳…!!さて行くよ!!ロコン、ひのこ!!」
ウールーの様子を見ればでんこうせっかが全く効いている様子には見えなかった。だったら方向転換。ウールーがたいあたりを使えないのを機に、物理技ではないひのこを指示に出す。ロコンの口から吐かれた火がウールーに向かって行き…
「ウールー!!まねっこ!!」
「まねっこ…!?」
ロコンのひのこが回避の指示を出さなかった事によりウールーに命中したが、その後にウールーは少し痛みを感じているそうなそんな仕草を見せながら、まねっこの技からなのか分からないが、ひのこを吐いてきた。驚いた私は何も指示を出さずにロコンはひのこを食らったが、効果いまいちの技、大して食らってない。
「(見たところ羊だけど…ひのこを…いや待て…メリーが今、まねっこって…)」
ウールーがひのこを吐いて来た事に驚きを隠せない私だったが、すぐに気を引き締め直すとまねっこの対象になるであろうひのこは避け、少し様子を見てみる事にした。
「ロコン…しっぽをふる!!」
「ウールー!なきごえ!!」
ロコンはしっぽを振り、ウールーは声を上げる。互いに少し震えているのが、見て分かるがこちらも攻撃力を下げられた分、相手の防御も下がったという事。つまりイーブンだ。たいあたりを封じられている分、ウールーは何も攻撃技を持っていない。だったらでんこうせっかで攻めていけば…
「ロコン!!でんこうせっか!!」
ロコンが再びウールーに迫り行き、その距離が間近に迫ったその時だった。メリーが微かながらもニヤリと笑い…
「ウールー!!まねっこ!!」
「嘘っ…!?」
ウールーに当然、ロコンのでんこうせっかは命中するが防御力を下げられても尚、ダメージが入っている風には見えない。問題はここからだ、メリーの指示を受けたウールーが今まで見せて来なかった俊敏な動きで、ロコンに迫るとそのまま思い切りぶつかって来る。こちらは防御力は下げられてはなかったが、それでもロコンは再び吹き飛ぶ。なんなんだこの技は…!?
「(どちらかが最近行った技をまねをするまねっこ…少し茶髪の子はその原理を掴めてなくて混乱しているみたいね…)」
縁側から見ている霊夢さんの視線が突き刺さるが、まねっこはどうであれロコンとウールー。どちらの反応を見ても押しているのはこちらの方。だったらこのまま押し切る…!!
「ロコン…ひのこ!!」
「ウールー、たいあたり!!」
もう3分も過ぎたか…!!ウールーが転がってくるのを見て、私は驚いたがロコンはそんな私をサポートするかのように指示通り、ウールーに向かってひのこを撃ち込む。ウールーにひのこは命中し、たいあたりが命中する事なくその動きがピタリと止まる。私が息を呑んだその時、ウールーの体が左の方にへと倒れていき、そのまま戦闘不能となった。
でんこうせっかは大して食らっているような仕草をウールーは見せていなかっただけに、ひのこを食らった時の過剰な反応は何だったのだろう。そんな事を疑問に思いながら、ロコンに気を抜かないように一言だけ告げると…
「理想は2人が同時に出す感じだったけど…!!行っておいで…ピカチュウ!!」
メリーが出して来たのは2体目のピカチュウ。ピカチュウを早々に出してきたという事は、これがラストという見立てをしても大丈夫そうだ。だがピカチュウはイーブィが苦しめられた程の難敵。気を引き締めて行かないと…
「ふう…間に合った…あれ?ポケモン勝負させてるんだ?」
私とメリーがポケモンバトルをしている頃、私達が集中している時間帯ににとりさんが到着。縁側に座っている霊夢さんの元に近づいていく。走っていたのか、息を切らしているにとりさんを見て霊夢さんはニヤリと笑みを浮かべながら呟く。
「にとり。見てなよ。二人共、ポケモン勝負の資質があると思うから」
「へぇ…霊夢が人を褒めるだなんて珍しい事もあるもんだねぇ?」
にとりさんが丁度霊夢さんの近くに腰掛けた時、そこから少しだけ時間を巻き戻し、視点を私達の方にへと戻す。私が思っていた通り、イーブィが苦しめられたピカチュウはやはり難敵で…
「ピカチュウ!!でんこうせっか!!」
「だったらこっちも…でんこうせっか!!」
ピカチュウの方が素早いのか、ロコンが動き出す前にピカチュウが近くに迫って来ると、そのままぶつかられ、ロコンは吹き飛ぶ。だがすぐに体勢を立て直すと、一気にピカチュウに迫り、かわしてくる前にでんこうせっかを喰らわせる。だがこちらはウールーのなきごえにより攻撃力が下げられている状態、あまり効いている筈もなく…
「効いてないよ…蓮子!!」
「っ!!」
余裕そうなピカチュウとメリーを見て、私は思わず息を呑んだ…
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