インフィニット・ストラトス ~~   作:ぬっく~

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プロローグ

何処かの倉庫で、彼は一人の少女に抱き締められていた。

 

「もう、大丈夫だから……」

 

彼女は彼の幼馴染だった。

彼は姉が出場する大会の妨害の為に誘拐され、何処かの倉庫に監禁されていたのだが、そこにいるはずのない幼馴染が助けに来たのだ。

そして、

 

「今……全てを終わらせてあげる」

 

彼女がこの倉庫に入る為に出した音に気が付かれ、外からぞろぞろと武装した人達が押し掛けてきた。

だが、彼女は恐怖に怯えるどころか、平然としている。

一枚のカードを取り出し、

 

「Ride The Vanguard」

 

彼女の身体が炎に包まれ、その姿を紅蓮の竜へと変える。

 

「Dragonic Overload!!」

 

 

 

 

私が転生者として自覚したのは、7つの時だった。

父はトレーニングカードゲームの制作会社の社員だった。そして、今回新規のゲーム提案を考えるのだが、全く進んでいなかったのだ。

確かに、ゲームを一から作るのは結構難しい。

タイトル、コンセプト、ルールなどが必要なのだから。

そんな時だった。

小さかった私の頭の中に、誰かの記憶が流れ込んで来たのだ。

そして、それが私の過去の記憶であると。

 

「ねえ、お父様」

 

「ああ、すまない。今、私は忙しいから後にしてくれ」

 

「うんん。違うの。その企画、私にやらせて」

 

娘のその言葉に父は呆然とする。

普通であればそのまま切り捨てても良かった。しかし、締め切りまでもう時間がなかった。

どうせ失敗するなら、賭けてみるのも悪くないと、何処かで思ってしまったのだ。

父は娘を膝に乗せ、娘の言葉に言われるままにPCに打ち込む。

 

「タイトルは……?」

 

「Vanguard」

 

「ヴァンガード?」

 

何処でそんな言葉を覚えたのか疑問に思うが、今更どうでも良く。

 

「先導者」

 

そして、この世界に『ヴァンガード』と呼ばれるカードゲームが生まれたのだ。

のちに、このカードゲームは世界中レベルで大ヒットした。

しかし、このカードゲームを作ったのが当時7歳の少女であることは、父以外誰一人として知らない。

 

 

 

 

「なによ、また喧嘩なんかしたの」

 

「文句あるでもあるのかよ」

 

「千冬さんに、おこられるからだよ」

 

傷の手当をしながら私は溜息をつく。

私の目の前にいる彼は、織斑一夏。

この世界の主人公と呼ばれる存在だ。

 

「余計なお世話だ」

 

クラスメイトの篠ノ之箒が虐められていたらしく、それに割って入ってそのまま乱闘になったらしい。

 

「はい。これで終わりよ」

 

「おう、ありがとうな」

 

乱闘と言っても、子供同士の喧嘩だからそれ程大きな怪我はしていない、掠り傷程度である。

 

「なあ、今日千冬姉が帰りが遅いから、そっちに行っていいか?」

 

「あ~。そう言えばもうじき始まるんだっけ? モンドグロッソが」

 

この世界は『インフィニット・ストラトス』と呼ばれる小説なのだが、私はタイトルと少しの内容を知っている。だが、この先で何が起こるのかは殆ど知らない。

そんで、この世界には『IS』と呼ばれるパワードスーツによる世界競技が行われていた。

目の前の彼、織斑一夏の姉である織斑千冬は中学生で日本代表として選ばれ、家に帰ってくるのが偶になっていたのだ。

 

「別にいいわよ」

 

一夏がうちの家に来ることは度々あるし、親も認可済みでもある。

 

「じゃあ、後で一緒にファイトしようぜ」

 

「それが、目的でしょ」

 

一夏は私の家がカードゲーム制作会社であることは知っている。

そんな時に私が開発したカードゲームを一緒にやったのだ。

 

「今回こそ、絶対に負けねからな」

 

「はいはい」

 

成績は6割私が勝ち越している。

まあ、無改造の構築済みデッキだからね、これぐらいがいいのさ。

そう思いながら、私たちは放課後を迎える。

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