「準備はできたようだね」
「おう。で、どうやって始めるんだ?」
私たちはニューロリンカーで電脳空間にダイブしている。
最初にされたのは、デッキの作成。そして、それが終わったのでファイトを始めるのだが、ファイトテーブルが何処にもないのだ。
「それが、このゲームの醍醐味なのよ。私に続けて頂戴。スタンドアップ、ザ、ヴァンガード!!」
「お、おう。スタンドアップ! ヴァンガード!!」
私たちの足元が光だし姿が変わる。
「ライド。《リザードランナー アンドゥ―》」
私の姿がクレイのユニットの姿に変わった。
一夏も同じくクレイのユニットの姿に変わる。
「おっと!? な、何だこれは!?」
一夏が《ばーくがる》にライドして、その感覚に驚いていた。
「私たちはクレイのユニットと一体化して戦うのよ、一夏。ライド! 《サーベル・ドラゴニュート》」
私の姿がまた変わって、一夏はどの様に進めるのか分かったようだ。
「ライド! 《竪琴の騎士 トリスタン》」
「仲間を呼ぶ方法は知っているよね?」
「おう。コール! 《プラック・エンチャンター》」
「そうそう。アタックは―――」
「その説明は大丈夫だぜ。支援を頼む!」
一夏の後ろにいる《プラック・エンチャンター》が頷く。
「はぁあああ!!」
「くっ!」
私は一夏からの攻撃をその身で受ける。
「《ドラゴンフルアーマード・バスター》にライド! スキル発動!!」
紅い鎧を纏った私の背後に炎が現れると、ドラゴンの影が映る。
「コール! 《ドラゴンナイト ネハーレン》《希望の火 エルモ》」
《ネハーレン》のスキルが発動し、《エンチャンター》が退却する。
そして、一夏は私の攻撃を全てその身で受けた。
「行くぜ!!」
「来い!」
「立ち上がれ、俺の分身!! ライド! 《ブラスター・ブレード》!!」
一夏の切り札が現れる。
「コール!! 皆、行くぞ!!」
それに答えるように、一夏が呼び出したユニットたちが一斉に向かって来る。
「《ドラゴンモンク ゲンジョウ》!!」
僧侶が現れ、私を守るが、《ブラスター・ブレード》の一撃はその身で受ける。
「焼き尽くせ、黙示録の炎。ライド! 《ドラゴニック・オーバーロード》!」
私も切り札にライドする。
一夏も《ドラゴニック・オーバーロード》をまじかでその姿を見て、感じ、そして、わくわくが止まらなかった。
◇
一夏の就任パーティーが始まってから少し経った頃だった。
少し離れた席で一夏と愛華が一緒に座っているところを見つかってしまう。
お互いに目を瞑っており、最初は寝ているのかと、箒が無理矢理起こそうとするが。
「ダメダメ! 起こしちゃ、ダメなの!」
布仏本音が止めるに入った。
「何をする!」
「オリム―たち、今電脳世界に入っているんだよ。無理矢理起こしちゃダメなんだよ!」
本音の指摘を箒は無視し、再び一夏に手をかけようとするが、本音がそれを阻止する。
その騒ぎにクラスメイトたちが集まり始め。
「あれ? 織斑くんたち、ニューロリンカーを使っているんだ」
一夏たちの首に嵌められたニューロリンカーを見て、騒ぎの原因が判明する。
「織斑くんたち、何をやっているんだろう?」
「電脳世界で二人きりって」
「嘘! それって」
何やら、余計に騒ぎが大きくなる。
「織斑くんたちが、何をやっているのか見たくない?」
「うんうん。ちょっと見たいかも」
「誰か、調べられる人いない?」
「はい! はいはい!! 私、できます」
一人の生徒が愛華のニューロリンカーの接続端子にケーブル接続させ、それを食堂のモニターに繋ぐ。
そして、そこに映しだされたのは―――紅のドラゴンと白い騎士が戦っている所だった。
『俺に力を、気高き誇りの白き翼! ライド! 《孤高の騎士 ガンスロッド》!!』
白い騎士が天馬に跨る騎士へと姿を変えたのだ。
『終わりなき探求の果てに、たどり着きし最終進化。荒ぶる魂を昇華させ、今こそ真の姿を現せ! クロスライド! 《ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド》!!』
紅のドラゴンもさらに進化するかのように姿を変える。
「この声って、織斑くんと神崎さんだよね?」
二人の戦いの会話で、ドラゴンは神崎愛華で、騎士が織斑一夏だと分かる。
戦いはヒートアップし、お互いに譲らない。
「これって、ヴァンガードじゃない?」
「うん。あの姿何処かで見たことがあると思ったけど、ヴァンガードだよね」
CMや広告で一度は誰でも見たことのある姿に、皆がこれが何なのかが分かる。
一夏たちが今やっているのがヴァンガードと呼ばれるゲームだと。
『《ジ・エンド》は終わらない!』
『《イゾルデ》で完全ガード!!』
愛華の攻撃を防がれる。
そして、激しい攻防の終焉が訪れた。
『あの日手にした小さな光はこんなにも光り輝く! ライド! 《エクスカルペイト・ザ・ブラスター》!!』
光の戦士へと姿を変えた一夏の一撃は愛華の仲間たちを全員吹き飛ばす。
そして、愛華自身はガードし、その身を守ったが。
『来なさい!!』
光の戦士から白い騎士へと姿が変わる。
騎士がドラゴンを切り伏せ、ドラゴンが光の粒子となって消えた。
◇
『私の負けね……』
地面に大の字に倒れる愛華。ファイトが終了すると白い騎士も一夏の姿へと元に戻る。
「よいしょっと。それじゃあ、ログアウトしましょう」
そう言って、私たちは手を縦に振る。
いくつものコマンドが表示され、その一番最後の欄にログアウトと書かれたコマンドを押す。
「う、う~~~ん!」
意識が覚醒し、私は背伸びする。
「「!?」」
私の意識がしっかりした時、その周りにクラスメイトたちが群がっていたいたのだ。
一夏もその光景に正直に驚いていた。
「うお!? 一体何にがあったんだ?」
「ねえねえ!!」
そこからは、質問攻めの嵐だった。
私たちがヴァンガードをやっていたことや、何やら、これやらで対応するので精一杯で、その先のことは正直何も覚えていない。
そして、就任パーティーは終わりを迎える。