放課後。私と一夏は自室でカードを並べていた。
「ドラゴニック・オーバーロードでヴァンガードにアタック」
「堅強の騎士 ルノリアで完全ガード!!」
「ツインドライブ……ゲット、クリティカル。レフトのオーバーロードに乗せるね」
一夏の手札は残り1枚。
つまり、私のレフトにいるオーバーロードの攻撃を防ぐことはできない。
ダメージも5枚溜まっているため、最後の砦であるヒールを引き当てるしかないが、既に2枚見えている。
「オーバーロードでヴァンガードにアタック」
「ダメージチェック……」
一夏はデッキの一番上を捲るが、ヒールではなかった。
「あー、負けたぁ!!」
「結構いい所まで行っていたよ」
私のダメージは5で、ヒールも完全ガードも全て消化済みだったのだ。
もし、一夏にターンが返っていたら、完全に私が負けていた。
「なあ、このデッキを強化することは出来ないのか?」
「……できなくはないけど」
一応、強化用のカードは用意してある。
私は引き出しの中から白い箱と赤い箱を取り出す。
「強化することは、構築の幅だけじゃなく、プレイングも要することになるよ」
「いいぜ。次こそ勝ってみるから」
「言ったわね」
一夏の主人公補正が強すぎて、私もギリギリなのだ。
さらにブースターパックで強化されると、たぶん勝率がさらに下がる。
だから、今まで出さなかったが。
「じゃあ、出来たら言って」
「おう」
私と一夏は、今まで使っていたデッキの強化に入る。
晩御飯など忘れ、何十戦とファイトしてしまった。
◇
あれから数年。
私たちは中学生になった。
主に変わったことは、クラスメイトの箒ちゃんが家庭事情により転校したり、中国からの転校生の鈴が来たぐらいしかない。
あとは、男友達が増えたぐらいかな……。
そうそう、あとは私…… PSYクオリアに目覚めました。
そのお陰なのか一夏との勝負は何とか五分を維持できている。
「あたしのターンね。パーフェクトライザーにライド!!」
「げっ!?」
「イマジナリーギフト アクセルⅡ」
鈴が使っているは、ノヴァグラップラーのパーフェクトライザーデッキ。
旧作より弱体化しているけど、使用者(鈴)のせいでエグいことになっている。
「うぉおおお!! 全てガードだぁ!! ヴァンガードには完全防御!! どうだぁ!!」
「あたしがそんなので止まるわけないじゃない。ツインドライブ、ゲット、ダブルクリティカル!!」
「馬鹿な……」
そう、鈴も一夏同様トリガー率がエグい。
ノーガード、完全防御、三枚抜きにしようが、ダブルクリティカルが飛んでくる。
「あたしの勝ちね♪」
「俺の財布がぁ……」
弾よ、頑張って。
「ウォーミングアップは済んだ事だし……愛華、あたしとファイトよ!!」
「いいよ」
そう言って、私は自分のデッキを取り出す。
神崎愛華。それが私の今の名前である。
「「スタンドアップ」」
「ザ」
「「ヴァンガード!!」」
▶︎
「パーフェクトライザーでアタック!!」
鈴の攻撃を受けて、私のダメージゾーンに5枚目のカードが置かれる。
だが、鈴の場にはもうすでに攻撃できるユニットがない。
「次で仕留めてあげる」
鈴のダメージゾーンはまだ2枚。
そして、手札には完全ガードが2枚ある。
普通であれば私が逆転する可能性は無比に近い。
そう、普通であれば。
「はぁ……。本当なら一夏が来てから見せるつもりでいたのだけど、仕方ないわね」
「なによ。まさか、この盤面を覆すことができるとでも言うの!?」
私は一枚のカードに手をかける。
「終わり無き探求の果てに、辿り着いた最終進化。 荒ぶる魂を昇華させ、今こそ真の姿を現せ! ライド・ザ・マイ・ヴァンガード!!」
私の最終兵器。
「 ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド!!」
その場にいた者たちは、見たことのないカードに驚きを隠しきれなかった。