「愛華ぁあああ!!」
「あら? 鈴ちゃん、目覚めたの」
一夏とのファイトが終わった頃、立ったまま気絶していた鈴がようやく、正気に戻るなり私に付きかかって来る。
「あのユニットは一体何なのよ!!」
あのユニットとは、ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンドのことだろう。
「来月に新しい弾が発売されるのは、知っているわよね?」
「来月というと、『帝国炎撃団』だったよな?」
「そうだよ。そこに収録されている新しい『かげろう』がこれなんだよ」
「まじか!?」
「もちろん、他の『クラン』も用意してあるわよ」
私は部室の片隅に置いてあったアタッシュケースをテーブルの上に置く。
開けると中には、ぎっしりとカードが詰まっていた。
「今回の収録『クラン』は、『かげろう』と『シャドウパラディン』、『リンクジョーカー』の3つね」
開発者特権で私は来月に発売されるカードを手に入れてあるのだ。
と言っても、大会とかでは来月まあで使用することはできないが。
「数馬のデッキが強化が出来るぐらいか……」
中学に上がってから作った部活である『カードファイト部』の部員の一人である御手洗 数馬だ。
使用クランは、『リンクジョーカー』のデリーター軸を使用している。
「今日は数馬のデッキを強化をメインにやるか」
そして、今日の目標が決まった。
◇
「そう言えば、もうじきアレが行われるわよね?」
「ああ、そう言えばそうだったな」
私は一夏ともう一戦しながら、アレの話をしていた。
「今年もうちに来るの?」
「いや、今回は政府から招待状を貰っているぞ」
アレとは、『第2回モンド・グロッソ』のことだ。
前回は一夏の姉である千冬が優勝を決め、世界最強の称号を手に入れた。
そして、今回はその身内である一夏にも招待状が送られてきたのだ。
「へ~、そうなの」
優勝者の身内であるため、その招待状には往復分の航空券に宿泊ホテル代が入っていた。
「というと一夏がいない間、暇だな」
「愛華もその日、いないんだよな?」
「そうね」
その日、私はIS研究所に行かなければならないのだ。
カードゲームだけでは食っていけないのは目に見えていた。
私は年に1回行われるIS適性簡易検査を受け、毎年A+を出していることで、IS研究所からオファーが届くのだ。
そして、それを私は受けることにした。
その日に正式のIS適性を調べるのだ。
「愛華がISの道に進むなんて、以外よね……」
「まあ、A+なんて規格外適性じゃあしょうがないじゃね?」
一応言っておくと、簡易検査で調べられるランクはAまでしか存在しない。
では、何故私がA+かというと―――簡易検査でErrorと表記されたからだ。
しかも何度も調べてもErrorしか表記されないことで、私はA+ということになった。
「ブラスター・ブレードでアタック」
「ダメージチェック。ノートリガーよ」
そして、下校時間まで私たちはヴァンガードを続ける。
◇
一夏がドイツへと旅立って、私はとある山奥に来ていた。
IS研究所がそこにあるのだ。
「お待ちしていました」
研究所職員との挨拶を済ませ、私は早速IS適性を調べる。
もちろん予想通りでSランクであった。
代表候補生の資格を取得する条件もクリアし、後日に正式な書類が送ってくれるそうだ。
「それって、もしかして……」
「ええ。ISのコアですよ」
特殊なクリスタルが台の上で浮かんでおり、私がそれがISのコアであることを一目で気付いた。
その時だった。私の両眼に激痛が走る。
「っ!? ああああああああ!!」
「どうしました!?」
今までに感じたことのない痛みに私は両眼を押さえる。
(PSYクオリアがISコアと共鳴している!?)
どういう理由なのか、突如としてISコアと私がもつPSYクオリアが共鳴し始めたのだ。
(このままでは、私の眼が焼き切れてしまう!)
だが、この現象を止める術を知らない。
『我が名を呼べ』
「へ?」
突如として誰かが話しかけてくる。
『我が名を呼べ。マイ、ヴァンガード』
幻聴でない。確かに聞こえた。
私は―――
「ドラゴニック・オーバーロード!!」
置かれていたISのコアが強い光を発し、研究所はそれに包み込まれた。
その場にいた職員もその輝きに眼を瞑ってしまう。
そして、それが収まると。
「一体何が起きたのだ」
「おい! あれ」
職員が私の方に指をさす。
私の手のひらの上で一枚のカードが回転しながら浮かんでいたのだ。
それを手に取ると。
「嘘でしょ……」
カードが再び輝き、一瞬にして私の身体にISが装着された。
その姿はまさしく、竜だった。赤い竜。ドラゴニック・オーバーロードの姿を模様したISだったのだ。