入学式翌日の朝八時。一年寮にある食堂で私たちは朝食を取っていた。
「とりあえず、座学はボチボチにやるとして、実戦をメインに取り込みたい所なんだけどね……」
私の一番の難解点があったのだ。
IS学園には、勿論のこと生徒にISを貸出している。
しかし、全校生徒に対して圧倒的に数が少なく、申請しても最低でも一週間はかかってしまうのだ。
「んじゃあどうするんだ?」
A定食の鮭を摘まむ、一夏が愛華に問う。
愛華はISを所持しているため、この申請を行う必要がない。
しかし、一夏にはISがないのだ。まあ、倉持技研がISを用意していることを私は知っているが、来るのは試合当日なのでどうしようもないですがね。
「となるとな……。剣道場を借りる他ないかぁ……」
剣道場と言う言葉に一夏の隣に座る幼馴染n篠ノ之箒が反応する。
私が最後に会ったのは、小学五年の頃だった。一夏から貰った白いリボンにポニーテールをした子。目つきもあの時から全く変わっていなかったので、直ぐに気付いた。
「なら、その役目は私がやっても構わないだろう」
「いや、多分、時間の無駄になるから」
「な!? それはどう言う意味だ!!」
箒が自信満々に言うが、私がそれを却下する。
「まず前提条件が違い過ぎるのよ。ISは主に空中戦なのよ。剣道というより剣術の方がいいのよ」
剣道は地面の上での戦いであって、空中での戦いでは剣術の方がいいのだ。
しかも、何でもありの戦いに剣道では分が悪すぎる。
「言わせておけば……私は篠ノ之束の妹なのだぞ」
「それが? あの人はあの人であって、貴女は貴女でしかないのよ。それとも、相手が銃からスタングレネードまで何でも使えるに対して、貴女はそれを卑怯とでも言うのかしら?」
「くっ……」
ISのルール上武器の使用制限は殆どない。
拡張領域に収まれば何でも使ってもいいのだ。
かと言う私のISの拡張領域は一本の剣でいっぱいなんだけどね。
「とりあえず、放課後に剣道場にお邪魔するわ」
少しでも戦えるようにすることが、今私が出来ることだった。
◇
放課後、私たちは剣道場で竹刀を片手に向き合う。
胴着を借りて打ち合うが、一夏は昔やっていた剣道の癖が僅かに残っていた。
対して私は構えから剣道とは程遠く、自由な型で攻め込む。
「くっ!」
上から竹刀を振り下ろし、その遠心力を利用してそのまま振り払いに入る。
連撃に一夏が反応出来ず、そのまま竹刀が胴に入った。
「少し休憩しましょう」
「おう……」
成績は一夏の完敗。まだ一度も私に勝ててないどころか一撃すらいれていないのだ。
まあ、一夏が誘い技に引っ掛かり過ぎて次の手に対応できないのが、主な敗因でもある。
「私の動きを見てて、どう思った?」
「何か……、踊っているような感じだった」
一夏の素直な感想に私は微笑む。
「そう。なら、Shall We Dance?」
竹刀を片手に持ち、一夏に向ける。
それに答えるように、一夏が両手持ちから片手持ちに切り替えた。
「いいぜ」
何度も打ち合い、その日は終了する。
そう言った日々を繰り返し、ついにセシリアとの決闘の日になり、私たちは第三アリーナで一夏のISが搬入されてくるのを待っていた。
一夏に専用機が来ることは、千冬さんから聞かされたのだが、そのISがまだ届いていなかったのだ。
「約束の時間までもうないというのに、まだって……」
「そうだな……」
私たちは、沈黙してしまう。
「あ、いました!」
そこに山田先生が慌ててやってくる。
「来ました。織斑くんの専用機が!」
どうやら、ようやく到着したようだ。
「すぐさま、準備しろ。織斑」
山田先生と一緒にいた千冬さんに言われるままに一夏が、そこにあったISに乗り込む。
「何か問題はある?」
「いや、問題ない」
一夏は言いきる。
「時間が無いから、最適化は試合中にやることになちゃったけど、完了するまで逃げさい。いいわね?」
「わかった」
「よし、行ってきなさい。一夏」
「行ってくるぜ。愛華、箒」
一夏は大空へと飛び立つ。