「いたっ!う~…」
「沁みるかもしれないけど、少し堪えてね?」
「はいぃ…」
消毒液をしみこませた綿をスバルの顔の切り傷に当てながらそんなやり取りをするシャマル。
一方、霊夢となのはは
「すみません…」
「いえ、スバルも少し舞い上がっていた節もありますし…」
「だけど…」
「目が覚めたら知らないところで、おまけにこんなアクシデントに遭遇してしまったんですし、仕方ありませんよ」
「…けど、もう少し、冷静だったら」
謝罪とフォロー、その繰り返しだった。
「…まぁ、それはさておき。とりあえず、この異世界にいるかなんだけど。これ、あまり一般の人に話しちゃいけないんだけど、事が事だし…」
そういうと、ホログラムウインドウを霊夢の眼前に浮き出させ…
「これは…宝石…?」
「見た目はね、けどその正体はロストロギアの一つ、要は古代の危険な兵器やそれに近い遺物の一つ、って考えてくれればいいかな」
「ロストロギア…それと私に何の関係が?」
「…このロストロギアは超高密度のエネルギーの結晶体なの、それにコレには特殊な封印やこれ様のケースに入れないと暴発する、危険な代物なの…」
「エネルギーの結晶体…」
一瞬はそういうものなのかと、レリックが映し出された画面を眺めるがすぐに、その答えが霊夢の中で導き出され、はっとした様子でなのはの方を見て
「まさか、暴発…?」
と、霊夢に想像できる中で最悪のケースを口にした
「ええ、しかも臨海部に位置する工場地域でね。現場は騒然としてたし、私たちも出動命令が出たの」
「火傷や、二次災害による負傷を含めればミッド最大レベルの大事故だったし、私のような医療スタッフも大立ち回りを余儀なくされたし、鎮火したのも昨日にやってようやくだし。でも、爆心地のど真ん中に居た霊夢ちゃんを含めて全員意識は回復してるし、今回は本当についていたわ」
なのはとシャマル互いに当時の状況を思い出したのか疲れ顔で話す。現場に居合わせていなかった人物であろうとその時の凄惨さが思い浮かべられるかのように。
はっと気が付いたように疲れ顔を頭を振って吹き飛ばすかのようにした後、霊夢に顔を改めて向けて。
「兎にも角にも貴女にはこの後、事情聴取になっちゃうんだけど。ごめんね?いきなりこんなところに飛ばされた上にしばらくは事情聴取だなんて。なるべく負担をかけないように担当の人に入っておくからっ」
「い、いえ…。大丈夫ですし、それに」
と、なのはの気遣いを無下に扱うこともできずに、気にしないでほしいという意味を込め大丈夫と言った後…。
「それに、私。あの時何があったかなんて覚えてないですし」
と、呟いた。
なのはとシャマルがその後霊夢の病室から出た後。
スバルと霊夢は二人きりで何も話さず、ただまるで拘束されているかのように、スバルは椅子に、霊夢はベッドの上に座っていた。
「…怖くないのか、私の事」
そんな沈黙を破ったのは霊夢の呟きだった。
「え…?」
霊夢の呟きが一瞬何を言っているのかわからなかったスバルは呆けた様な声を出してしまう。
「怖くないのか、と聞いているんだ。私の事を」
「怖くなんかないですよっ!?さっきの事は私の注意不足が原因でしたし…」
「そうじゃない…」
…と、先ほどはなった攻撃に対しての罪悪感からではないことをスバルに明かし…
「危険な古代兵器のエネルギーの暴発…真正面から受けたら死んでしまうような爆発の中でさえ生きてしまうような、まるで化け物の様な私を怖くないのか?お前は」
と、改めてスバルに問う。
一瞬考えるようにしてスバルは目を閉じ、答えが出たかのように目を開け口を開いた。
「…怖くはないですよ、誰だって時に人から恐ろしく見えてしまう自分の力ってあるとは思うけど、でもそれは使い方を間違ったから。そういう力の使い方をしたからなんじゃないかなって、私は思います」
「…そうか」
スバルのそんな答えを聞いた後、流すかのような口ぶりで霊夢は言う。
「その、霊夢さん…もしかして…」
と、スバルが言いにくい疑問を霊夢に問いかけるかのように口を開けた次の瞬間。
『スバル!緊急出動かかったわ。恐らくレリック絡み!至急六課に戻って!』
と、スバルが首からかけていたデバイスから女性の声がひびく
「ティア!?わ、分かった。すぐ行く!」
―すみませんっ、と霊夢に声をかけ部屋を出ようとする。
が、部屋の出入り口で止まり…
「悪い人じゃ、ないって。私思ってますから」
そう、独り言のようにつぶやくと駆け足で霊夢の病室から出て行った。
その姿を見送り、人影が消えた病室で一人。ベッドに横になった霊夢は
「不思議な奴…」
と、呟いた。
日は西に傾き空を赤く染まった頃。病室で軽くだが事情聴取を受け終えた霊夢はふと、スバルが受けた通信のある言葉に頭の中で引っ掛かりを覚えていた。
「レリック…」
…それがもし私を此処に引き込んだなら、私にとってきっとそれは…幸運をもたらす古代の遺物か、はたまた災禍の渦へ引き込む祟り付きか
そんなことを思いふけっていると。
三回扉を叩く音とともに、失礼しま~す…、とまるで息を殺して入るかのようにおとなしい様子でスバルが戻ってきた。
「なんだ、さっきのような豪快さはどうした?」
皮肉のように霊夢はそう呟きふと気が付く
私はいつの間にこんなにも軽口を叩くほど精神が緩んでいるのだ、と
「あ、いやそのっ!さっきのは事故というか、あははははは…」
と、困ったように頭を掻きながら苦笑いをするスバル。
「さっきの招集。何かあったようだったが…大丈夫か?」
「あ、はい。すみませんさっきは急に飛び出したりして…」
「構わない。それに、私に固い口調で話さなくてもいいんだぞ…?敬うような人間でもないんだし」
「え…」
と、驚くスバルに、霊夢は自分の気を許しているさまを嘲笑するかのようにほほ笑む。
「で、私はいつまでここに居ればいいんだ…?」
「え、えっとそれはね、じゃなくて、それはですね…」
「硬い口調じゃなくていいといったよな…」
「あ、はい。じゃなくてっ!うん。それでね?」
と、霊夢は同級生のように話すスバルの話に耳を傾ける。
今の霊夢が知る由もないがこの時霊夢は恐らくだがはじめて友人というモノを手にしたのだろう。
博麗霊夢とはちがう禍霊夢の…
その後スバルの口から離されたこの後の予定ではミッドチルダに戸籍を移すならしばらくはスバルの所属する機動六課か陸士108部隊という所でこの世界で生活する上の知識。そして、霊夢の中にある魔力の検査、魔法の最低限の運用方法とルール。そして、高レベルの魔法の素質を持つなら機動六課に配属される嘱託の魔導士として生活もできる。との事だった。
無理に籍を移す必要もないと言われたが。元居た世界に興味はないと告げ。霊夢はミッドチルダに籍を移すこととなった。
二日後…
「へぇ~。籍を移すことにしたの?アンタの助けたあの救助者。珍しいわね。普通なら帰りたいっていうのが筋なのに」
「なんでも、元居た世界に興味がない、だって」
「不思議な人もいるもんなのね~…。で、今は魔力測定の最中だっけ?」
と、スバルとその同僚であり一歳年上の友人、ティアナ・ランスターは機動六課の食堂内でランチを楽しみながら話していた。
「多分、魔力値は高いかもね。霊夢、あんな光弾を打てたんだし」
「あ~、アンタが見境なしに突っ込んで受けたっていう?」
「う“っ。それはその、焦り故と言いますか…」
と、ティアナの的を射た言葉にしどろもどろしていると。
「あ!霊夢~!」
と、見知った病衣を着た黒髪の少女が目に止まり。話を逸らすように声をかける。
露骨に話の腰を折られた事に一瞬ムッとしながらティアナも霊夢の方を見る。
「…スバルか。」
「お疲れ、霊夢。食事~…はまだ病院食だから駄目でも、お茶くらいならいい?」
「別に構わんが…そっちの…」
と、霊夢はティアナのことを気遣うかのように言う。
「あ、いえ。構いませんよ。一昨日はスバルがご迷惑をおかけしました」
「ティ、ティア!それを今言う!?」
「言うわよ、そりゃ。同僚の失態なんだし…」
と、呟く様子はスバルには宛ら、厳重忠告する会社の上司の姿にも見えなくはなかった。
「あ、いや。それは、私の気が動転してたのもあるし…」
「仕方ありませんよ、タイミングが悪いのもありましたし…。改めまして、スバルの同僚のティアナ・ランスターです」
「禍霊夢だ、よろしく…」
スバルの友人という事もあったのか、打ち解けた様子でその後は三人で話を続けた。ちょうど今日は午後がオフだったスバル、ティアナの二人にとってはちょうどいい時間つぶしにもなった。
「そういえば霊夢。魔力測定。どうだった?」
「ああ、あれか。確か【CかよくてB】だったそうだ」
そう言いながら簡易検査書と書かれた紙を二人に見せる。
そこにはC~Bと魔力測定の欄には書かれていた。
「「えっ!?」」
と、思わず知らず声を出す二人に、霊夢は何かおかしなことを言ったか?…と考えるしかなかった。
それもそうだCかよくてBは凡人、若しくはそこからほんの少ししか高くないという結果なのだから。
サムスになったわ