まだまだ話は続いていきますので引き続きお楽しみください
キリが悪く、普段の1.5倍以上になってしまった・・・・
<いろは視点>
良かった・・・・・・本当によかったよぉ・・・・
せんぱいが辛い現状に慄きつつも、わたしとの未来を
幸せを願っていた事。
今回の旅行も、これから先も思い出を紡いでいきたいという
行動そのものだったという事
そして結婚費が溜まるまで申し訳ないと思ってる事。
その思い全てがわたしの胸を打ち、涙が止まらなかった
何よりも付き合ってきた絆が確かにあったことが嬉しくて
そしてわたしの中に明確な答えができた。それはー
「お前、なんで泣いて・・・・」
せんぱいがわたしの涙をすする音に気付いて、顔を上げたみたいだった
「せんぱい・・・怖かったんですね。いつまでも同じ思いなんて保証なんてないですもんね。
でもそれ以上に将来の事考えてくれてたんだって、わたしと一緒に幸せになりたいって。
そう思うと、胸がいっぱいになっちゃって、わたしもいずれ結婚出来たらと思ってましたから・・・・」
「!!」
「でもね、でもね話を聞いてせんぱいは、しょいこみ過ぎだと思うんです」
「・・・何が?」
「結婚式・引っ越し・家電、毎月かかる光熱費・家賃でしたっけ?
それらを一括で考えていることです。確かに結婚式の費用は一番かかるものだと思います。
何も一緒に暮らす事=結婚式ではないですよ?
芸能人やアスリートの方々って、入籍して数年後に式をあげるっていうケースもありますよね?
確かに乙女にとって一生に一度の結婚式、ウェディングドレスを着るというのは夢ではあります。
でもそれはわたしにとっては、あくまでも通過点であり、せんぱいと共に幸せであること
それが最優先であり、他に勝るものではないんです」
そうこれがわたしの答え。結局何が障害であれ
わたしの一番は比企谷八幡という何よりも愛おしい人と
共に歩んで幸せになりたいんだということ。それが根底ある限り、
わたしはもう迷うことはないんだ
ということに。
「!!!!」
「ですから、そんなに抱え込まないでください・・・ね?」
せんぱいをそうして見つめていると
「いろは。。。いや一色いろは」
「・・・・・・はい!」
何やら覚悟を決めたかのような面持ちになり、
わたしも自然と背筋が正される思いにさせられた
「俺と・・・・・俺と結婚して下さい」
「・・・・っ!!」
わたしがずっと待ち望んでいた言葉
付き合ってから7年以上も待った言葉
それが耳に届いた瞬間
何も考えず彼の胸に飛びこみ力強く抱きしめていた
「わたしが・・・・わたしがあなたを支え続けますっ・・・!
今回みたいなすれ違いにならないように。わたしたちが幸せでい続けられるように
わたしがせんぱいを支え続けますから・・・っ!
だから、よろしくおねがいします・・!」
わたしは本当に幸せだ。この人が勇気をだしてくれて。
わたしの中にある本当の答えを見出すことが出来て。
そしてわたしを「よろしく頼む、相棒」と
人生のパートナーと読んでくれた事に。
溢れ出る幸せに身を任せながら、
しばらくの間、抱き着いたまま余韻を味わっていました
・・わたしも言わないと、両親に言われたこと。
「・・・・せんぱい。」
「ん?」
「わたしの話・・・聞いてくれます?」
「おう、なんだ?」
「実は・・・・・」
わたしは11月あたりから、両親から7年間も付き合っていて
将来の話をされていないのかという探りを入れられていた事。
せんぱい自身はどう思っているかで急かしたくなかった事。
それを見破られた小町ちゃんに気を使われていた事。
包み隠さず話した。
「だから、わたしもせんぱいの事強く言えないんですよね・・・」
「すまん、いろは。俺は結婚費用で申し訳ない思いでいっぱいで
視野狭窄になっていた」
「もういいんですよ、こうして腹を割って話すことでわたしたちにとって
最適解を導ける道が見出せそうですから」
「って、小町がニヤニヤしてたのって・・・まさか?」
「お察しの通りです。小町ちゃんが気を使ってそれとなく監視してたんです」
「あー納得だわ・・・・」
「でも、小町ちゃん曰く『ほとんど何もしなかった。見守るだけだった』って」
「なんつーか、俺ら小町に一生頭上がらなくないか?」
「本当ですよね・・ふふっ」
2人して苦笑いしつつも、常にわたしたちを見守ってくれていた
キューピットに
(ありがとうね小町ちゃん、ずっと応援してくれて・・・)
「あ、そうだせんぱい。話それましたけど、今度からちゃんとお互い話合いましょう?」
「今回のすれ違いの教訓ってことか」
「そうです!今まで付き合ってきた絆がようやく結実しましたけど
これからずっと一緒に歩んでいくんですから、言うべき事はちゃんと言うべきと思うんです」
「確かに、それを言われると言葉もないんだよな」
「それはこっちもです。親からのプレッシャ-をせんぱいに直ぐに言えずじまいでした。
プロポーズしてくれたから結果オーライでも、これからが長いんですから」
「おまえ、本当すげぇな。今ある幸せよりもう前を見据えてる」
「当たり前です!あなたを支え続けると誓ったんです。
ぶつかり合って理解しあえるって。これまでだって。今回も。
そしてこれからも」
ガシガシとちょっと強めに頭を撫でられる
「ああ、ちょっと、髪のセットが乱れちゃいますよ~
ってせんぱい・・・・?泣いてるんですか・・・?」
「いや、改めて実感してるだけだ・・・」
「何をです?」
「恩師の言葉だ」
「恩師って平塚先生ですか?」
「ああ、俺に本物とは何かを教えてくれた先生だ」
「・・・・!平塚先生だったんですか」
「そう言えば、話したことなかったか」
「是非聞かせてください。どのように教えてくれたのか」
「時期的にあれはいろはが生徒会長になってからのクリスマスイベントだったな。
ビジョン不足で遅々として進まない、形が集約出来ないといった八方塞がりの状態で
相談したんだったな、確か」
「う・・・お恥ずかしい限りで」
「それで考えるべき点を間違えない事を言われたよ。その時、何故傷つけたくないかを
大切なものだから、傷つけたくないと」
「・・・!」
「その当時の対象が奉仕部だったんだけどな。でも突き付けられるように言われたよ
『人間は存在するだけで無自覚に傷つける。生きていても、死んでいても傷つける
関わっても関わらなくても傷つくかもしれない。必要なのは自覚だ』とね」
「・・・・」
「『誰かを大切に思うことはその人を傷つける覚悟をすることだ』と」
「つまり、せんぱいが今回旅行に誘ったのは覚悟をしたってことなんですね。
このまま、結婚費用が溜まるまでプロポーズをしないままでは溝が深まってしまって
更に傷つけてしまうって」
「そうなるな。話にはまだ続きがあって踏ん切りがつかなかった俺にこう言ってくれて
覚悟が出来たんだ。
『今しかできない事、ここにしかないものがある。今だよ』って
『考えてもがき苦しみ、あがいて悩め。そうでなくては本物ではない』と」
「・・・なんていうか、凄いですね・・・・・
先輩が心から恩師と慕う気持ちが分かりました」
「全くだよ、あの人がいなかったらどうなっていたか。
未だに迷い、間違っていたかもしれない。
こうして未来予想図を語り合える事なんてなかったかもしれない」
「わたしもせんぱいに影響されなかったら、偽物や欺瞞ばかりの人生だったかもです」
「・・・いろは。帰って両家の挨拶が済んだら、平塚先生に報告に行こうか」
「そうですね、わたしたちの指針となってくれた人に感謝の言葉を」
「いや喫緊の問題は、両家の挨拶があった」
「私の家もせんぱいの家も仲は良好ですけど?何かありましたっけ?」
「ビジョンだよ。ビジョン。それを考えて提示なしには納得はしないだろ」
「あ、なるほど。せんぱいが抱えててた結婚式費用、それをまず行わないと仮定すれば
その費用は新生活へと回せますね、それで大分楽になる筈です。費用分担割合も
言えばその辺りも話し合いで調整出来ますね」
「っていいのか?式は・・・?」
「言ったじゃないですか?最優先は何かを決めてさえいれば、根底が揺らぐことはないって」
「・・・そうか」
せんぱいから自然な笑みが漏れる。
憑き物が落ちたかのような、柔らかな表情に思わず見惚れてしまう
「その辺りも両家に話して相談しましょう。基本線はこれで。何かしらの形でウェディングドレスを着る事が出来れば構わないって」
「それなら、年賀状用とかにデータを貰うとかもあるんじゃないか?」
「ふむふむ、それで話してみましょう。もっとよい知恵が出るかもしれませんし」
時刻を見ると23時を回っていた。
「せんぱい、もうこんな時間ですよ?」
「明日も6時起きだから、そろそろ寝るか」
「あの・・・今日もいいですか?」
「断っても勝手に入り込むんだろうが」
「えへへ。お邪魔しますね♪」
昨日も暖かかったけど、幸せに包まれてる分今日の方がより暖かいなぁ・・・
布団というのもあるのかもしれないけど
「あ、ごめんな。いろは」
「?何がです?」
「婚約指輪用意してなくて・・・・」
「いいんですよ、これもわたし達らしいじゃないですか
期せずして婚前旅行のようなものになりましたし」
「まさか、この旅でプロポーズになるとは思わなかった」
「わたしも意図を読み切れてなかったんでおあいこです」
「そうだな、話さなくても分かるなんて幻想とはよく言ったもんだな」
「かつてのせんぱいの言葉でしたね。でもお互い腹を割って話せたことで
分かり合える絆が確かに築けていた。わたしはそれが何よりも嬉しいですよ。
それにわたしがこんなにスキンシップしちゃったのは歯止めが
かからなくなっちゃったからですもん・・・」
「・・・そうなの?」
「やっぱり分かってなかったんですね?」
「今まで以上にとは思ってたけど」
「カシオペ〇でのサプライズのせいですよ。あんなの予想できるわけないじゃない
ですか・・・。あれで抑えきれなくなっちゃったんですから」
「完全に誤算だったわ。今日の話をちゃんと切り出せるようにするには、
機嫌を損ねないようにしなきゃならんし。かと言って邪険にも出来なかったし」
「乙女心ってのは難しいんですよ?せんぱい♪」
「制御しようと思った俺が間違ってたよ、大火傷したからな・・
さっきもらしくもない事する羽目になったし」
「でも嬉しくなかったですか?」
「そりゃまぁ・・・・・・嬉しいにきまってるが、人目があるところは遠慮したい」
「言質とりましたよ?じゃぁ2人きりの時は正直になるってことで」
「俺のキャラじゃねぇ・・・むしろ気持ち悪くない?」
「卑下しないでください。わたしは愛情を感じていたいんですよ?
言葉と行動と両方で」
「意外と寂しがり?」
「違うんですよ、愛情も話さなくても分かるものじゃなく
ちゃんと言葉で欲しいんです!米沢でくれた感謝と同じように」
「ああ、そういうことなのか」
「そうです!」
「・・・努力はする、照れくさい」
「慣れてください、これからの円満な生活のために」
「なんていうか、もう尻に敷かれてる気がする・・・」
「せんぱいがマウント取れると思ってたんですか?」
「いんや、今でも振り回されてるか、むしろ必然だったのかも。
我が家でも親父尻に敷かれてるし」
「あ、わたしの家もそうかもです」
「その方が上手くやれてるかもだな」
「むしろ相性がバッチリなんじゃないですか?わたしたち」
「そうでなきゃ、プロポーズなんぞしてない」
「おおう、不意打ちズルいですよぉ・・・」
「やられてばかりではつまらんから、一矢報いてみた」
お互い笑みをこぼしあい、未来の予想図がこんなものなのかを
夢見つつも眠気が襲ってくるのが分かる
「せんぱい、落ち着いたら結婚指輪も買いに行きましょうね」
「ああやることは山積みだな」
しばし、無言の時間が流れる
「せんぱい、わたしの手握ってください」
「ん?こうか?」
せんぱいの右手をわたしの左手で掴み、指の間を指を絡ませて恋人繋ぎの状態に
「今日はこのまま繋いで寝たいです・・・」
「・・・ああいいけど?」
「あと優しいキスを下さい」
・・んっ・・・
いつもの貪るような荒々しいキスと違う
ガラスを扱うかのようなキスをしてきた
そして名残惜しむように顔を離した
わたしは今多分凄くゆるい顔をしてるんだろう
プロポーズされた余韻と手の温もり、そしてキスで
こんな夜にこれ以上の言葉は無粋だと思う。だから一言だけ
「おやすみなさい、せんぱい」
「ああ、おやすみ」
今回終わりまでいろは視点でお送りしました
旅行編は帰るまで終わりませんよ?