旅行2日目
かつてないほどの難産回と長丁場になりました
2日目最後まで載せるか迷いましたが
区切ることにしました
8月11日
いつもと違う寝床の感触で目が覚めた。時刻は?・・・・ともうじき6時になるのか
普段とあまり変わらんな。
久々の遠出、猛暑の中での大移動で知らず知らずの内に疲れていたのかもしれんな
さて今日は何処から周るとするかな
とぼんやりと考えていたらスマホの6時の目覚まし音が鳴り
いろはもむくりと起きだし
ん~っと両腕を上に伸ばしてにこやかに
「おはようございます、八幡君」
「おはよう、いろは」
いつも俺を癒してくれる柔らかな笑みと共に朝の挨拶を交わし合った
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身支度を整え、6:30からの朝食時間開始と同時に食べ始め、
7:00にホテルを後にした俺達はまず京都駅に赴き
京都駅前バスのりばなどに設置(京都駅以外にも一部設置)の券売機にて
「地下鉄・バス1日券」を購入した。
時節柄お盆という観光シーズンで渋滞も考えられるので臨機応変に動けるよう
これにしておいたのだ。夜には福知山に移動するし、時間は有効に使わないとな
まずはこれで地下鉄烏丸線・東西線と乗り継ぎ「東山駅」へ向かう事に。
そこからは徒歩10分で平安神宮に到着した
「朝だから大分涼しくて楽でいいな」
「盆地ならではの気候ですね、朝涼しく昼は暑いといった」
「正月は旅行で初詣行くタイミングを逃してしまったし
京都に来たんなら行っておきたいと思ってたんだよ」
「正しくは【婚前】旅行ですよね?(ジー)」
「はい、そうです・・・」
「宜しいっ!(腕を抱き満面の笑み)」
「お守りも買っておくか。こういう歴史があるところならご利益にあやかれそうだ」
「何のお守りにするんですか?」
「健康のお守りだな。大きな病気にならずに生きたい。いろははどうする?」
「わたしは健康ともう一つ考えてます」
「もう一つ?」
「それはヒ・ミ・ツです♪」
「あ、あざとい・・・・」
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大きな鳥居と境内も広く、朝の早い時間とあってのんびりと散策し
目当てのお守りも難なく購入し、実質1時間程の滞在時間となった
「拝観料払えば、 神苑内も見れたんですね」
「ま、桜や紅葉の時期じゃないし。今回はいいだろ」
「意外と歴史は京都の中では新しい方だったんですね?」
「平安遷都1100年記念として創建だったとはな」
「遷都を決めた桓武天皇をご祭神。有終として孝明天皇としたと。
学校で習わないことばかりですねぇ」
「ああ、だから面白いよな、歴史ってのは。そこにまつわるエピソード一つとっても」
「そういえば、さっきお守り2つ買ってましたけど何を買い足したんです?」
「ん、こいつだよ」スッと紙袋から中身を取り出して見せた
【愛護守】
「【愛護守】って何です?」
「平たく言えば、ペットのお守りだな。実家の猫のカマクラも飼い始めて10年近く経つ。
人間で言うと還暦を超えるからな。動きも大分ぎこちない所あるし。
今度実家帰ったら、首輪に付けてやろうと思ってな」
「・・・八幡君ってやっぱり家族を大事にしてるんですね」
「そりゃぁ、愛着あるしな。カマクラも大事な家族だ」
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AM10:30
9:30に平安神宮を後にし、次に向かったのは金閣寺方面。バスを乗り継ぎ1時間程で到着。
人気のある湯豆腐膳が食べられる店なので開店前に並んでおこうと思い
早めに向かったのだが、既に何組か先に並んでいた
流石老舗人気店だけあるようだ・・・・
11時になり席に通され、二人して『湯豆腐膳』を注文
出来上がるまでお通しとして ごま風味のつまみ湯葉を堪能することに
これがチュルッといけて めっちゃ美味しい。
湯豆腐メインで楽しむつもりだったがこれは嬉しい誤算かもしれん
20分程で湯豆腐膳が運ばれて来て、まずは出汁を一口啜ってみる
「へぇ。昆布出汁がよく聞いて美味いな」
「結構好みの味ですね、これ」
「さて豆腐の方はどうだろう?
・・!豆腐は絹ごし、濃厚な醬油で味付けされてるのか・・・!しかも甘味がある」
「八幡君好みの味ですね。わたしは豆腐の舌触りが気に入りました」
「小鉢は・・・ご飯が進みそうなおかずばかりだな」
「ちょっと濃いめの味付けなんですね。確かにご飯が進みます(苦笑)」
15分程で完食し。会計を済まし1Fの土産屋で
「生湯葉丼の素」を購入。実家用と併せて多めに
「やー満足満足です♪」
「豆腐屋直営だけあって美味だったな」
「店員さんが話してくれましたけど、
『活発に活動されている方の昼食にと、やや濃いめの味付けとなってるんですよ』って教えてくれました」
「それでか・・・ようやく納得したわ」
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時刻はもうじき12時になろうかという頃で、店の近くの北野天満宮にも寄ってみようという事にもなり
「天満宮・天神社の総本山なのか・・・・・・・・」
「学問の神様、菅原道真を祭ってるんですね」
「修学旅行では行ける機会が無かったからな・・・」
「「学問」「至誠」「芸能」「厄除」の神様。随分と多くのものを司ってますねぇ」
「生きていく上で「至誠」「厄除」は避けて通れないだろうな。あやかっておくか・・・」
「ちゃっかりしてますねぇ~・・・・」
寺のあちらこちらにある通称「なで牛」をなで回し
御朱印帳なんてものが販売してるのが目に留まったので
俺は青。いろはは梅をそれぞれ購入してみた
「これで各地の旅した時に、お寺さんの御朱印集めという楽しみが
出来ましたね。旅する目的は一つだけじゃなくてもいいですよね?」
とウチの嫁さんはご機嫌ではあったけども
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足早に北野天満宮を後にし、徒歩15分程で金閣寺に到着。時刻は13時半になっていた
拝観料400円を払い、近くのベンチで座り一緒に貰ったパンフレットを流し読みしつつ涼を取ることにした
「足利義満が建てたというのが学校の歴史の授業で習うのが一般的だったんだが・・・」
パンフレットより
『実際は鎌倉時代に西園寺公経が所有していた土地に建立された西園寺・北山第という別荘が始まりとされています。
鎌倉幕府の倒幕後、西園寺家は権力を失い土地を手放すこととなりました。
室町時代に入り、荒廃していたこの場所を室町幕府第3代将軍であった足利義満が譲り受け、
1397年(応永4年)に山荘北山殿が造営されることとなりました。これが金閣寺となります。
そして金閣寺の正式名称は義満の法名鹿苑院殿から二字をとって鹿苑寺とされています』
「ここまでは知らなかったですね・・・・」
「一つの歴史を紐解くだけで学校で習わない事が知れる。本当に奥深いわ・・・」
「でも、1950年に放火で全焼って・・・・」
「おっかねぇな・・5年後に再建されたってあるが、戦後間もない日本の状況を考えるときつかったかもしれんなぁ」
ベンチで充分に休憩を取り終え、舎利殿・鏡湖池・夕佳亭といった見どころをのんびりと巡り
世界遺産に登録された文化財の美を目に焼き付けた
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金閣寺を出た際には15時になっていた。俺としては後2つ見て置きたい場所があった
徒歩15分ほどで嵐電(京福)北野線に乗り「北野白梅町駅」から「嵐山駅」に移動した
「流石に暑いですね・・・・この時間帯は」
「あんまり無理すんなよ」
「あ、生八つ橋売ってますね。どうしようかな~」
「ん?こいつは??生八つ橋以外にも種類があるのか?」
「え?ほんとだ・・・!」
「ええ、八つ橋は見ての通り生菓子の『生八つ橋』
そして生地を焼き菓子にしたものが『八つ橋』とされているんです」
「でも流石に『ようかん』があるなんて知りませんでした・・・!」
「6種類あるし全部買っていこう」
「また荷物が増えちゃいましたね♪」
「構わん構わん、これくらいはな」
思わぬ形でお土産が増えたが渡月橋に足を向けた。
一般的には観光の名所ではあるが俺にとっては因縁の場所だ・・・
かつて俺はここで葉山の依頼を受け、奉仕部3人でで受けた戸部の依頼、
そして海老名さんが秘密裏に依頼した3つの板挟みに苦しみ
我ながら最低だと思う「嘘告白」を行い3つ全ての依頼の解消をした
数少ない手札を切り、効率化を極め、最善を尽くしたと思っていた。
あの2人なら分かってくれる筈だと勝手に期待してその偶像を押し付けることの愚かさを、
俺は絶望した。言わなくてもわかるという幻想と、言ったからわかるという傲慢に。
そして傷つける覚悟、勇気がないとただ立ち止まるだけだという事を
俺はあの部活で学んだから。そして今隣にいる愛妻がいるのも
一歩踏み出せたからからこそだという事に
だからこそ打ち明けよう、初めて会った時、奉仕部が何故崩壊一歩手前だったのか
何故生徒会長を推したのかを
「いろは聞いてくれるか」
「え?」
「かつて、お前を生徒会長に推した経緯を」
「・・・・・・・はい、聞きます」
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木陰のある嵐山公園を通りながら、トラウマの場所を目指して歩く
そして歩きながら件の話をゆっくりと話す
その間いろははぎゅっと俺の手を握り、その力が少しずつ力が込められていくのが見て取れた
嵐山 竹林の小径に辿り着き
「ここが3つの依頼を受け、嘘告白をもって解消を行った所だ」
「結果2人には拒絶。生徒会選挙で3人がバラバラに事に当たり部は崩壊寸前
それを食い止める為、奉仕部を守るためにお前を生徒会長に推した。これが真実だ」
「・・・・・やっと話してくれましたね」
「!?まさか薄々気付いていたのか?」
「ううん、小町ちゃんから。付き合う前に謝られてたんです
『小町の依頼で、あの2人のために……いろはさんを利用して……生徒会長に推させてしまってごめんなさい』って」
「!?小町がそんなことを・・・」
「でも、それまでの男子を手駒にしたりちやほやされたりの生活なんかよりも
イベントをやり遂げた時の充実感・達成感。得難いものを得れました。
何より本物に感化されて、わたしがわたしで在れる居場所を見つけられました」
「うぐぐぐ・・・」
「逆に感謝してるって事をその時に話しました。でも何故、奉仕部がそんな状態になってしまったのか、そこまでは教えてくれなかったんです。
『小町もそれが分かるまで話も聞かない状態に陥ったし。いつになく兄が沈んでいたのでそう簡単に教えてはいけないと思うんです。分からないままだったら、奉仕部も崩壊。いろはさんの今もなかった可能性すらあったかもしれないです。だから兄が過去の傷を乗り越えて打ち明けてくれるのを待ってあげて下さい』・・・てね」
「小町・・・そんな思慮深い事を・・・(顔を手で覆う)」
「わたしも時期的に修学旅行かなと当たりは付けてたんですけど。小町ちゃんにあんなこと言われた以上下手に詮索は出来ないまま、ここまで来ちゃいましたけどね」
「あーすまないな・・・」
「でもこうして話してくれた事、トラウマに等しい傷を乗り越えられるまでになって良かったです本当に」
「・・結婚するまで黙ってた事に触れないのか?」
「そりゃ、人には一つや二つ触れて欲しくない事はありますよ?八幡君のその性格に何年付き合ってきたと思ってるんですかー?んー?」
「うわっ、うざ・・・」
「ふふっ、わたしも面倒くさい性格してるって自覚あるし、似た者同士、何せ出会うまでに培ってきた土壌が違うんですから、まだ結婚1年目のヒヨッコ。隠し事も打ち明けあいそして落としどころを見つけながら生きていくんですから、これくらいでへこたれるもんですか!ってね」
てへっと舌をだしおどける小悪魔っぷりに逆に笑みが零れる
「それにそろそろ欲しいなって思ってるんです・・・」
腕に抱き着き、そして耳元で囁いた
「八幡君とのこども♪」
バッグからごそごそと紙袋を取りだし俺の前に見せた。それは
【安産守】
(平安神宮で買ったお守りのもう一つがこれだったというのか)
「ね?欲しくないですか?」
「ああ、めちゃ欲しいな」
ただ理想を押し付け合うだけでなく、話をして分かり合う
そんな関係を家族として発展して、お互いを気遣える程の今だったら。
俺達二人の愛情を吸収してすくすく成長していける存在。
俺達の血を継いだ存在。
愛おしいと思える存在。
そんなものが生まれて、その成長を見守って行ける
俺達に新たな生きる意味が増えるという事。
奇跡であり本物でもある
そんな提案を断るなんてあり得ないだろう
「お前と俺との間で生まれる本物の存在・・・断るとでも?」
「はいっ!それでこそわたしの旦那様ですっ!」
2人にとって新たな家族が増えるのが確定する日
それは遠くないことなのかもしれません