弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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第5層

九尾の狐を倒して階段を上ると、その先にあったのは純白の世界だった。

 

「ん?なんやこれ。雪?」

「それにしては弾力がある。これは・・・雲だ」

 

そう。第5層は、天空に浮かぶ巨大な雲の上だった。

地面もふわふわの雲でできており、街の壁や道なんかもすべてが真っ白、濁りは何一つない。

これもまた、現実では再現することができない、ファンタジーの王道の1つと言えるだろう。

 

「なるほど。空島っちゅーことか」

「その言い方はどうかと思うが・・・どうやら、全部が柔らかいわけじゃないようだ」

 

試しに建物の壁に触れてみたら、帰ってきた感触は磨かれた大理石のようにつるつるしている。

 

「とりあえず、まずはギルドホームを確認するとして・・・フィールド探索は、今日のところは近場で済ませるか」

「え?どうして・・・あ~、こりゃ走りづらいわ」

 

そう呟くシオリの視線は、足元の雲に向いている。

こうもふわふわな地面は俺やシオリも初めてだから、特にシオリはこの感覚に慣れておかないと大事故を起こしてしまいかねない。

俺やサリーはシオリほどではないが、回避のタイミングが狂ってしまうという点では気を付ける必要がある。

まぁ、俺なら今日1日である程度アジャストできるだろう。

そんなことを話しながら、俺たちは第5層のギルドホームにたどり着いた。

やはりというか、ギルドホームも真っ白な雲で作られており、中に入るとテーブルやいすなんかも白いから、若干遠近感を掴むのに苦労する。

俺とシオリでしばらくギルドホームの確認を進めていると、サリーたちもやってきた。

 

「あっ、クラル、シオリ。もう来てたんだ」

「おう、そっちも終わったか」

「さすがにユイちゃんとマイちゃんがおるから、ちょっとくらい遅くなってもしゃーないか」

 

機動力という面では、俺とシオリはユイとマイを抱えたサリーたちよりも圧倒的に上だ。

むしろ、ギルドホームにいる間にやってきたのだから、かなり早い方だろう。

 

「それで、探索はどこまで?」

「まだこのギルドホームだけだ。それと、今日のところは外の探索は近場にしておこうってシオリと話した。この地面だしな」

「あぁ、それはたしかに」

「ふかふかで、つい飛び込んでしまいそうですけど、歩く分には少し苦労しますからね・・・」

 

高機動組であるサリーとモミジは、俺の意図にすぐ気づいたようだ。

 

「それで、街は手分けして探索するか?第4層の街よりは断然狭いだろうが・・・」

「まぁ、今回は好きに回っていいんじゃない?これくらいの広さなら、さすがに今日1日で回り切れないってことはないだろうし」

 

カナデの提案によって、街の探索は各自好きなようにすることになって、すぐに一時解散してそれぞれ街の中を見に行った。

 

「ふぅ。それにしても・・・」

 

辺りを見回せば、目に映るのはすべてが白。

こうも単色の景色ばかり続くと、目がちかちかしてくる。

建物の一部には色がついていたりするが、それでも大部分の色は白だ。

 

「もうちょっと色彩が欲しいところだが・・・ん?」

 

何かないかきょろきょろと辺りを見回していると、1つの屋台を見つけた。

 

【雲菓子屋】

 

「くもがし?綿菓子じゃなくて?」

 

いや、辺り一面雲しかないから、そんなもんだろうが。

見つけたのも何かの偶然だと思って、俺は1つ買ってみることにした。

思ったより味にバリエーションがあり、少し悩んだが無難にイチゴ味を選んだ。

少し待ってから出されたのは、ぱっと見は棒付きの綿菓子だが、祭りの屋台で見る普通の綿菓子よりも弾力があり、何よりサイズがけた違いにでかい。高さ50㎝、直径50㎝の円錐くらいの高さがあるぞ。

こういうの、テレビで見かけた都心の店のやつくらいしか見たことがない。

さて、味の方はいかがか。

 

「はむ・・・うまいな、これ」

 

綿菓子よりも断然弾力があり、口では割けなくて噛み切らなきゃいけないのだが、口の中で噛むとすぐに溶けてイチゴの甘みと酸味が口の中に広がる。

味は普通においしいくらいだが、食感が面白くて癖になりそうだ。

 

「む?クラールハイトではないか」

 

食べ歩きしていると、第4層で見知った顔に会った。

 

「おっ、ミィも来てたのか」

「あぁ。それはそうと・・・それは、どこで買ったんだ?」

 

どうやら俺が食べている雲菓子に興味津々らしい。

口調はカリスマモードを保っているが、明らかに目がキラキラしている。

 

「向こうの雲菓子屋ってとこで買った。食感が面白くてけっこう美味いぞ」

「そうか。感謝する。ではな」

 

そう言って、ミィは若干小走りになりながら雲菓子屋の方に向かった。

 

「後で、メイプルにも教えてやるか。こういうの好きそうだし」

 

まずは第5層に来てもらう必要があるが、メイプルなら問題ないだろうし、インフル完治の祝い代わりとしては十分だろう。

ちなみに、俺が持っている棒の部分はスティック菓子になっていて、最後まで楽しめるようになっていた。

これ、暇なときに家で再現できないか、母さんに聞いてみよう。




もちろん、例の巨大綿菓子を参考にしてみました。
いわゆる原宿レインボーってやつですね。
自分は食べたことないですが、一時期話題になったのは知っています。
雲→綿菓子で思い出しました。
雲菓子、これは自分も食べてみたい。
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