俺たちが第5層にたどりついてから数日後、インフルから復活したメイプルも攻略したようで、偶然第5層に来たばかりのメイプルとギルドホームで遭遇したのだが。
「マジか・・・」
「うはぁ、相変わらずぶっ飛んどるなぁ・・・」
「とっても疲れたけどね~・・・」
どうやらメイプルは第5層の街の中央にある塔が階層ダンジョンだと勘違いしていたようで、勘違いしたままあの白鬼に挑んで勝利したということだった。
俺でも手が付けられなかったというのに、あれを倒したのか・・・。
正直、これを「まぁ、メイプルだから」で片付けるのには骨が折れるな・・・。
「それで、何か収穫はあったのか?」
「うん。【百鬼夜行】っていう、2体の鬼を召喚するスキルが・・・あっ」
「ん?どうした?」
「そういえば、フレデリカにこのスキル見せちゃった・・・」
どうやら、さすがのメイプルでもあの白鬼はかなり疲れたようで、それでうっかりフレデリカに見せてしまったようだ。
「疲れてて何も考えてなかったよー」
「まぁ、それくらいならいいだろう。元々悪魔を召喚できるんだ。それが鬼に変わっただけだと考えればいいだろう」
そもそも、モミジも鬼に変身できるんだから、今さら鬼を召喚したからなんだと言うんだ。これくらいならまだ普通だ。
「それで、今日はこれで終わるのか?」
「うん。さすがにへとへとだよ~・・・そういえば、2人はもう5層は探索したの?」
「そこそこな。どうせなら、面白そうなところを紹介しとこうか?」
「おねがい」
メイプルに頼まれて、俺は今まで見つけた中でメイプルに興味がありそうなものをピックアップした。
「今のところだと、街の中に【雲菓子屋】っていう屋台があって、そこで買える雲菓子が結構うまい。それと、フィールドに出る必要があるが、入道雲っぽいダンジョンの先に【天まで届けシャボン玉】っていう白い花のアイテムがあって、1mくらいのシャボン玉を出せる。あとは・・・」
正直、フィールドの方に面白みが多い階層だから、探索のモチベーションが低くなっているメイプルには向いていないかもしれないが、それでも面白そうだし教えておくか。
「ここから少し離れたところに、でかい城のダンジョンがある。まぁ、ダンジョンと言っても、あくまでフィールドの一部みたいな感じで、出てくるモンスターも弱い。内装もきれいだから、観光にはちょうどいいんじゃないか?」
「ふーん。うん、それなら、また今度行ってみようかな」
メイプルも俺の情報は参考になったようで、礼を言ってからログアウトした。
それを見届けてから、俺は思い切りテーブルに突っ伏した。
「あ"~・・・まさかとは思っていたが、マジであいつを倒すとは・・・」
「まぁ、メイプルちゃんなら十分あり得るからなぁ。さすがに苦戦したみたいやけど」
ここまで来ると、あれだけのボスを相手に勝てたメイプルを称賛するべきか、むしろメイプルをギリギリまで追い詰めた白鬼に頭を抱えるべきか、悩むところだ。
ただ、やっぱりどこかに弱体化のフラグがあるような気がする。
あるいは、モミジが会ったという酒呑童子がキーかもしれない。
「今度、モミジと少し話し合ってみるか。現状、酒呑童子に会えるのはモミジだけだし」
「相談するのはええけど、負けず嫌いもほどほどにするんやで」
シオリから呆れの言葉を頂戴しながらも、俺とシオリも今日のところはログアウトした。
* * * * *
メイプルが第5層に到着した数日後、メイプルはギルドホームでサリーと少し話した後、クラールハイトから紹介された場所を見て回ることにした。
「雲菓子屋、雲菓子屋・・・あった!」
雲菓子屋は街のマップにも表示されているため、迷わずにたどり着くことができた。
メイプルは試しにプレーンを買ってみることにした。
「それじゃあ、いただきます!はむっ・・・ぅ~、おいしぃ~!」
詳しい味は聞いていなかったが、独特の食感はメイプルも気に入ったようで、あっという間に1つ食べきってしまった。
その後、メイプルは追加でチョコ味を購入し、食べ歩きながら街の外へと向かった。
今度の行き先は、フィールドにあるという城だ。
入道雲の方は、中がアスレチックみたいになっていると聞いて行く気が起こらなかったため、観光にちょうどいい城に行くことにしたのだ。
移動はシロップの背中に乗って飛んでいったので、道中で苦労することはない。
10分ほど空を飛んだところで、目的の場所にたどり着いた。
「おぉー!すごいよ!」
メイプルの目の前に現れたのは、某夢の国に出てくるような西洋風の巨大な白で、手入れされているのか廃虚のように崩れたところもない。
地上には、それなりの数のプレイヤーがメイプルを見上げている。
クラールハイトはただの観光名所として紹介したが、実は城の中にはランダムで宝箱が配置されており、極々稀にレアアイテムを手に入れることもできると話題になっている。
もちろん、観光名所としても側面もあるので、カップルらしき2人組もちらほらいる。
「よっと。ありがとう、シロップ!」
地上に降り立ったメイプルは、シロップを指輪の中に戻して城の中に入った。
「わぁー、すごいきれい!」
城の中は磨かれた大理石や窓ガラス、金属器などで光り輝いており、メイプルも目をキラキラさせながらあっちへこっちへとふらふらさまよう。
時折、騎士甲冑のモンスターが現れるが、【滲み出る渾沌】の悪魔だけで十分対処できたため、ほぼストレスもなく探索で来た。
荘厳な城の中で2体の悪魔を従えながら歩くメイプルは、傍から見たら違和感の塊でしかないが、当の本人が気にするところではない。
そんなこんなで、自由気ままに探索していたメイプルだったが、ふとある扉に視線が引きつかれた。
「なんだろう、ここ」
興味に引かれるままにその扉を開けると、そこには10人以上は座れそうな巨大な円卓が置かれていた。
何があるのだろうと、メイプルが部屋の中に入った途端、
バタンッ!
「きゃっ!?」
急に扉が閉まり、円卓の上に置かれているろうそくに火が灯った。
「なになに!?」
突然の事態にメイプルは慌てるが、事態はメイプルを待ってくれなかった。
突如、円卓の中心から光があふれ出し、メイプルは光に包まれてしまった。
そろそろ原作キャラの強化をしてみたくなったので、まずはメイプルから。
もちろん、ゆくゆくは他のキャラも強化していくつもりですが、さすがに1つの階層で一気に追加するのは無理があるので、ちまちま追加していくつもりです。
まずは、3,4人くらいでしょうか。
もちろんオリキャラたち、特にモミジちゃんの強化もこの階層のどこかでするつもりです。
メイプルに毒されつつあるクラルくん。
そもそも当人が異常枠なので、人のことを言えないわけですが。