弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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円卓の騎士

光が収まったことを感じたメイプルは、ゆっくりと目を開けた。

 

「えっ・・・?」

 

目を開けると、目の前には先ほどまでは誰もいなかったはずの円卓に12人の騎士らしき人物たちが座っていた。

もちろん、目の前にいる人物たちが誰なのか、メイプルが知るはずもない。

そのはずだったが、12人のうちの1人の女性に視線が固定された。

厳密には、その人物が持っている剣に。

 

「あれって、もしかして・・・」

 

その人物が持っていたのは、黄金に輝く西洋剣。

それは、ゲーム関連の知識に疎いメイプルでも名前は聞いたことがあるものだった。

 

「エクスカリバー、だよね」

 

エクスカリバー。

それは王を選ぶ選定の剣であり、それを引き抜いた人物はただ1人しかいない。

アーサー王。

メイプルの目の前にいる人物こそが、世界で最も有名な騎士王である、アーサー王なのだ。

そして、メイプルはなぜここに転移されたのかを考えようとするが、ふと椅子が1つ空いていることに気付いた。

 

「来てくれたか」

 

だが、それについて考える前に、アーサー王に声をかけられた。

 

「えっと、気づいたらここにいただけなんですけど・・・」

 

自分の意志で来たわけではないとメイプルは主張するが、相手はNPC、メイプルの訴えを聞き入れるはずもなく、話を進めていった。

 

「そなたをここに呼んだのは他でもない。我々は最後の席に座る者を探しており、そなたにその資格があると見込んできてもらったのだ」

「は、はぁ。そうなんですか・・・」

 

「いえ、そんなこと知りません。今聞きました」とメイプルは内心で抗議したが、真剣な表情のアーサー王を前にしてそんなことも言えず、曖昧に頷くにとどめた。

内心は帰りたい一心のメイプルだが、頼まれたことは断れない性格であるため、なかなか断れないでいる。

 

「この席には、ある呪いがかけられている。それに打ち勝つことができれば、そなたを最後の円卓の騎士として歓迎しよう」

 

アーサー王がそう言うと、メイプルの前にクエスト画面が現れた。

クエスト名は、【円卓の試練】。13番目の席の呪いに打ち勝つことが条件だ。

 

「う~ん、どうしよう・・・でも、座るだけなら大丈夫だよね?」

 

悩んだ末、メイプルは「ダメージは受けないだろうし、毒も耐性があるから大丈夫!」と結論付けて、YESを押した。

 

「感謝する。では、その空いている席に座ってほしい」

 

アーサー王に促され、メイプルはおっかなびっくり座った。

次の瞬間、椅子から黒い腕が生え、メイプルの腕や脚を掴んだ。

 

「えっ、なにこれ!?」

 

突然の事態にメイプルは驚愕するが、抵抗する間もなくメイプルは謎の空間に引きずり込まれた。

 

「ちょっ、なにこれ!」

 

黒い腕はすぐに消えたが、メイプルが引きずり込まれたのはすべてが真っ黒の広大な空間で、遥か上に元の場所らしき光が見えるが、浮かぶこともできないため抜け出すことはできない。

 

「う~、ただの観光のつもりだったのに・・・」

 

思えば第4層でも、観光の最中に怪しげな老婆によって壺の中へと引きずり込まれ、毒のせいでせっかくの和服を溶かされたな~、と遠い目をしながら、メイプルはあたりを見回した。

今のところ、周囲は黒い半球形の空間が広がっているだけで何もない。

とはいえ、さすがのメイプルも何かが来るということは予測できる。

そして、その『何か』はすぐにやってきた。

 

「ヴぅ、ア"ァ・・・」

 

不意に背後から苦しそうな呻き声が聞こえ、バッ!と振り向くと、そこには黒い人型の塊が、腕を伸ばしてゆっくり近づいているところだった。

 

「たぶん、敵だよね?【武装展開】」

 

とりあえず、友好的には見えないため、メイプルは【機械神】でレーザー砲を展開し、銃口を黒い人型に向けた。

容赦なく引き金を引けば、人型は頭部を貫かれてあっさりと消滅した。

だが、周りをよく見れば、暗闇に溶け込むようにして無数の人型が出現しており、ゆっくりとだが確実にメイプルへと近づいていた。

 

「う~ん、前の虫と違って、弱いけどいっぱいでてくるのかな?【全武装展開】!」

 

だいたいのクエストの仕組みを理解したメイプルは、すべての武装を展開して宙に飛び上がった。

だが、結果的にそれは失敗だった。

 

ガッ!

「えっ!?なに!?」

 

いきなり背後から腕や肩を掴まれたメイプルは咄嗟に振り向くと、空中からも黒い人型が出現していた。

 

「ちょっ、それは聞いてないよ~!」

 

上空からの襲撃を予想していなかったメイプルは必死に振りほどこうともがくが、STRが0のメイプルでは抜け出すことができるはずもなく、どうしたものかと考えていたが、あることに気付いた。

 

「あれ?もしかして、掴んでくるだけなのかな?」

 

メイプルを掴んだ人型は、ただそれだけで、追加の攻撃もなければ、さらに引きずり込もうともするわけでもない。

実は、この黒い人型は、1体あたりのHPは高くないものの、対象をつかんでいる限り高威力の魔法ダメージを与え続けるという特性を持っており、それが全方位から絶え間なく襲い掛かってくるという凶悪なクエストのはずなのだが、メイプルは当然のようにそのダメージを無効化し、人型もそれ以外の攻撃手段を持っていないため、結果的にただメイプルが掴まれているだけという状況になったのだ。

とはいえ、メイプルがこの拘束から抜け出せないという現状は変わりないのだが、そこでメイプルはふと閃いた。

 

「よし!そのまま掴んでいてね~。【攻撃開始】!」

 

メイプルは天井の人型に掴まれているのを利用して、飛行用の武装を攻撃にまわし、眼下にいる人型にむけて絨毯爆撃を行った。

動きが緩慢な人型にこれを躱すせるはずもなく、下にいる人型はものの数分で全滅した。

次に、側面にいる人型に狙いを定めて引き金をひき、同じ要領で全滅させた。

最後に、メイプルのすぐ近くにへばりついている人型には、

 

「【ブレイク・コア】」

 

白鬼戦で耐えれることが証明された自爆攻撃で、自らをも巻き込んで人型を吹き飛ばした。

 

「ぶぇっ!」

 

自爆によって吹き飛んだメイプルは、爆発の衝撃で地面にたたきつけられた。

ダメージこそないものの、顔面から衝突したため変な声が漏れた。

 

「いた・・・くはないけど、これで終わりだよね?」

 

まさか、最後に強力なボスが出てきたりしないかと身構えたが、そんなこともなく、メイプルの周囲に無数の光の粒子が漂いはじめ、それがメイプルを抱えて光が差している出口へと運んでいった。

 

「よくぞ呪いを打ち破った」

 

光から抜けると、メイプルはいつの間にか最初の椅子に座っており、アーサー王が称賛しているところだった。

 

「約束通り、そなたを円卓の騎士として迎え入れよう。その証として、そなたにはこれを授ける」

 

そう言うと、アーサー王は自身の背後に立てかけられていた大盾を持ち、メイプルの元に運んだ。

 

「呪いに打ち勝ったそなたなら、これを使いこなせるだろう。その心構えを、ゆめゆめ忘れないように」

 

そう言ってメイプルに盾を渡すと、それが最後の言葉だったかのように、アーサー王や他の騎士たちは光となって消えていった。

最後に残ったのは、メイプルと渡された大盾、クエストクリアを知らせる画面だけだった。

 

「う~ん、結局なんだったんだろう?」

 

いろいろともやもやは残ったものの、考えても分からないからと受け取った大盾を確認した。

もらった大盾は黒い十字の交差点に白い円の盾が重ねられており、中央には血のような赤い紋様が刻まれている。

次に、メニュー画面を開いて大盾の性能を確認した。

 

【円卓の盾】

【VIT+50】【破壊不能】

いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)

再来せし騎士の国(レ・ヴィンズ・ブリテン)

 

いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)

1日1回発動可能。

使用者を始点に半径5mの城壁を生成し、範囲内のパーティーは外部からのダメージを受けない。

また、使用者の受けるダメージは3倍になるが、受けたダメージに応じてカウンターの砲撃を放つことができる。

 

再来せし騎士の国(レ・ヴィンズ・ブリテン)

12人の騎士を召喚できる。

騎士は1人につき1日1回しか召喚できない。

また、1日に1回、1時間全ステータスを半減させることで300人の騎士兵団を召喚することができる。

 

「う~ん。強いけど、デメリットも大きいなぁ・・・あとで相談してみよっと」

 

気を取り直したメイプルは、取得した大盾をインベントリにしまい、今度こそはと観光のために歩き始めた。




自身の厨二力をふりしぼってもう片方の名前を考えていたら、投稿が予定時間より少し遅れてしまいました。

いっそペインにエクスカリバーを持たせたらやばそう。
ただでさえエクスカリバーみたいなことしているのに、それがさらに強化されるとか。

クエストの内容自体は、原作(円卓の方)的にはこじつけな部分はありますが、これくらいがちょうどいいんじゃないかと思いました。
一応、知らない人のために説明すると、キリストと12使徒をモチーフにしている円卓の13番目の席は裏切者のユダの席であるため、マーリンによって座ると呪われるようになっているとのこと。そのため、呪いを恐れた者たちは誰もその席に座ろうとしなかったところを、ガラハッドは自ら座りに行って呪いに打ち勝ち、円卓の騎士に迎え入れられたそうな(byウィキ、諸説あり)。
それを考えると、自分から座りに行ったガラハッドはマジで変態ですね。

今回のクエストでは、fateみたいな聖杯のヘドロをイメージしたものにしてみました。
そっちの方が、fgoクロスオーバーっぽいですしね。
まぁ、メイプルちゃんならマジもんの聖杯の泥をかぶっても無傷で耐えそうですが。

さて、例の大盾を手に入れましたね。
マシュのスキルを手に入れたというのはもちろんですが、地味に大盾4枚体勢ができるようになったというのも、個人的に大きいかなと。
スキルに関しては、メリットもデメリットも両方強めにしてみましたが、よくよく考えればメイプルの場合、デメリットがそこまで機能していないという。
受けるダメージが3倍になったところで元のダメージが0なら意味がないですし、ステータス半減も1万が5000になっただけで十分硬いですし。
下手したら、またナーフしなきゃいけない・・・。

*【円卓の盾】に【破壊不能】を追加しました。
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