弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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近況・2

「はぁ・・・おいし」

 

ある日の第5層の街の中央広場にあるベンチで、俺は雲菓子(バニラ味)を片手に食べながら黄昏れていた。

というのも、先日、マーリンを探しに行くと言ったカナデが、目的を果たしたうえで強力な魔法を引っ提げて戻ってきた。

自動回復+MP回復量増加+全ステータス強化を範囲内にいるパーティーメンバーに永続付与とかそれだけで頭おかしいし、範囲から出ても1分は効果が続くって、完全にどうかしてる。

その分、お花畑の間違い探しに10マスルービックキューブと常人からすればクリアさせる気が無いような難易度になっているようだが、相手が悪かった。4桁のミルクパズルを解くことができるほどの圧倒的な記憶力を持っているカナデからすれば、十分攻略できるはずだわな。

別にな、ギルドメンバーが強化される分には構わないんだけどさ、もう少し落ち着いた幅にしてもらえないかな?ただでさえメイプルだけでもお腹いっぱいなのに、ペインとカナデもこの階層で飛躍的な進歩を遂げている。

そうなると、まだこれといった収穫がない俺が出遅れているようにも言えなくもないが、それを言ったら今までが早すぎただけだとも言える。

だからと言って、このまま置いていかれっぱなしなのも癪だ。

幸い、もうすぐ第6回イベントが始まる。ついさっき、その情報が公開された。

内容は第2回イベントのような専用マップ内の探索。

第2回イベントと違うのは、時間加速や対人要素がないこと、イベントマップに入るには専用のアイテムを使用すること、専用マップ内では回復手段がいっさい使えないことだ。

とはいえ、回復禁止に関してはそれほど問題ない。たいていの攻撃を受けたら即死するわけだから、回復なんてあってないようなもんだし。

報酬は、貴重な素材やスキル。ただ、見た感じメインは素材のようだ。

今回のイベントは、メイプルは特に有利だろう。【身捧ぐ慈愛】は使いにくくなるが、他プレイヤーと比べてほとんどダメージを気にする必要がないというのはかなりでかい。

探索に重要なAGIが0なのも、【暴虐】である程度解消できる。

ただ、モチベーションの問題は知らん。

最近は復活してきてるっぽいが、マップに入るためのアイテムを【暴虐】なしで集める気になるのかはなんとも言えない。

それに、イベントマップはジャングルのようだから、【暴虐】状態では行けないところがある可能性もある。

俺としても、【黒竜ノ息吹】がほぼ活用できないのは痛い。

こういうとき、障害物はいっさい関係ないシオリと、多少の障害物ならどうにでもなるサリーが羨ましい。

ミィなんかも、ジャングルなら障害物は丸ごと焼き払うこともできるだろうから、楽なほうだろう。

俺なんて、射線が通らないと死活問題だからな・・・。

 

「む?クラールハイトではないか」

 

そんなことを考えていたからか、ミィが横から声をかけてきた。

一応、ミィも割と数少ない俺を略称(愛称ともいう)で呼ぶ人物だが、人目のある今はフルネームで呼ぶと決めてあるらしい。

 

「そんなところで雲菓子を食べて、いったいどうした?」

「ちょっと現実から目を逸らしつつ、次のイベントについて考えていた」

「現実逃避については置いておくとして・・・そう言えば、もう発表もされていたな。クラールハイトは参加するのか?」

「もちろんだ。素材とかがどの程度役に立つかはわからんが、やっぱスキルは気になる」

 

メイプルやペイン、カナデのことを考えればなおさらだ。

とはいえ、どのようなものがあるかは、実際に探索して見ないとわからない。念入りに探索と情報収集をするべきだろう。

こういうときは、大規模ギルドの情報収集量が羨ましくなる。

人数が少ないと、やっぱり量は限られてくるし。

 

「んじゃ、俺はさっさとこれ食べて、フィールドにでも出ることにするか」

「レベル上げでもするのか?」

「それもそうだが、俺もそろそろ新しいスキルが欲しくなってきたからなぁ。行けるところは確かめる」

「なるほどな・・・だが、その口ぶりだと、メイプルはすでに新しいスキルを手に入れたということか?」

「あっ」

 

しまったな、つい口が滑ってしまった。

まぁ、内容までは言ってないから、まだセーフだ、セーフ。

 

「・・・詳細は黙秘するが、だいたいはそんなところだ。ついでに言えば、ペインも新しい武器を手に入れてたぞ」

「ほう?それについて教えてもらっても?」

「もちろん・・・と、言いたいところだが、メイプルのスキルを見せるっていう交換条件で見せてもらったから、『はい、どうぞ』というわけにはいかないな」

「そうか。生憎と、私もまだ新たなスキルは手に入れていないからな。今日のところは諦めるとしよう。運が良ければ、第6回イベントで見れるかもしれないからな」

「それがいい」

 

第6回イベントではPVP要素はないから、鉢合わせたプレイヤーと即席のパーティーを組んで協力することもできる。そこで、ペインの【エクスカリバー】を見れる可能性は0ではない。

 

「そんじゃ、俺はもう行く。もし第6回イベントで遭遇したら、その時は協力しあおう」

「あぁ、こちらこそ、その時はよろしく頼む」

 

ミィと軽く口約束をしてから、俺は雲菓子をすべて食べて立ち上がり、その場を後にした。

・・・ミィにはあぁ言ったが、やっぱ先に図書館に行こう。そこで、円卓の騎士の情報をできる限り集めておくか。




間を挟んでから次のイベントにいきます。

それと本編にはまったく関係ない話ですが、荒野行動で初めて1位を獲得できました。
やったぜ。
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