「ふぅ、こんなもんか」
アイテムがある場所をある程度記憶した俺は、近いところから順に回収しにいった。
成果としては、まずまずといったところだ。
【黄金の琥珀】
ギルドホーム設置アイテム・ジャングル限定アイテム。
ギルドホームに設置すると、獲得ゴールドが5%上昇する。
【百薬の苗】
ギルドホーム設置アイテム・ジャングル限定アイテム。
ギルドホームに設置すると、すべての状態異常を回復できるアイテム【百薬の樹液】を生成する木が育つようになる。
【力の砥石】
生産職専用ギルドホーム設置アイテム・ジャングル限定アイテム。
このアイテムを使用すると、耐久値の回復量が10%減少する代わりに、24時間の間【STR+20】を付与する。
【サンフルーツ】
食材・ジャングル限定アイテム。
使用すると、5分間の間【火耐性大】【火属性攻撃強化】を付与する。
【
近くにアイテム・宝箱があると反応する。
距離に応じて反応の強さが変化する。
個人で使う分には、断然【導虫】だろう。
【導虫】は蛍のような光る昆虫で、近くにアイテムか宝箱があると点滅してプレイヤーに教えてくれる便利アイテムだ。アイテムが近くなるにつれて、早く点滅するらしい。
装飾品だからどれか1つを外さなければならないのだが、最近使う機会がめっきり減った【目覚めの奇跡】を外すことにした。
戦闘時はともかく、探索で【目覚めの奇跡】を使うことは滅多にないし、【拡散】で仕留め損ねることもなくなったから問題ないと判断した。
【導虫】は方向こそわからないものの、距離がある程度わかるだけでも十分だ。
他のアイテムでは、設置アイテム3つはどちらかといえば他のメンバーに役立つ感じだ。
状態異常とデバフを無効化できる俺にとって【百薬の樹液】は不要だし、【力の砥石】はイズにしか使えない。【黄金の琥珀】も、金策という意味ではイズの【天邪鬼な錬金術師】のフォローにちょうどいい感じだ。
【サンフルーツ】は・・・機会があれば、ミィと物々交換しよう。カナデは支援がメインだから、使ってもそこまで変わらないだろうし。
今のところの総合評価としては、ギルドの役にはたったという感じだが、俺個人の観点では微妙なところだ。
もっとこう、ソロの戦闘で役立つ何かが欲しい。
せめて、俺が記憶した中では最後のところで、なにかしら収穫は欲しいものだ。
「えっと、たしかこの辺りだな」
若干危うくなりつつある記憶と【導虫】を頼りに、索敵もぬかりなくしながらアイテムがある場所についた。
俺の記憶が正しければ、この辺りにあるはず。【導虫】の反応からしても、付近にあるのは間違いない。
とはいえ、どこもかしこも木ばっかだから、見つけるのには苦労しそう・・・。
ザッ
「ん?」
周辺を探そうと足を踏みだしたら、足音に違和感を感じた。
何やら、硬いものの上に土とかを乗せたような、そんな感じの・・・。
「まさか・・・」
まさかと思いつつ、足元の土を払ってみると、そこには石でできたハッチのような扉があった。
「やっぱりな・・・ふんっ」
やはり思った通りだったと、持ち手の部分を持って扉を開けた。なかなかの重さだったから、もしかしたらSTRもそこそこ要求されるのかもしれない。
中を覗いてみれば、けっこうな深さの狭い階段があり、最低限の光源しかないこともあって奥の方はそこそこ暗い。
まぁ、俺は【千里眼】のおかげで昼間と同じくらい見えるけど。
ちらちらと念のため他のプレイヤーがいないか確認してから、中に入ろうと・・・
「・・・出てこい。いるのはわかっている」
入ろうと思ったのだが、背後に誰かの気配を感じて後ろを振り向いた。
誰なのだろうと思ったのだが、割とすぐにわかった。
なにせ、本人は木の後ろに隠れているつもりなのだろうが、赤いローブの端っこが隠しきれていない。
向こう・・・ミィも観念したようで、あっさり木の後ろから現れた。
「偶然だな、クラールハイト」
「今更、装えると思ったか?」
なんか、偶にメイプルが見せるドジに通じるものを感じた。
あくまで本人は真面目なんだけど、結果的にかわいらしい失敗になっている・・・みたいな。
「一応言っておくと、俺たちの他にプレイヤーはいないから」
「そ、そっか・・・」
他にプレイヤーがいないことを聞かされると、ミィは肩の力を抜きつつも、若干申し訳なさそうに話しかけてきた。
「それで、わざわざ隠れることもなかったと思うが?」
「えっと、なんかクラルがコソコソしてたから、隠れた方がいいかなって・・・」
・・・そう言われると、俺の方に非があったという風に思えなくもない気がするが・・・考えすぎか?
たしかに、他のプレイヤーがいないか確認してたのはたしかだし。
「まぁ、それだったら一緒に行ってみるか?なにかしらあるのは間違いないだろうし」
「えっと、いいの?」
「どうせソロ攻略中だったから、1人増えようが問題ない。むしろ、誘った俺が言うのもなんだが、ミィの方こそいいのか?他のメンバーがいるもんだと思っていたが・・・」
「今は別々に動いているところだから、大丈夫だよ。合流も、できればいいなって程度だし」
「それもそうか」
今回のイベントは、スタート位置はすべてバラバラで、パーティーを組んでいても同じ位置に転移されない。
マップもないから、最初から合流は諦めたようだ。
とはいえ、イベント期間が進んで大体の地形が把握されたら、合流に向けて動くこともできてくるだろうが。
「なら、一緒に行ってみるか」
「うん。よろしくね」
こうして、図らずも初日でミィとした「もし遭遇したら協力し合おう」という約束が果たされることになった。
アイテム探索系のスキルは地味にありがたい。
夢島ゼルダの貝がらセンサー然り、ドラクエのとうぞくのはな然り、痒いところに手が届く優れもの。
NWOでは職業の概念が薄いため、装飾品という形で出してみました。