「あぁ、そうだ。忘れないうちに出しておくか」
俺とミィの2人で階段を下っている途中で、俺はインベントリから【サンフルーツ】を取り出した。
「なにそれ?」
「【サンフルーツ】っていう食材アイテムだ。効果は火属性攻撃の強化と火耐性の増加。俺たちの方だと活かせるやつがいないから、交換条件でやろうと思ってな」
「へぇ~、それは嬉しいんだけど・・・今、渡せるような収穫はないよ?」
「別にそんなのは後でいいし、ぶっちゃけ、持ち逃げされてもそこまで痛くないから」
「そう。じゃあ、良さそうなものが手に入ったらあげるね」
「おし、交渉成立だな」
商談成立ということで、ミィに【サンフルーツ】を渡した。
「さて、今日のところはどうしようかな・・・ぶっちゃけ、収穫はもう十分だから、ここのアイテム次第で帰ろうか・・・」
「ちなみに、大丈夫な範囲でいいけど、何が手に入ったの?ていうか、クラルの周りにいる虫も、ここのアイテム?」
「あぁ。この虫は周囲にアイテムや宝箱があったら知らせてくれる優れものだ。他には、武器の攻撃力が上がる砥石に、取得ゴールド増加のインテリアと状態異常回復アイテムを生産する木の苗。だいたいこんなもんだ」
「えっ!?さすがに多すぎない?」
「偶然、一番最初にフィールドに入った記念品として、少しの間アイテムの位置を移すマップをもらってな。できる限り記憶して、順番に回った結果だ」
「へぇ~、運がよかったんだね」
「俺だって、まさか蝶の群れを1回吹き飛ばしただけで手に入れられるとは思ってなかったからなぁ・・・逆に言えば、運が良すぎたとも言えるか」
こんな感じで、奥に何があるのかまったくわかっていない状態だが、まったりと会話しながら奥へと進んでいく。
だが、おそらく半分ほど進んだところで、急に変化が訪れた。
「えっ、な、なに!?」
「これは・・・」
俺たちは特に何もしていないはずなのに、松明が急に普通の炎から紫の炎に変わったのだ。
後ろを振り向けば、松明の色が変わっているのはもちろん、いつの間にか入り口の扉は真っ黒い闇に覆われて見えなくなっていた。
「・・・もしかしなくても、思った以上にやばいところに来ちまったな、俺たち」
「ねぇ、今からでも戻ることって・・・」
「無理だな。入ってきた扉が、俺の【千里眼】でも全く見えない。入り口そのものがなくなったと考えた方がいい」
仮に確かめに戻るにしても、あの闇がどのような影響を及ぼすのかがわからない以上、やはり戻るのは得策ではない。
警戒心を引き上げながら、それぞれ武器を持って階段を下りていく。
松明の色が変わってから数分後、ようやく階段の一番下の扉へとたどり着いた。
「さて・・・開けるぞ」
「う、うん!」
俺とミィは決心を固めてから、2人で同時に扉を開け放った。
扉を開けた先に会ったのは、すべてが禍々しい紫で覆われた半球状の空間で、中央には紫の光があふれている穴があった。
まず間違いなく、真ん中の穴から何かが出てくる。
そう思った直後、中央の穴から光が噴き出した。
「えっ、なになになに!?」
「武器を構えろ!何か来るぞ!」
完全にパニックになっているミィをな叱咤しつつ、俺もすぐさま戦闘態勢をとった。
紫の光の奔流から最初に現れたのは、複数の巨大な紫の大蛇。次いで、紫の髪に2対の黄金の翼を携えた女性が姿を現し、最後に紫の蛇の下半身が現れた。
その半人半蛇の姿を見て、俺は世界的にも有名な女神の名が思い浮かんだ。
他の神々から迫害され、あらゆる英雄がその女神を討ち取ろうとし、そのことごとくを返り討ちにした邪神。
「まさか・・・ゴルゴーンか?」
俺たちの前に現れたのは、真正の英雄殺しの女神だった。
今回は短めで、次は本気を出します。
どうしようか悩んだ挙句、やっぱ出すことにしました。
こうなると、例のあの人のことも気になるでしょうが、もう少しお待ちください。