「あれは、なんでしょうか?」
「さぁ・・・」
アナちゃんがうちに問いかけてきたけど、うちもなんて言えばええのかわからんかった。
だって、傍から見ただけやと、ただただ踊ってるようにしか見えへんから、それ以上のことはなんも言えへんもん。
あの踊りにどういう意味があるかなんてわからんし、どっからどう見ても怪しいから進んで話を聞きに行こうとも思わん。
ただ・・・よくよく見ると、焚火の中に骨っぽいものが見えるような見えないような・・・。
これは、あれやろ?なんかの動物の骨やろ?決して、人の骨とかやないんやろ?
目の前の異様な光景に、ちょっとうちもあと一歩を踏み出せへん・・・。
とまぁ、うちはけっこうためらってたんやけど、
「ここでうじうじしていても仕方ありません。先に進みましょう」
「あ、ちょっ、アナちゃん!?」
アナちゃんはこういうのに物おじしないタイプやったみたいで、1人先に進んでもうた。
うちも慌てて後ろからついて行った。
『・・・、・・・。』
『・・・!・・・!』
そこで部族っぽい男たちもうちらに気付いたんやけど、何をしゃべってるのかは聞き取れんかった。
完全にうちの知らない言葉やったけど、それでもなんとなくは何を話しとったのかは察した。
だって、ぞろぞろと石の槍とか弓矢とかを持ってうちらに近づいてきたし。
「どうやら、敵対モブだったみたいですね」
「冷静な分析はええけど、アナちゃんはもうちょい様子見って言葉を覚えような!」
まさか、うちがクラルから注意されとることを、他の誰かに注意することになるとは思わんかった。
いや、うちも普段は先手必勝を心がけてるんやけどね。さすがに、こんなあからさまに怪しい部族っぽい連中を目の前にして何も思わないわけやない。
むしろ、アナちゃんはなんも思わんかったんかな?まさか、うちよりも好戦的やったり?
とはいえ、始まってもうたもんはしゃーない。
うちも槍を取り出して、駆け出した。
幸い、部族の連中の個々のステータスはそこまで高くないみたいで、早い段階でワンパンできるようになった。
うちの方はもう余裕になってきたから、アナちゃんの方の様子も見てみた。
やっぱ、自分から不遇な武器を使っているだけあって、PSもなかなかのもんやった。
見た感じスキルは使ってる様子はあらへんのに、自分の体ごと回転させて円運動も合わせて斬りつけて、投擲する鎖分銅も正確に敵に当てとるし、体術スキルも取っとるのか、鎌を投擲してから素手でもやり合っとった。
ていうか、あの鎖分銅ってどこまで伸びるんや?少なくとも50mくらいは伸びとったけど。
そんなこんなで、数の暴力で襲ってきた部族の連中も、うちとアナちゃんによってあっちゅうまに片付いた。
「う~ん、思ったより強くあらへんかったなぁ」
「単純に、相性の問題では?シオリさんはむしろ、一対多数向けのステータスですし」
「あー、言われてみればそうかもなぁ」
実際、うちの苦手な部類は一撃か数発で倒せない耐久お化けか、走る隙がないくらい密な包囲網くらいやからなぁ。
ちょっとやそっと数が多いくらいなら、むしろすぐに数を減らせるし。
「そういうアナちゃんは、1対1が得意なん?」
「いえ、特に得意というのはないです。どれも同じくらいこなせることができるって感じですね」
たしかに、今くらいは対処できとったけど、最初に会ったときはだいぶ危なかったからなぁ。
「っと、それよりもや。そのアナちゃんの鎖分銅って、どこまで伸びるん?うちが見た限り、けっこうリーチあったけど」
「ステータス依存です。実はこれ、偶然ボス級モンスターがドロップしたものでして、装備スキルもあるんですよ」
「それが、鎖分銅のリーチを伸ばすやつってことやな」
ステータス依存かぁ。どのステータスかはわからんけど、場合によっては100mくらい伸びるかもしれへんなぁ。
「それよりも、宝箱が出現しましたから、早く確認しましょう」
「あ、ほんとや」
焚火の方を見てみたら、いつのまにか宝箱が置いてあった。
あの中身が、ここの報酬ってことやな。
「それじゃあ、開けるで」
「はい、お願いします」
うちは宝箱に手をかけて、アナちゃんに確認をとってから開けた。
中に入っとったのは、スキルの巻物やった。
「なんや、スキルなんか。まぁ、装飾品やと枠が圧迫するから、別にえぇんやけど」
「ただ、効果はよく確認した方がいいですね」
とりあえず、取得するかは中身を見てからやな。
【贄と怨霊の連環】
任意で2つのステータスを選択し、モンスターかプレイヤーを倒すごとに片方が上昇、片方が低下する。
効果の最大値は100。
納刀、ログアウト、死亡によって効果はリセットされる。
なるほど、デメリットのあるステータス増加っちゅーことか。
ていうか、思った以上に禍々しい名前やな。なら、焚火の中にある骨は・・・いや、考えんようにしとこ。
それに、うちなら取得しといて損はあらへん。
「よっしゃ、うちは取得しよ」
「私は、やめておきます。犠牲にできるステータスがないので・・・」
まぁ、アナちゃんみたいな正統派ステータスならそうなるやろうな。
でも、うちならAGI上昇とINT低下にすれば、まったく問題あらへん。
にしても、
「う~ん、正直、クラルに取得させたい気はするなぁ」
「クラルさんに、ですか?」
「うん。だって、クラルのVITは0やし」
今のところ、クラルが死亡したのは例の白鬼だけで、それ以外はペインですらクラルを倒すに至っとらん。
とはいえ、アナちゃんからもらうのは気が引けるしなぁ・・・。
せやから、やっぱこの話はなしで・・・
「それでしたら、私は構いませんよ?」
「え?そうなん?」
「使えないスキルの巻物を持っていたところで、どうしようもありませんから」
本人からあっさり許可をもらったってことで、時間があるときにギルドホームでクラルに渡すことになった。
アナちゃん曰く、
「クラルさんからすれば、私は見ず知らずのプレイヤーですからね。せめて、直接会って渡しておきたいです」
ってことらしい。
アナちゃん、真面目ちゃんなんやなぁ。
これは、クラルに会うときが楽しみや。
最近、といっても先月末の話なんですが、ボーダーランズというFPSゲームの詰め合わせがスイッチで発売されたのをきっかけに購入してドはまりしたので、その中に出てくるスキルを参考にしてみました。
ちなみに、ゲームの方だと威力上昇に加えてブレもひどくなる仕様なので、跳弾するスキルがあっても自分にはあまり使いこなせませんでした・・・。