イベント開始から3日目、シオリから会わせたい人がいるからとギルドホームで待ち合わせることになった。
これは、あれか?またどこかで美少女を捕まえたのか?
シオリが美少女好きだからか知らないが、なぜかシオリはかわいい女の子をよく引き寄せる。
こう言っちゃなんだが、メイプルやサリーも客観的に見て可愛い部類に入るしな。
幸い、今日は日曜日、時間には余裕がある。
ギルドホームに向かう途中で雲菓子を買いつつ、ギルドホームの椅子に腰かけてシオリを待つ。
シオリが来たのは、俺がギルドホームに着いてから5分後くらいだった。
「やっほー、待たせてもうた?」
「気にすんな。アイテムを整理して待っていたところだ」
昨日はイベントマップから帰ってからそのままログアウトしちゃったからな。暇つぶしも兼ねて売る分とギルメンにあげる分、自分で使う分でわけていた。
まぁ、自分で使う分はあまりないけどな。プレイスタイルが尖っているせいで、有効活用できるアイテムや装備品がそこそこ限られちゃうんだよな。
「それで、会わせたい奴がいるって?」
「そうなんよ。アナちゃん、こっちや」
「失礼します」
シオリが名前を呼びながら手招きすると、黒いローブに身を包んだ紫髪の少女が現れた。
「紹介するで。昨日会った、大鎌使いのアナちゃんや」
「大鎌?そんなの使ってる物好きがいたのか」
正直、鎌を使うくらいなら斧の方が断然使いやすいし、形状の問題でたたきつけることもできないから威力ものりにくい。
だから、俺も最初の初期装備選択では最初から除外したし、他で大鎌を使っているプレイヤーも見かけたことがない。
一応、掲示板を見る限りは興味本位で使ってみたプレイヤーもいたみたいだが、その使いにくさからほぼほぼキャラを作り直したみたいだった。
だが、アナは見た限り俺たちとほとんど変わらないレベル帯のように見える。
というより、第5層まで来ている時点でそれなりにプレイしているのはたしかだ。
まさか、そんなマイナー武器でここまでやりこむとは。
「初めまして。シオリさんがほとんど言ってしまいましたが、大鎌使いのアナです」
そんなアナちゃんは、丁寧にお辞儀して挨拶をしてきた。
「あぁ、どうも。弓使いのクラールハイトだ。親しい奴はクラルって呼んでる。付け加えるなら、最近は弓だけじゃなくて刀も使っているな」
むしろ、ここ最近は弓を使う機会がめっきり減ってしまった。
だって、近距離は長刀が活きるし、中・遠距離も【
弓を使うのは、【拡散】や【速射】で上空から広範囲爆撃をするときくらいで、戦闘の最中に弓を取り出すことは少ない。
実際、弓よりも銃の方が攻撃の出だしが早いから、しょうがないことではあるけどな。
「それで、わざわざ俺に用ってなんだ?」
「はい。実は昨日、シオリさんと一緒にイベントマップに行ったんですが、その時に私にはあまり活用できないスキルを取得したので、せっかくならクラールハイトさんにあげようと思ったんです」
「ふ~ん?ちなみに、どんなスキルなんだ?」
「これはですね・・・」
アナからスキルの説明を聞いた限り、たしかに一般のプレイヤーにはあまり縁がない、ペインのようなごく一部の上級者か俺らみたいな異常プレイヤー向けのスキルと言える。
「だが、いいのか?たしかに、俺は一般プレイヤーからすれば有名人だろうが、今日が初対面だぞ?」
「気にしないでください。クラールハイトさんのためというよりは、シオリさんへの恩返しのようなものなので」
「え?そうだったん?」
どうやら、シオリは詳しいことまでは聞かされていなかったようだ。
どういうことか尋ねると、もともと昨日、シオリに危ないところを助けられたのがきっかけで一時パーティーを組んだようで、イベントアイテムのお裾分けで済ませようとしたものの、シオリから喫茶店での奢りと今回のパーティーの提案もされたことから、さらに何かしらお礼をするべきだと考え、シオリが「クラルによさそう」と言っていたことからも、この発想になったということらしかった。
なんというか、生真面目が服着て大鎌背負ってるみたいな感じだな。
「なんや、そこまで気にせんでもよかったのに」
「お世話になった人に何かしらお礼をするのは当然です」
「うちに直接ってわけやないけどね」
むしろ、シオリに何か直接いるか?美少女と一緒にいるだけで満足する奴相手に。
「まぁ、そういうことなら遠慮なくもらおう。とはいえ、俺もただとは言えないから、いくらかゴールドは出そう。そうだな、そのスキルの相場なら・・・10万が妥当か?」
「そ、そこまではいいです」
「いや、それくらいの価値はある。少なくとも、俺からすればな」
デメリット有りのステータスバフといえ、俺からすればデメリットはあってないようなものだ。純粋にステータスを100上げることができるスキルと考えれば、むしろもう少し多めに払ってもいいくらいだ。
とはいえ、本人はデメリットありきと考えているようだから、ある程度抑えめにしといた。
「そうですか。なら、これで商談成立ということでいいですか?」
「あぁ、構わない」
こうして商談は成立して、俺はアナに10万ゴールドを渡してスキルの巻物を受け取った。
そして、その場で巻物を開いてスキルを取得した。
「ふむ・・・これで、広範囲爆撃の重要性が上がったな」
このスキルは、討伐数が100になってからが本領を発揮するだ。逆に言えば、どれだけ早く100体倒すかによって後の展開が変わってくる。
とはいえ、俺のスキルってステータス上昇の類が少ないから、シオリほど劇的に変わるってこともないだろうな。
「それじゃあ、私はこれで」
「おう、もてなしてやれなくて悪いな」
「構いません。それでは、失礼しました」
最後まで淡々とした口調で、アナはギルドホームから出て行った。
「・・・なんというか、ザ・真面目って感じの子だったな」
「そうやなぁ。でも、喫茶店でスイーツ食うてるときは可愛かったで?」
「そんなことは聞いてない」
そんなことに興味あるのはシオリだけ・・・いや、ワンチャン、イズも興味を持ちそうだな。シオリの影に隠れているが、イズも立派な美少女好きだし。
俺も、イズが時折、自分で制作した服なんかをメイプルたちに着せるのを見たことがある。というか、見させられた、という方が正しいかもしれないが。
まぁ、それはさておきだ。
「それじゃあ、俺は行ってくる」
「せやな、うちも行こ」
今日もまた、イベントでアイテムを荒稼ぎすることにしよう。
つい最近、投稿ペースを落とすと言ったばかりなのに、突然ですが第6回イベントを区切りとしていったん投稿を中断しようと思います。
なぜかと言われれば、単純にモチベーションが低下してきたからです。
ここ数か月、防振りの原作の方が更新される兆しが見えず、こっちでもなかなか面白いネタが思い浮かばなくなってきたことから、防振り原作の投降再開かアニメ2期開始までを目安に更新を停止することにしました。
本作を楽しみにしている読者には申し訳ありませんが、モチベーション低下による話の質の低下を天秤にかけて、このような判断をしました。
今後の予定としては、今話に加えてモミジ編を数話、イベント終了という流れにするつもりです。
もちろん、モチベーションが戻り次第復帰するつもりなので、それまで待っていただければ幸いです。