弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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第5層ボス

3月の初め頃。ようやく第6層が実装された。

すでに先遣隊からボスの情報は出ているため、俺たちも攻略することになった。

そして、

 

「そういや、俺とモミジはアナと一緒に戦うのは、これが初めてだな」

「はいっ。よろしくお願いしますね、アナさん」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

今回は、俺、シオリ、モミジにアナを加えたメンバーで行くことになった。

アナの戦闘は、機会に恵まれなくて俺とモミジはまだ見ていない。

これが初めての共闘だ。

 

「さて、今回のボスは雲でできたクラゲ、状態異常を何種類か使うようだ。物理攻撃は有効、俺たちにはあまり関係ないが、防御貫通攻撃も無しとのことだ」

「う~ん、メイプルちゃんがおったら楽なんやけど・・・」

「もうすでに行ってしまいましたからね」

 

俺たち以外の8人は、すでに階層ボス攻略に出発している。

俺たちもなんとか集まれたものの、少し乗り遅れてしまった。

 

「別にメイプルを待ってもいいが、さすがに往復は時間がかかるに決まっているし、待つのも癪だ。このメンバーで行こう。幸い、ボスはそこまで火力は高くないみたいだから、よほど油断しない限り死なないだろう。ていうか・・・」

「うちがさっさと終わらせてもええしな」

 

単純な火力で言えば、シオリはユイとマイと同等以上。シオリに頼んでさっさと終わらせるのも1つの手だ。

なんなら、飛行型なら俺の弓矢も存分に活躍するし。

ただ、

 

「そうなると、モミジとアナの出番はほぼなくなっちゃうんだよな・・・」

 

俺とシオリで出番を独占するのも、俺としては忍びない。

だから、2人もできるだけ戦えるようにしようと思ったんだが・・・

 

「気にしないでください。それが一番有効なのは、私も分かっていますから」

「私も、楽できる分には構いません」

 

モミジは全面的に俺の提案を受け入れ、アナも「むしろ楽させてください」と言わんばかりの態度のようだ。

そこまで言うなら、俺も気兼ねする必要はない。

 

「そんじゃ、方針も決まったことで、さっそく向かうか」

「よっしゃ!」

「はい!」

「はい」

 

三者三様に返事をして、俺たちはダンジョンに向かった。

 

 

* * *

 

 

クローネとフウの背中に乗って移動した俺たちは、あっという間にダンジョンにたどり着いた。

そして、前衛にアナ、中衛に俺とシオリ、後衛にモミジという隊形になった。

 

「ボスはお2人に任せるので、道中は私たちに任せてください」

 

とはアナの弁だ。

さすがに、全部を俺たちに任せるようなことはしないつもりだったらしい。

まぁ、そのつもりになれば俺だけでもシオリだけでも道中は蹂躙できるからな。

そういうことで、サイドから近付いて来た分だけ俺が撃ち落とすことになったわけだが・・・

 

「・・・アナ、めちゃくちゃ強くないか?」

「そうやなぁ・・・確実にイベントの時より強いわ」

 

アナが鎖鎌によるリーチをふんだんに使った広範囲殲滅で、ほとんどのモンスターを俺たちに近づけさせなかった。近くの敵を大鎌で刈り取るのはもちろん、鎖分銅による中・遠距離攻撃から大鎌の投擲からの鎖分銅による広範囲攻撃によって俺たちの担当する分まで根こそぎ倒していった。

モミジの方も、イベントで手に入れた短剣が猛威を振るっているおかげで単独で複数のモンスター撃破できているが、撃破数は圧倒的にアナの方が上だ。

 

「すごいなぁ、アナちゃん。いつの間にこんなことができるようになったん?」

「シオリさんと一緒に探索した後です。あの後、私だけでも対多数戦闘が行えるように練習しました」

「なるほどなぁ・・・」

 

やはりと言うか、アナは努力を積み重ねるタイプの一般的なプレイヤーのようだ。断じて不可思議行動からのとんでもスキルのコンボをかます大盾使い(誰かさん)や圧倒的PSで始めた時から理不尽回避しまくる短剣使い(誰かさん)とは違う。使う武器はマニアックだが、最近【楓の木】に失われかけてた、限りなく平凡に近いプレイヤーだ。まぁ、俺も盛大に人のことは言えないが。

それはともかく、絶対に最後の良心であるアナを脱退させるわけにはいかない。

 

「シオリ、絶対にアナをギルドから逃がすような真似はするなよ」

「わ、わかったて」

 

ひとまず、一番原因になりうるシオリに小声で忠告をしておいた。

そんなことを話しているうちに、あっという間にボス部屋までたどり着いた。

 

「この面子だと、バフはかけられないか・・・」

「いや、いらへんやろ」

「そりゃそうだが、お前だって一撃離脱が基本だから結局時間がかかるだろ」

 

走っている最中しかろくに攻撃できないシオリは、攻撃しては離れてを繰り返すため、一撃で仕留められないボス相手には多少てこずってしまう。

そう思っていたが、何やらシオリには秘策があるようで。

 

「ふっふっふ、それは前までの話や。今のうちは、一味違うで」

「なんだ、そうなのか?」

「どうせやから、うちだけで終わらせたるわ」

 

何やら自信満々なようなので、ひとまず最初はシオリに任せることにした。

そして、ボス部屋に入ると、雲でできた部屋の天井が膨らみ始め、その部分がちぎれて触手が生えてきた。

あれが、今回の階層ボスか。

 

「んじゃ、さっさと終わらせてくれよ」

「はいはい、うちに任しとき!【超加速】!」

 

そう言って、シオリは目で追いきれないほどのスピードで疾駆した。

あっという間に距離を詰めたシオリは、触手を駆け上ってあっという間に本体に近づいて攻撃した。

だが、今まではそこから離脱していたが、今のシオリは離脱せずにクラゲに張り付き、そのまま連続で攻撃し始めた。

その圧倒的な暴力を前に、結局クラゲは10秒足らずで倒された。

クラゲを倒し終えたシオリは、俺たちの前に立ち止まってドヤ顔を決めた。

 

「どや。これが進化したうちの戦い方や」

「なるほどな。あのスピードで小回りを利かせるようにしたのか」

 

おそらく、カーブの直前に足を地面にグリップを利かせるようにして深く踏み込み、できる限り慣性に抗うことであの小回りを実現したのだろう。

結局、こいつもこいつでどちらかと言えば努力はする人間だってことだな。

 

「結局、俺は何もしないまま終わっちまったが・・・まぁ、楽できたくらいに考えるか。さっさと第6層に向かおう」

 

ぶっちゃけ、ちょっと暇だったのは否めないが、たまにはこういうのもいいだろう。

そう思いなおすことにして、第6層に続く道を進んだ。

しばらく歩き、新たな階層に出口をくぐった。

 

「おぉ~・・・」

「なるほどな。こう来たか」

 

俺たちの前に広がるのは、一面に広がる荒野に連なる墓標に、霧がかった薄暗いエリア。

第6層は、ホラーチックな階層だった。




台風が接近して気圧が低いからか頭痛がやばい・・・。

【楓の木】ほぼ唯一の完全な良心枠、アナ。
たぶん、アナちゃんを劇的に強化する機会は少ないと思います。
あくまで、完全な良心枠を目指すつもりなので。

シオリの攻撃は、ダンまちの外伝の方でフレイヤ・ファミリアの猫がやってたのをモチーフにしてみました。
fateでもそうですけど、最速キャラは槍使いが鉄板なんですかね?
他のそう言うキャラを知らないのでなんとも。
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