弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

127 / 134
第6層

ボスを突破してから街に向かう道中、俺は念のためにあることを確認しておいた。

 

「ちなみに、この中でホラーがダメとか苦手だったりする人は?」

「うちはよゆーや」

「少し苦手ですが、倒せるなら別に」

「私は全然」

 

どうやら、ここにはホラーに耐性がまったくない人物はいないようだ。モミジだけ少し脳筋理論が入っているが、頼もしいことに変わりはない。

 

「そういうクラルさんはどうなんですか?」

「俺も全然。ていうか、シオリとよくゾンビゲーやってたから」

 

なんだったら、嬉々としてゾンビを殲滅してたよ。

 

「となると、後は他のメンバーがどうかだが」

「大丈夫なんじゃないでしょうか?あまりそういう話は聞いてませんし」

 

たしかに、クロムやカスミ、イズは熟練ゲーマーだし、カナデやユイマイもどちらかと言えばそう言う雰囲気を楽しむ節もあった。

メイプルも、まぁダメージが通らないなら平気そうだし、サリーだっていろいろとゲームをやりこんでる・・・。

 

「・・・」

「ん?どうしたんや、クラル?」

「いや、なんでも」

 

シオリに曖昧に返したが、思い返してみれば、前のオフ会の際に俺の部屋にあるゲームをやろうってなった時に、例のゾンビ系ゲームに手を伸ばしかけたところでサリーがビクンッと肩を震わせていた気がする。あの時はそういう気分じゃなかったから選ばなかったが、もしかしたら、サリーは実はホラーが苦手だったりするのだろうか?

なんか気になるし、後で本人かメイプルに聞いてみよう。

そんなことを考えながらも、街に到着した。

やはりと言うか、外観はどれも廃屋のようにボロボロだ。いや、いっそ廃虚そのものと言っても過言ではないか。

そして、やはりと言うべきか、ギルドホームも外観はかなりボロボロだった。

 

「さ、さすがに内装は大丈夫だよな?」

「いや~、大丈夫やと思いたいな~・・・」

「シオリさんも、ちょっと自信なさげじゃないですか」

「とにかく、入ってみないことにはわかりません」

 

アナの言う通りだ。

だから、意を決して扉を開け放った。

中は、今まで通り住みやすい快適な空間が広がっていた。

さすがに、中までボロボロの廃屋状態にするほど運営も鬼畜ではなかったらしい。

あと、意外にもメイプルたちよりも俺たちの方が早かったようで、他に姿はない。

考えてみれば、【暴虐】を使っていないメイプルは圧倒的に鈍足なのに対し、俺たちは移動も攻略の最中もサクサク進んだから、攻略スピードに差が出るのも仕方ない話ではあるか。

 

「それじゃあ、これからどうするん?」

「今まで通り、下調べからだな。俺は、ここで他のみんなを待ってる」

「わかったわ。ほんじゃ、2人も行こか」

「はい!役に立つ情報を集めてきます!」

「私は、適度に見て回るくらいにしておきます」

 

そう言いながら、3人は6層の街に消えていった。

3人が出て行ってから待つこと十数分、メイプルたちもギルドホームにやってきた。

 

「わっ。クラル君、もういたんだ!」

「まぁな」

「さすがだなぁ。先に行った俺たちよりも早く攻略するとか。そんなにアナちゃんは強かったのか?」

「あぁ。なんというか、クロムとかカスミとか、ペインに近い堅実的な強さだった。それでいて、努力を怠らない」

「なるほど。そりゃあ最高だ」

 

クロムも、ちらりとメイプルを見てからそんなことを言うあたり、これ以上心臓とか胃とかに負荷をかけないアナの存在は大きそうだ。

 

「それで、他の3人は?」

「街を見に行った。俺もこれから出かけようと思う」

「そうか。んじゃ、俺もギルドホームの中を見て回るとするか」

 

クロムも、他のメンバーに少し遅れてロビーから出て行った。

だが、俺はまだ動かない。

それを不審に思ったのかは知らないが、サリーが話しかけてきた。

 

「えっと、クラル?出かけるんじゃなかったの?」

「あぁ、これから出かけるつもりだぞ?だが、今とは言ってない」

「そう・・・」

 

そう言って、じっと俺の眼を見るサリー。

俺も負けじとサリーの眼を見据える。

そんな謎のにらみ合い・・・というか、何かを懇願するかのようなサリーに対して、俺はただただ無表情でサリーを見ているだけだが。

さすがにこれ以上は他の誰かが戻ってくるかもしれないから、俺から先に折れることにした。

 

「それじゃあ、そろそろ行くとするか」

「そっか。じゃあ、いってらっしゃい」

「あぁ。それとな、別に無理してまで見栄を張る必要はないと思うぞ?」

 

そう言うと、ビクッ!とサリーの肩が震えた。

 

「・・・もしかして、知ってる?」

「知ってるというか、気づいてた。前のオフ会で、俺がゾンビゲームに手を伸ばそうとしたときにあからさまに怯えてたし」

「ぐっ、あの時か・・・ちなみに、シオリは?」

「バレてないだろう。サリーの方は見てなかったし」

「そっか・・・じゃあ、7層が実装されたら戻ってくるから・・・」

 

今まで相当無理してたのか、サリーは力のない笑みを浮かべながら逃げるようにログアウトしていった。

 

「クラル君って、案外いじわるだったりするのかな?」

「俺にまで遠慮しなくていいっていう親切心のつもりだったが・・・逆効果だったか?」

「たぶん」

 

そうか、結果的には、ただサリーに無理をさせてしまっただけになってしまったか。

もう少し気を遣うようにしよう、うん。

 

 

* * *

 

 

サリーへの気遣いを考えるようにした後、俺も6層の街を見て回ることにした。

とはいえ、建物のほとんどが廃屋であるせいか、ホラーに耐性のある俺でも少し気が滅入る。

それに、

 

「っ・・・またか。鬱陶しいな・・・」

 

廃屋を通り過ぎるたびに、首筋を生暖かったり冷たかったりする風が撫でるのが鬱陶しい。

街の中だから気にする必要はないと思うようにしているが、どうしても気になってしまう。

 

「やっぱ、モンスターもアンデッドとかがメインになるんかね・・・」

 

店を確認してみれば、除霊の札や清めの塩みたいなアンデッド特攻らしきアイテムもそれなりにあった。

 

「ゾンビとかスケルトンはともかく、ゴースト系とか物理が効かなさそう・・・ん?そう言えば・・・」

 

ふと、今装備している長刀に目を向ける。

こいつを手に入れた時に戦った佐々木小次郎も、どちらかと言えば幽霊に近い存在だった。

だとすれば、あれと同じような存在が他にもいるのでは?

 

「ふむ・・・怪しいところを徹底的に洗ってみるか」

 

5層では、飛躍的な成長やスキルの取得はなかった。

だから、そこでの遅れを取り戻すくらいのものは手に入れなければ。

 

「まずは、こことここ、あとここも・・・」

 

まずは、何かありそうなところに目星をつけよう。

それから、しらみつぶしに探していこう。




ツイッターで予告しそびれました。
元々投稿できると思っていなかったんですが、思ったより手が動いて完成したので投稿しました。

とりあえず、クラルとシオリを含めた4人ほどを強化する予定。
たぶん、気まぐれで追加することになるとは思いますが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。