弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

13 / 134
第1回イベント・クラル編2

「メイプル・・・マジか・・・」

 

イベント開始から2時間、俺の撃破数も400近くになり、それなりにいい調子だと思っていたら、大盾のメイプルが3位になっているという衝撃的な事実がアナウンスによって明らかにされた。

本当に、早めにメイプルを諦めてよかったな・・・下手にメイプルを狙っていたら、俺も倒されていたかもしれない。

だが、過ぎ去った危機はともかく、このままだとシオリにどつかれかねない。シオリがどこにいるのかはわからないが、おそらくそれなりにポイントを稼いでいるところだろう。

やはり、上位2人のどっちかを狙うとしよう。

メイプル?論外だ、論外。

さて、一番近くにいるのは・・・

 

「・・・ははっ、俺は運がいいな」

 

ちょうどこの荒野に、1人いた。どうやら、今日の俺はツイているらしい。

さっそく、狙いのプレイヤーがいる場所に移動した。

 

 

* * * * *

 

 

移動して数分、目当ての場所についた。

そこには、すでに大勢のプレイヤーが集まっている。

狙いは、俺と同じだろう。

 

「見つけたぞ、ペイン・・・」

 

現在、ランキング1位のペインだ。

すでに50人近いプレイヤーに囲まれているが、後ろに目がついているかのように躱し、いなし、逆に斬り伏せていく。さらに外周を囲うように魔法使いや弓使いも攻撃をしているが、それすらも避けている。

だが、これはおそらく第六感のようなものではないだろう。

遠目で見ればわかるが、ペインは動き出す瞬間に素早く周囲を見渡して、攻撃を仕掛けようとしているプレイヤーを一瞬で判別している。後ろから不意打ちを仕掛けてくるプレイヤーも、おそらく足音で察知しているんだろう。

理不尽なステータスではなく、理にかなった動きによる強さだ。

であれば、俺にも勝機はある。

先ほどから周囲のプレイヤーには抜け目なく視線を向けているが、今来た俺には少しも向けられていないし、注意を向けている様子もない。

俺の方も完全に身を隠しているが、マップで大体の動きは確認できる。

狙うなら、その隙を突いた1発しかない。完全な不意打ちになる以上、1発で仕留めなきゃ他に持っていかれる可能性もあるし、2発目以降の成功率も下がる。

俺はゆっくり息を整えて、手に片手剣を持った。

そして、目を閉じ、音で攻撃の気配を探る。魔法の着弾はもちろん、足音や剣戟の音、はてはプレイヤーの声まで余さず聞き取る。

全ての音を聞き分け、攻撃の合間の瞬間をとらえるために集中する。

ペインに奇襲を仕掛ける、最高のタイミングは・・・

 

「今!」

 

すべての音が消え去った瞬間に、俺は勢いよく飛び出してペインの頭上に躍り出た。

弓を引き絞り、ペインの頭部に狙いをつける。

ペインの方は、俺が弓で片手剣を構えているという事態に驚愕し、少なからず表情に動揺の色が見える。

その隙を逃さず、俺は片手剣を放った。

 

「このっ!」

 

だが、さすがは1位になったトッププレイヤーと言うべきか、すぐに立ち直って長剣を跳ね上げ、俺の放った片手剣をはじき返した。

だが、それこそが俺の狙いだった。

俺の片手剣をはじいた時、ペインはほぼすべての意識を片手剣に向けており、俺から一瞬意識が外れていた。その隙に俺は体をひねり、ペインの視界から姿を消してすぐ後ろに着地し、右手に短剣を取り出した。

それでも、ペインは俺の動きを見切っており、振り向きざまに長剣を薙ぎ払おうとしていた。

レベルやステータスは、ペインの方が上。故に、攻撃はペインの方が速く届く。

ペインの振り向きざまの一撃は、見事に俺の首を斬り飛ばす位置に捉え、そのまま振りぬいた。

ペインは、一瞬安堵の表情を浮かべ、

 

「残念だったな」

 

()()()()()()()()()さらに加速し、短剣を2閃してから蹴り飛ばし、さらに炎の矢で追撃して、ペインのHPを削り切った。

吹き飛ばされたときのペインの表情は、何があったかわからないという表情だった。

たしかに、ペインの一撃は俺に届いた。

だが、俺にはこの状況を覆すスキルを持っていた。

 

【空蝉】

1日に1度、致死ダメージを無効化する。

1分間【AGI】が50%上昇。

取得条件

レベル35到達までノーダメージでいること。

 

このスキルがあったからこそ、俺はあえて避けずに突っ込んでペインを斬り伏せたのだ。

この後、アナウンスの通り、俺にペインのポイントの3割が譲渡され、一気に俺が1位になった。

ていうか、見てみればシオリがいつの間にか2位になってマップに表示されていた。向こうも向こうで、多分2位のやつを倒したのか。シオリもシオリで奮戦しているみたいだな。

さて、とりあえず、

 

「お前ら、まとめて俺のポイントになっとけ」

 

ペインがかなりの数を減らしてくれたおかげで、残りは20人弱。これくらいなら、俺でも簡単に片づけられる。

その後、俺はこの場に集まっていたプレイヤー、この後に集まってきたプレイヤーをすべて返り討ちにし続けた。

ペインを狙うの、時間ギリギリにした方がよかったかな。




お知らせ:【竜ノ~】のスキルの名前を【黒竜ノ~】に変更しました。

それと、今夜もう1話投稿予定です。

*「ペインが簡単にやられすぎ」という意見があったので、展開にもう一ひねり加えました。それに伴い、クラルのレベルも30から35に引き上げました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。