弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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邂逅

第1回イベントが終わった翌々日、俺とシオリはいつも通りNWOにログインした。

すると、周囲から一斉に視線を向けられる。第1回イベントで俺もシオリもずいぶんと有名になったものだ。

ちなみに、イベントでもらった記念品は金のメダルで、装飾品でもなければ持っているだけで何か効果が発動するような類でもなく、本当にただの記念品という感じだった。

ついでに、昨日さっそくペインと会ったが、決闘はいつか来るだろうPvPイベントまでとっておくことになった。なんとなく、野良試合で決着をつけるのがシオリ的にはいまいちだったらしい。

その後は、第2層に続くダンジョンを攻略した。

巨大な鹿がボスだったのだが、シオリの【速度中毒】による強化からの【疾風】の怒涛の連打ですぐに終わってしまい、味気ないものになってしまった。俺もちょくちょく援護したが、あってもなくても変わらなかったと思う。

そして今日、シオリがいつも以上にウキウキしていた。

なぜなら、少し前にメイプルとL〇NEのIDを交換したのだが、メイプルからメッセージが来たのだ。

その内容が、

 

『今日、私の友達がゲーム解禁されたって言ってたから、一緒にやろ!』

 

というものだった。

これにシオリは「新たな美少女と仲良くできる!」と勝手に妄想を膨らませており、ちょっと危ない笑みを浮かべている。

いざとなったら、俺が力づくで引きはがそうと決心すると、メイプルからフレンド機能のメッセージが届いた。内容は、ログインしたから来てほしいというものだ。

 

「よっしゃ!いくで、クラル!」

「あんまはしゃぐな」

 

すでに全速力で突撃しそうなシオリの首根っこを掴みながら俺も移動を始めた。

指定された場所は、いつもメイプルが使っているという宿屋の前だ。

 

「それにしても、いったいどんな娘なんやろなぁ・・・はよ会って愛でたいわ」

「ほどほどにしとけよ。初対面の相手に抱きつくとか、普通にセクハラだからな」

 

目的地に近づくごとに、ないはずの俺の胃がキリキリ痛くなってくる。

なんだろう。なにか嫌な、というか、妙な予感がする。

シオリがなにかやらかすのだろうか?

もやもやを抱えながらも歩いていると、目的地の宿屋の前に到着した。

メイプルも俺たちに気が付いて、手を振って呼びかける。

 

「あっ、おーい!シオリちゃーん!クラルくーん!」

「メイプルちゃん!うちが来た・・・で・・・」

 

シオリが真っ先に飛び出そうとすると、メイプルの隣にいた人物を見て硬直する。相手の方も、俺たちが誰なのか察した様子で、こっちも驚いた様子で固まっている。

最初に声をあげたのは、シオリの方だった。

 

「な、なんであんたがここにいるんや!しらみムグッ!?」

「はい、ストップ。ここで本名を叫ぶんじゃねぇよ」

 

とっさにシオリの口をふさぎながらも、俺はもやもやの正体がわかった。

なぜなら、俺たちはメイプルの友達だというその女の子を知っていて、なおかつそれなりに因縁があったから。

メイプルが、俺たちの様子がおかしいことに疑問を持ち、遠慮がちに尋ねてきた。

 

「えっと、知り合いだったの?」

「ゲームの大会で何度も会っている、よく言えば永遠のライバル、悪く言えば仇敵ってところだ」

 

その少女の名を、白峰理沙(しろみねりさ)。いろいろなゲーム大会の上位常連で、シオリも何度か対戦したことがある。幸か不幸か、俺とは縁がなくて1度も戦ったことがないが、最初の頃はシオリに何度も黒星をつけた、かなりの強者だ。

俺が特訓をつけてからはシオリが勝つようになったが、ゾーンを使えるシオリに真っ向から戦える、数少ない人物でもある。

まさか、メイプルのリア友だとは思っていなかったが。

 

「んで、できればそっちの名前を教えてくれないか?ここで本名を言うわけにもいかないだろう。っと、俺はクラールハイトで、こいつはシオリだ」

「・・・あっ、え、えぇ、私はサリーよ」

 

なるほど、“理沙”をひっくり返して“サリー”か。わかりやすくていいな。

 

「で?どうしてメイプルと知り合っているの?」

「このバカがメイプルを見かけて突貫したからだ。メイプルも、あの時は迷惑をかけて悪かったな」

「べ、べつに迷惑じゃなかったよ!」

 

メイプルの健気さが、本当に心に沁みる。このまま良い娘に育ってほしいものだ。

そんなことを話していると、ようやくシオリが俺の拘束から抜け出した。

 

「ぷはっ、はぁ、はぁ。な、なんでし・・・サリーがうちのメイプルちゃんと友達なんや」

「なんでって、幼馴染みだからよ。家もそこそこ近いし、学校も同じだし」

「くぅ、羨ましい・・・うちはここでしかメイプルちゃんを愛でられないっちゅうに・・・サリーは毎日リアルで愛でることができるんか・・・」

「ちょっと、人聞きの悪いこと言わないでくれる?」

 

そろそろ、シオリが謎の境地に至ろうとしている。

さっさと話題転換したほうがいいな。

 

「それで、メイプル。これからどうするつもりなんだ?」

「あ、えっと、新しい大盾の素材を集めようと思ってるんだけど、私はDEXが0だから、あまり集まらなくて・・・」

「なるほどな。ちなみに、素材は?」

「地底湖の白い魚だよ」

「そうか。なら、俺たちも手伝うぞ」

「え?いいの?」

「あぁ。もう2層には行ったし、そこそこ暇だったからな。気分転換にはちょうどいい」

 

本当は、長時間サリーとシオリを同じ空間にいさせるのはいささか不安があるが、ここで断っても面倒な気がする。

とりあえず、今日はメイプルの素材集めを手伝うことにしよう。

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