弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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挑発

地底湖でダンジョンを見つけてから数日。俺たちは釣りと水泳を続けながら、空いた時間でそれぞれ近々行われる第2回イベントに向けての準備を進めていた。

俺とシオリは、【水泳】と【潜水】のスキルレベル上げに加えて、動きの確認を。

サリーは身に付けやすいスキルの広く浅い習得を。

メイプルはサリーとはまた違った方法でスキル探しを。

もちろん、毎回同じ時間にログインしているわけではないから、個別で動く時間もあったが、基本的に地底湖に入り浸っていることが多かった。

そして、

 

「ぷはぁっ!・・・はぁ、はぁ・・・何分潜ってた?」

「す、すごいよ!40分!」

「【水泳Ⅹ】と【潜水Ⅹ】になったってことは・・・これが今の私の最大ってことだから・・・片道20分で奥まで辿り着けないと溺死か」

 

 

ここ最近ずっと潜っていたこともあって、メイプル以外の俺たち全員がスキルレベルをマックスにまで上げられた。

 

「ふふん。甘いで。うちとクラルは60分潜ったんや。それに、サリーよりも速く泳げるんやで?」

「潜水時間はともかく、スピードはレベル1相手にマウントを取ろうとするな」

 

ここ最近は、なにかとシオリがサリーよりも優位に立とうとして、このような些細な自慢が後を絶たなかった。

正直、俺の方が鬱陶しくなってきたレベルだが、言ってもシオリはやめようとしないため、半分くらいはもはや諦めの境地に至っていた。

それに、

 

「くっ、今に見てなさい。いずれはあんたたちよりも長く潜れるようになるんだから!」

 

サリーもサリーで張り合おうとしているから、もうこの2人は一周回って仲がいいんだと思うことにした。

メイプルもムキになっているサリーを見て微笑まし気にしているから、対応としては間違っていないはずだ。

 

「それじゃあ、サリーにはこいつを渡しておこう」

「? まさか、ダンジョンのマップ?」

「一足先に、奥まで確認させてもらった。役に立つはずだ」

 

スキルレベル上げも兼ねて、俺はダンジョンの奥まで進んでみた。

入ってみると、中はかなり複雑になっていて、初見で突破するのはほぼ不可能だった。俺も、すべてのマップを埋めるのに3回くらいは息継ぎを繰り返したし。

 

「ありがとう。助かるわ」

「必要なら、俺とシオリでボスの確認もするが?2人で攻略すれば、ユニークシリーズは手に入らないし」

「そうね・・・」

 

俺の提案に、サリーはどうするか考えこむが、そこでシオリがニヤリと笑ってサリーに話しかけた。

 

「あれ~?サリーはそんなに初見でボスを攻略する自信がないんか?」

「・・・それがなによ?」

「うちは1()()()()()()()()()()()()1()()()()()()()()()()、サリーは()()()()()()()()ボスに挑むんか・・・」

「いいわよ、やってやろうじゃない!私だって1人で、情報もなしにやってやろうじゃない!」

 

まさに売り言葉に買い言葉と言うべきか、サリーは嫌味たらしく強調しながら煽るシオリにあっさり堪忍袋の緒を切らし、やけくそ気味に初見・ソロ攻略を宣言した。

あーあー、せっかくの人の厚意を・・・。

 

「シオリ、お前何言ってるんだよ」

「ふん。これでクリアできないんやったら、サリーはそこまでのプレイヤーやったってことや。これができんかったら、うちの方が上ってことやしな」

 

まったく悪びれる様子もない、それどころか開き直ってしまうシオリに、俺はいよいよ頭を抱えた。

まぁ、それを言ったら、すんなり挑発に乗ったサリーもサリーなんだけどな。

 

「それじゃあ、20分経ったらメイプルからメッセージを送信してもらうってことでいいな?」

「いいわよ」

「わかった!」

「んじゃ、行ってこい」

「せいぜい頑張るんやな!」

「行ってくるわ。それと、シオリ。やってやるんだから!」

 

最後に威勢よく吠えて、サリーは地底湖のダンジョンへと潜っていった。

 

 

 

 

「20分経っても返事がない・・・大丈夫かな?」

「たぶん、ボス部屋には空気があったんじゃないか?それなら、無理に短期決戦に持ち込む必要もないし、やられたなら街から送られるだろうし」

 

取り決め通り20分後にメッセージを送っても返信がないことに不安を覚えているが、俺がフォローを入れた。

 

「案外、すぐにやられてへこんでたりしてるかもしれへんよ?」

 

だが、そこにシオリが調子に乗ったように口をはさんでくる。

 

「・・・お前、サリーのことを目の敵にしすぎだろう」

「うちとサリーは、決して相容れない、水と油のようなものや。これくらいがちょうどええ!」

「あぁ、そう・・・」

 

どこまでも強がるシオリに、俺はため息をつくが、メイプルが爆弾発言を投げ込んできた。

 

「でも、ホントはシオリちゃんもサリーのことが心配なんだよね?」

「なっ!?」

 

そう言われると、シオリは顔を真っ赤にして両手を前に振りながら否定する。

 

「べ、別に心配なんてしてへんよ!た、ただ、うちのライバルがこの程度でやられるなら、やっぱ大した事なかったんやなぁって・・・」

「そう言ってるけど、さっきからずっとそわそわしてるよね?」

「そ、そんなことあらへんし!これは、あれや!うちも後で挑もうと思っとるから、その、武者震いっちゅーやつや!」

 

シオリは必死に否定しているが、紅潮した頬が、メイプルの言ったことがあながち間違いでもないことを示している。

なんだ、ツンデレだったのか。

その後も、あわあわしながら必死に弁明を続けるシオリだったが、サリーからボスを倒してユニークシリーズを手に入れたこと、今日はもう疲れたから、本格的なお披露目は明日にするという旨のメッセージが送られ、あからさまにホッとしたシオリに和みつつ今日はお開きとなった。

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