弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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プロローグ

NWO(ニューワールド・オンライン)?」

「せや!」

 

とある日の放課後、俺こと神崎透(かんざきとおる)は親友かつ腐れ縁である九条栞奈(くじょうかんな)から、一緒にゲームをやらないかと誘われた。

腐れ縁というのも、俺たちの親が共通の職場で働いており、さらに俺たちの共通している趣味がゲームだからということでだらだらと続いてきたようなもので、よくあるような『幼馴染との青春物語』のような甘酸っぱい関係とは程遠いからだ。

今も、なれなれしいというか、いっそ男らしく肩を組んでくる。このようなスキンシップも最初は少しどきどきしたが、本人に恋愛感情がないということと、もう数年同じことをやられていることもあって、すでに慣れた。

ちなみに、栞奈の関西弁は半分エセの半分本場仕込みのようなもので、関西に住んでいる親戚と話しているうちに、自然といつの間にか、このしゃべり方が定着したそうな。少なくとも、俺と最初に会ったときは、まだ標準語だったが。

 

「たしか、最近人気になっているVRMMOだったか?」

「そ。うちもやってみようかと思ってるんやけど、1人でやるってのも寂しいやろ?せっかくやし、透も誘おうと思ってな」

「俺も名前は知っているが、どんなゲームなんだ?」

「せやな、簡単に言うと、とんでもなく自由度が高いMMORPGやな。数多の武器や職業はもちろん、スキルもプレイヤーの行動次第で得られる。せやから、プレイヤーのプレイスタイルがはっきりとステータスに現れる、とてもやりこみがいのあるゲーム、ってことやな」

「なるほどな・・・」

 

栞奈の説明に、俺は少し考えこむ。

俺と栞奈はジャンル問わず様々なゲームをやってきた。その中で、VRもMMOもやったことはあるが、ここまで自由度の高いゲームは、たしかに俺の記憶にもあまりない。

ついでに言えば、VRMMOというだけで面白そうな気配がする。

幸い、ハードの方は持っているから、ソフトを買うだけでいいし、お金も十分ある。やろうと思えば今日にでもできるくらいには余裕があるな。

 

「よし、やってみるか」

「その意気や!それで、もう買いに行くん?」

「いったん家に財布取りに戻ってからだな」

「なら、うちも一緒に行くわ。お金はもう用意してあるしな」

「あいよ」

 

そんな会話をしながら、俺と栞奈は帰路についた。

ちなみに、家は隣同士だから帰り道も同じだ。

 

 

* * * * *

 

 

その後、家に戻って財布を取ってからすぐに栞奈と合流し、ソフトを買って家に帰った。

そして、夕食と風呂を済ませ、自室に入ってからハードにソフトをセットした。

 

「さて、めんどくさい初期設定はすでに済ませたが・・・」

 

いろいろと細かいことを要求される初期設定は、夕飯を食べる前にだいたい済ませておいた。あとは使用装備とキャラネームを入力してログインするだけだ。

ちなみに、栞奈とはキャラメイクの方針はほとんど話していない。このゲームはキャラの外見はそこまで変えれるわけではないし、キャラネームも、いつも使用しているものにするとあらかじめ決めていた。

とはいえ、初期装備を何にするかは話していないため、場合によっては初期装備が被ったり、後衛同士になって攻略が面倒になる可能性もあるが、

 

「ま、そのときはそのとき考えればいいし、最悪アカウントを作り直せばいいか」

 

俺は特に心配せず、電脳世界に身を投じた。

まず最初に、名前を入力する画面が出てきた。

俺は迷わずに“クラールハイト”と入力し、OKボタンを押した。

ついで、初期装備を選択する画面が現れた。

 

「装備は、本当にいろいろとあるんだな・・・」

 

パッと見ただけでも、片手剣や大剣といった近接武器や杖や弓矢のような遠距離武器まで様々だ。

実際に見てみると、いろいろと種類があって迷いそうだが、俺はすでに何にするかは決まっていた。

俺が選ぶのは、

 

「弓矢だな」

 

遠距離武器である弓矢にした。

なぜかと言われれば、栞奈は性格的に近接武器を選ぶと分かっているし、プレイング次第では魔法武器よりも有利に立ち回れると直感していたからだ。

最後に、ステータスポイントを振り分け、俺の視界は光に閉ざされた。

光が収まると、そこは初期地点の町で、周囲には他のプレイヤーもかなりいる。

 

「さて、集合場所はこの噴水でいいんだよな」

 

あらかじめ決めておいた集合場所がすぐそばだったのは偶然なのかシステムで決まっていたからなのかは知らないが、ラッキーだったと思うことにして俺は噴水の縁に腰かけた。

そうして待つこと数分、新たに光の柱が現れ、中から栞奈がでてきた。

どうやら、初期位置はシステムで決められているようだ。

 

「おーい、シオリ!」

「あっ、クラル!」

 

俺と栞奈、改めシオリは、MMORPGでもすぐに合流できるように、あらかじめ名前は統一してある。

それが、俺は“クラールハイト”で、栞奈は“シオリ”だということだ。シオリの言った“クラル”は、長くて面倒だからと省略して呼び始めたのがきっかけだ。

 

「ふむふむ、クラルは弓矢にしたんやな」

「そういうシオリは、槍にしたのか。なんつーか、意外だな」

 

俺の予想では、他のゲームではもっぱら短剣を使うことが多かったから、今回もてっきりその辺りの武器なのかと思っていたが。

疑問に思っていると、なぜかシオリは胸を張り、

 

「ふふ~ん、うちの戦闘スタイルは速攻やけど、つい最近、“槍兵は最速の英雄が選ばれる”って言葉を聞いてな?やったら、うちが英雄になってやろうと決めたんや!」

「あ~、またどっかのアニメに感化されたのか・・・」

 

シオリは、というかリアルの栞奈は、これでもかと言うくらいのアニメ・漫画好きだ。こういう風に、アニメのワンシーンに触発されてゲームをすることも珍しくない。

俺はどちらかと言えばゲーム、特にVRゲームが好きで、技術を磨いていくのが好きな人間だが、シオリはとにかくかっこいい自分を求めてゲームをするタイプで、派手な動きなんかも多い。

俺にとって、そんなシオリのスタイルには危なっかしいものも多分に含まれているから、こういうフォローにまわりやすい武器を使うことがほとんどだ。

そして、テンションの上がったシオリは、何をしでかすかわからない。

 

「・・・とりあえず、ステータスを確認しておこう。話はそれからだ」

「おぉ、ええで~」

 

俺は一抹の不安を抱きながらも、ステータス画面を開いてシオリに見せた。シオリも、同じようにしてステータス画面を俺に見せてきた。

 

 

クラールハイト

Lv1

 

HP 32/32

MP 23/23

 

【STR 20<+8>】

【VIT 0】

【AGI 40】

【DEX 30】

【INT 10】

 

装備

頭【空欄】

体【空欄】

右手【空欄】

左手【初心者の弓】

足【木の矢筒】

靴【空欄】

装飾品【空欄】

   【空欄】

   【空欄】

 

スキル

なし

 

 

シオリ

Lv1

 

HP 35/35

MP 20/20

 

【STR 20<+10>】

【VIT 10】

【AGI 60】

【DEX 10】

【INT 0】

 

装備

頭【空欄】

体【空欄】

右手【初心者の槍】

左手【空欄】

足【空欄】

靴【空欄】

装飾品【空欄】

   【空欄】

   【空欄】

 

スキル

なし

 

 

「よかった、さすがに極振りはしなかったか」

「うちとしては、VITを0にしたクラルに疑問を覚えるんやけど?」

「当たらなければどうということはない」

「まぁ、それもそうやな」

 

実際、あらゆるゲームをプレイした中で、被弾を極限まで抑える立ち回りを研究してきたから、被弾しない自信はある。

 

「とりあえず、外に行って軽くプレイしてみるか。お前だって槍は初めてだろ」

「せやなぁ、近場の簡単なところで慣らしておこか。クラルも弓矢は初めてやろ?」

 

考えてみれば、FPSで銃を使ったことはあっても、こういうゲームで弓矢を使ったことはないな。

となると、お互い初めての武器同士になるのか。

 

「そういうわけやから、ほら!さっさと行くで!」

「わかった。わかったから腕を引っ張るな」

 

どうやら興奮しているらしいシオリに急かされながら、俺たちはモンスターのいる森へと向かっていった。




祝・アニメ放送ということで、その流れに乗って書いてみました。
最近は新しいのを書こうと思っても上手く文章にできないことが多かったので、今度こそ続かせたいです。

ちなみに、自分は原作をアニメ化のティザーPVから知り、キャラの見た目が好みで興味本位でweb版を読んだらハマった人間です。
今後配信されるアプリも出たら速攻やる予定です。
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