「おー!カッコよくなったね!」
「へぇ、なかなか似合ってるな・・・俺なんて、厨二病臭い見た目だしなぁ・・・」
「これは・・・えぇなぁ。マフラーとか特に。うちなんて、民族衣装みたいな狼の口当てやし・・・」
「ふふんっ、いいでしょ?靴は手に入らなかったから黒いブーツを買ったし・・・これで統一感は完璧!」
翌日、俺たちは1層の街でサリーのユニーク装備のお披露目会をしていた。
サリーの装備は店で買ったブーツ以外はすべて青を基調にした装備で、鎧というよりは衣服に近い感じだ。
コートやダガーは深海を思わせるような暗い青色で、マフラーは鮮やかな青に白い泡のような模様が入っており、とてもおしゃれだ。ちなみに、ステータスは防具がAGIとMP、ダガーがSTR、INT、DEXがそれぞれ上がり、すべて【破壊不可】がついているとのこと。やはり、ユニーク装備は万が一壊れないように、基本的にすべて【破壊不可】がついているのだろう。メイプルのやつは別にして。
それに比べて、俺は全身黒に眼帯という厨二病装備だし、シオリは山伏に見えなくもない装束だ。少しくらい羨ましく思うのは仕方ないだろう。
すると、俺の装備を上から下まで見渡しながら「なかなか悪くないと思うけど・・・」と呟いたサリーが、そう言えばといったように尋ねてきた。
「そう言えば、クラルの眼帯ってどうなってるの?それ、死角にならない?」
「あぁ、これな。なんか、照準みたいなのがついていて、視界もちょっと暗くなるくらいで、まったく見えないわけじゃないんだ」
しかも親切なことに、矢の軌道が銃のレーザーポインターみたいに見えるおまけ付きだ。見た目に寄らず、かなりハイスペックな装備だから、こんな見た目でも身に付けている。
さらに、【鷹の目】と合わせることで、俺の視界だけス〇ウターみたいな感じになっている。
シオリは「なにそれ!めっちゃ羨ましい!!」と言っていたが、俺からすればちょっとゲームの世界感が揺らぎそうになっていて、内心かなり微妙だ。
「それより、スキルはどんな感じなんだ?」
「あっ、ちょっと待ってね」
俺の言葉にハッと気づいて、サリーはステータス画面を操作した。
ちなみに、サリーが快くステータスを見せているのは、俺とシオリも見せたからだ。
シオリは少しごねたが、「サリーのステータスも見れるようになるぞ?」と言ったら渋々折れた。
それはさておき、サリーはステータス画面を開き、俺たちもそれを覗いてスキルの内容をチェックした。
【蜃気楼】
発動時、相手の視覚情報での座標と本当の座標とにズレを生じさせることが出来る。
対象は使用者以外全員。
使用可能回数は1日10回。
効果時間は5秒。また、【蜃気楼】で作り出したズレた映像に何らかの攻撃が加えられた際、【蜃気楼】は効果を失う。
【大海】
モンスター、プレイヤーが触れた場合AGIを20%減らす水を使用者を中心として円状に地面に薄く広げる。空中では使用出来ない。
範囲は半径10mで固定。
使用者のみがその対象から外れる。
使用可能回数は1日3回。持続時間は10秒。
【器用貧乏】
与ダメージ3割減。消費MP10%カット。
【AGI+10】【DEX+10】
取得条件
武器・攻撃に関するスキル10個を取得済み
魔法・MPに関するスキル10個取得済み
その他のスキル10個取得済み
その中で最低スキルレベルのスキルが10個以上ある。
この条件を満たした後でモンスターを撃破すること。
あと、これに加えて【大物喰らい】も取得していた。そういえば、シオリが最近、このスキルを廃棄していたな。
俺が「いいのか?」と尋ねたら、「他のプレイヤーのステータスがそれなりに上がった段階で再取得する。どうせ、うちはAGIしか上げないつもりやし」とのことだった。
それにしても、サリーも運がよかったな。ボス戦の前に【器用貧乏】を取得していたら、まず間違いなく負けていた。
この中だと、蜃気楼が一番使いやすそうだな。だいたいのプレイヤーは、視覚情報を頼りにしていることが多いし、一度外したら咄嗟に本物に気づくのも難しいだろう。
ただ、
「この中だと、【大物喰らい】はいらないだろうな」
「う~ん、そうだねー・・・」
「えっ!?なんで!?」
俺とサリーの会話に驚いたのはメイプルだ。
そう言えば、メイプルも持ってたな。
「いや、サリーの場合、相手によってステータスが上がったり下がったりしちゃうだろ?」
「それだと、感覚が狂って回避の感覚が狂っちゃうし、私のプレイスタイルには合わないかな」
「あー、そっか・・・」
俺とサリーの説明に、メイプルも納得した。シオリも、それが理由で【大物喰らい】を廃棄した人物だから、特に口をはさむこともなかった。
「それなら、【大物喰らい】は、やっぱり廃棄するか?」
「そうだね」
そんなことを話していると、メイプルがいきなり首を傾げた。
「何それ?」
「「「え?」」」
「え?」
メイプルの疑問に思わず声を上げたのは俺、シオリ、サリー。メイプルは、「え?知ってるの?」みたいな感じで再び首を傾げた。
どうやら、メイプルはスキルの廃棄機能を知らなかったらしい。メイプルは便利な機能に驚いていたが、俺たちとしてはむしろ知らなかったメイプルに驚きだ。
「それで、この後はどうする?俺たちは、一足先に2階層に戻ろうと思うんだが」
「あれ?もう攻略してたんだ?」
「あぁ、サリーと会う前日にな。よかったら手伝おうか?」
「う~ん、メイプルはどうする?」
「私は・・・せっかくだし、サリーと2人で攻略してみたいな」
「そうか。んじゃ、俺たちは先に2層で待ってるからな」
「わかった。それじゃ、また後でね」
そう言って、俺とシオリは2層の街に向かった。
すると、ふと視線を感じて、振り返ってみるとシオリがジト目で俺を見ていた。
「・・・どうしたんだ?」
「・・・べつに。なんか、サリーとやけに仲がえぇなと思っただけや」
「そうか?」
「当たり前やろ。うちとメイプルほったらかして話しとったやん」
「う~ん、プレイスタイルが似てるから気が合うのかもな」
俺たちのプレイスタイルは、メイプルが気ままに天然100%、シオリも感覚に頼ることが多い天才肌だが、俺とサリーはプレイを研究して実戦で活かす、努力家というか秀才というか、そういうのに近い感じだ。NWOでも、お互い回避主体でHPとVITに一切ポイントを振ってないし。
少なくとも、盾で倒せないからと言って食べて倒すメイプルや、アニメに感化されただけで武器やステータスを決めるシオリとは違う。
だから、互いに共感する部分があるのかもしれない。
それに、
「それを言ったら、サリーもサリーで俺に興味を持っている雰囲気だったしな」
「そうなん?」
「まぁ、シオリの関係者だから、ってことだろうが」
サリーからすれば、俺はサリーがシオリに負けるきっかけになった人物でもある。
であれば、俺に興味を持つのは当然とも言えるだろう。
「少なくとも、シオリが考えているようなことはない」
「そっか」
そんなことをしゃべりながら、俺たちは2階層に到着してメイプルたちを待つことにした。
この後、無事メイプルたちはダンジョンを攻略して合流できたんだが、メイプルが「最後の方で気絶しちゃって、まったく活躍できなかった!」と嘆いていたところに、シオリがなぜか感極まって思い切り抱きついたりして一悶着あったのだが、それはまた別の話だ。