弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

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スキル取得・2

「ふぅー、走った走った!」

 

第2層の森林の奥深くにあるログハウスの前で、うちはかいてもない汗を拭う振りをした。

どうしてうちがここにいるのかと言えば、とあるスキルの習得のためや。

 

スキル【超加速】

1分間、AGIを50%上昇させる。30分後、再使用可。

 

このクエストは、AGIが75以上ないと発生しないもので、AGI主体のプレイヤーでは必須スキルになりつつある。

うちも第2回イベントに向けた強化のために、このクエストを受けたんやけど、ぶっちゃけうちからすれば、大したことはなかった。

クエストの内容は、簡単に言えばおつかい系で、1時間以内にこの家から離れた場所にある泉から【魔力水】っちゅーアイテムを手に入れて持って帰ればクリアなんやけど、うちは30分くらいでクリアしてもーた。

このときほど【速度中毒】と【白狼の疾駆】を頼もしく思うたのは、あまりないかもしれへん。

 

「そういえば、今頃クラルは何やってるんやろ」

 

なんか、今のままやと力不足やから、新しいスキルを習得できそうなイベントに参加するってゆーとったけど、どんなイベントやろ。心当たりがあるのは、弓使いだけが発生できるけど、今のところ誰もクリアできてないって話のやつやけど・・・。

 

「まぁ、大丈夫やろ」

 

だいたいの相手なら、クラルの敵やあらへんし。

それよりまずは、【超加速】を使ったときのスピードに慣れへんとな。

 

 

* * * * *

 

 

「さて、と。とうとう来たな」

 

手に腰を当てて、俺は目の前にそびえる建物を見上げた。

そこは、道場のような造りをした平屋で、とあるクエストの発生場所でもある。

ここのクエストは弓使い限定で受けられて、なおかつ誰もクリアできないほど難易度が高いという。

であれば、きっと強力な弓のスキルが手に入るに違いない。

できれば、俺の希望に沿うスキルであってほしい。

今の俺には、足りないものがある。

それは、制圧力だ。

今の俺は1対1なら十分に立ち回れるし、【魔弾の射手】の強化のおかげで対多数戦闘でもかなり戦えるようになったが、大勢の相手を同時に攻撃できる手段を持ち合わせていない。1度に矢を3,4本つがえて攻撃することは可能だが、第1回イベントでは終盤で襲い掛かってくる大勢のプレイヤー相手にだいぶてこずってしまった。

この際に、メイプルの【毒竜】のような面攻撃ができるスキルが欲しいものだ。

クエストの内容を聞く限り、俺の希望通りのスキルである可能性も低くはないが・・・

 

「ま、考える暇があったら、さっさとクエストを受けるとするか」

 

この際、細かいことは考えずにクエストを受注することにした。

中に入ると、道場というよりは闘技場(コロシアム)に近い内装になっていて、観客席にあたるところには弓矢を持ったNPCが大量に配置されている。

そして、中に入って真正面に、道着を身に付けた強面の大男が仁王立ちしていた。

 

「問おう。貴様は、私たちの奥義を求めてきた者か?」

 

男の問いかけとともに、俺の前に青色のモニターが現れ、そこにはYesとNoの選択肢が表示されていた。

俺は迷いなくYesを選択してクエストを受注した。

 

「そうか。なら、ここで5分間生き延びてみせるがいい。そのときは、我が道場に伝わる奥義を授けよう」

 

そう言って、大男は後ろの闘技場への道を開けた。

通された俺は、闘技場の真ん中まで進んで足を止めた。

次の瞬間、俺の視界の端に“5:00”と表示されたタイマーが現れ、上にいるNPCが一斉弓を構えた。

このクエストの内容は、ただひたすら攻撃を避けるだけ。

だが、降りかかってくる矢の数が尋常ではなく、1発も当たってはいけないこのクエストの難易度がバカ高くしているわけだ。

ぶっちゃけ、弓のスキルを得るのに弓矢の攻撃を避ける必要がどこにあるんだろうと思わなくないが、ここでそんなことを言っても仕方ないだろう。

そうこうしているうちに、視界の中心にカウントダウンが表示され、0になった瞬間に俺は前へと駆け出した。

次の瞬間には、俺が立っていた場所は大量の矢で埋め尽くされてしまった。

だが、安心している暇もなく、次々と俺に向けて矢が放たれる。

数もそうだが、動き出した方向を狙う矢の軌道もなかなか嫌らしい。

この中を5分間生き残れというのは、たしかに鬼畜難易度だ。

だが、俺はうろたえずに冷静に矢の軌道を分析して、最良の回避行動をとる。矢は全方位から放たれているが、視界の外の矢は風切り音でだいたいの位置を察知して大きめに回避すれば当たらない。

この程度の弾幕、俺にとっては苦でもない。銃弾の嵐に比べれば、この程度の矢は止まって見える。

俺の回避行動を予測して放たれた矢も、ステップを刻んでタイミングをずらすことでなんなく躱す。

そして、矢の軌道をパターン化させるように動いて避け続けることで、俺はなんなく5分間避けきることができた。

 

「さすがだな。お前ほどの腕を持つ者なら、我々の奥義を授けるに値するだろう」

 

だから、弓使いに回避の技術を求めるのは(以下略)。

そうこうして、俺の手元にスキルの巻物が現れた。

 

「スキル【拡散】だ。ぜひ、役立ててくれ」

「・・・ありがたく使わせてもらう」

 

俺は礼を言って、道場を後にした。

道場を出てスキルの巻物を開いていると、周囲のプレイヤーからギョッとした視線を向けられたが、スキルの内容を確認した俺はそれどころではなかった。

 

スキル【拡散】

着弾前に、1本の矢を最大100本にまで分裂させることができる。

1時間後、再使用可。

 

まさに、俺が求めた通りのスキルが手に入った。

これで、第2回イベントがより楽しみになってきたな。

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