弓兵と槍兵を人外にして魔境に放り込んだ結果   作:リョウ77

24 / 134
第2回イベント1日目

俺たちが転送されたのは、どこかの森の中だった。

マップで位置を確認すると、平原が近く、少し離れた場所には山岳地帯が広がっている。

だが、表示されているのはそれだけで、装備品やメダルはもちろん、それらがあるだろうダンジョンらしき場所もなかった。

 

装備品(ご褒美)が欲しければ、自分で探せってことか」

「それなら、こうしてちゃいられへん!さっさとメダルとダンジョンを探すで!」

「ちょっと待てバカ」

 

息を渦巻いて走り出そうとするシオリの首根っこを掴み、諭すように言い聞かせる。

 

「お前にはスキルがあるからいいだろうが、このバカ広いフィールを走り続けるのは体力の無駄だ。ひとまず、周囲を念入りに探索するぞ。この森の中なら、メダルの1枚や2枚は落ちてるだろう」

「・・・わかったわ」

 

シオリも渋々納得し、肩の力を抜いて走り出そうとするのをやめた。

 

「それで、これからどうするん?」

「そうだな・・・ひとまず今日は山の方を目指して、麓を中心に探索しよう」

 

その辺りなら、洞窟や小屋のような建物に装備やメダルがある可能性もある。

森の中のメダルに関しては、見つければラッキーくらいの気持ちでいいだろう。

今日の方針を決めた俺たちは、山に向けて走り始めた。

もちろん、シオリは俺の速度に合わせてもらっている。

そうして走ること十数分、さっそく何かを発見した。

 

「シオリ、向こうを見てくれ」

「ん?・・・あれは、小屋か?」

 

俺たちの視線の先には、石造りの小屋があった。だが、それなりに年月が経っているものなのか、周囲にはコケやツタがびっしりと張り巡らされている。

 

「いかにも、って感じやな」

「何もない可能性も0ではないが、探索しない手はないな」

 

幸先のいいスタートに口角が上がりながら、俺たちは小屋の中に足を踏み入れた。

中は質素なつくりになっており、生活に必要な最低限のものしか置いていなかった。とはいえ、木製のもののほとんどが朽ちているか腐っており、石でできた一部の家具や台所らしきところなどもコケがびっしりと生えていたが。

 

「とりあえず、隅々まで調べてみようか」

「わかったで」

 

そうして、俺たちは小屋の中をくまなく調べ始めた。

棚の中や朽ち果てた家具の下、かまどの中まで何かないか探してみたが、特にめぼしいものは見当たらなかった。

 

「う~ん、マジでなんもないパターンなんかな?」

「だが、こんないかにもなところに何もないっていうのもな・・・もしかしたら、時間によってイベントが発生するのかもしれない。この小屋の位置はマップにマークしておいたから、予定を変更して今日はこの森を探索しよう。山の探索は明日だ」

「はいよ~」

 

今後の予定を変更し、俺とシオリは小屋を後にして森の中の探索に出かけた。

 

 

* * * * *

 

 

探索を始めてから、あっという間に数時間が経過した。

だが、シオリのAGIもあって、この1日で森の中はほとんど探索でき、十分な成果も得られた。

 

「まさか、こんなところでメダルを1枚ゲットできるとはな」

「鳥の巣の中に、卵と一緒にあったもんな~。ある意味、ベタな隠し方や」

 

そういうシオリの手には、銀色のメダルが握られている。

今回、手に入れたメダルはまずシオリに渡すと、始まる前に決めておいた。俺は今のところ金のメダル1枚で十分だし、シオリにはぜひ、さらにAGIを上げるスキルを手に入れてもらうとしよう。

今はすでに空が赤くなっており、日も隠れ始めてきた。今日の探索はこの辺で十分だろう。

俺たちは、完全に暗くなる前に例の小屋に戻った。

幸い、中には誰もおらず、周囲にも他のプレイヤーの気配は感じない。

それに、あまり深い意味はないが、木の実もいくつか手に入れた。

今夜は、ここでゆっくり休めそうだ。

 

「さて、もうすぐ夜だが・・・何かあるかな?」

「どうやろなぁ。あったらあったで嬉しいもんなぁ」

 

昼間に探索した時は、特に仕掛けらしい仕掛けはなかった。これで何もなかったら、この小屋にこだわった意味がなくなってしまう。

そんなことを考えながらも、俺はインベントリからランタンを取り出して明かりを確保しようとした。

その直前、シオリが何かに気づく。

 

「ん?クラル、あれ見てみ?」

「どうした、シオリ?・・・これは?」

 

シオリが指さした方を見ると、石造りのテーブルにこびりついているコケの中で、中央の部分だけが光り輝いていた。その光は淡く、ランタンを付けただけでもその光に負けてしまいそうだ。

だが、ここにきて現れた変化。何もないわけがない。

俺とシオリは顔を見合わせて頷きあい、テーブルに近づいた。

 

「これは、ブロックの1つが光っているのか?それに・・・よく見れば、他よりも隙間が大きい」

「これってもしかして、どかせるんとちゃう?」

「そうかもしれないな。やってみよう」

 

そう言って、俺は隙間に指を入れて石のブロックを掴み、力を入れて引っ張り出した。

すると中から、

 

「これは、箱か?」

「そうやな。開けてみるで」

 

シオリがおっかなびっくり箱を取り出して中を開けてみると、そこにはメダルが2枚入っていた。

 

「おぉ!当たりやったな!」

「あぁ。しかし、なるほど。光るコケか・・・持って帰れるか?」

 

綺麗な見た目からなんとなくほしくなり、試しに短剣を取り出して光るコケをこそぎ落としてみると、インベントリの中にしまわれた。

 

【ヒカリゴケ】

夜になると光りだすコケ。昼間に光にあてることで、光を強くできる。

 

「これは・・・コレクション系のアイテムか?だが、NWOにプレイヤーハウスの機能はなかったよな?」

「せやな・・・もしかしたら、今後のアプデで追加されるんとちゃう?」

「かもな」

 

思わぬ収穫に、俺とシオリは興奮と期待に胸を膨らませながら、それぞれ寝床を準備して、交代で襲撃を警戒しながら1日目の夜を過ごした。




【白狼の呼吸】に「走行中は疲労を~」を付け加えました。
それと、大学の試験の関係上、投稿ペースが落ちます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。